訪問先:かつらおむら村創造協議会
訪問日:2014年6月6日
取材者:鈴木亮
―― Q.取り組んでいる地域課題は?
葛尾村の復興計画検討委員会を前身とするかつらおむら村創造協議会では、平成25年8月の設立以来、原子力災害からの長期避難下において必要となる、村民の絆維持・村としての合意形成の下支えに取り組んでいる。避難先自治体である田村郡には人口1,531人の84%が避難。うち57%が、役場のある三春町に避難している。平成25年4月には旧要田中学校跡に葛尾中学校を開講し20名の生徒が通学、8月には幼稚園も移設し6名の児童が通園している。仮設住宅は10団地あり、それぞれの自治会に役場と協力しコミュニケーションを図っている。協議会では定期的に多様な選択肢を持つ村民に寄り添った意見交換の場を作り、より多くの村民の参加、協力を呼びかけている。
葛尾村の避難受入自治体である田村郡は人口38,480人で、2,279人が避難している。都路地区は避難指示解除準備区域であったが、平成26年4月に解除第一号となり、1,000名ほどが事実上、帰村している。仮設住宅に950名、借り上げ住宅に900名ほどが暮らしている。NPO法人コースターが支援に入り、田村市復興応援隊を組織して住民のヒアリング、課題解決に取り組んでいる。かつらおむら村創造協議会としては、葛尾村村民の絆維持と、田村郡住民との絆創造に取り組む必要があり、三春町に両方の住民が利用できる拠点や集いを企画運営する活動を強化している。かつらおむら村創造協議会の会長・下枝浩徳氏は、コースターの田村市復興応援隊担当でもあり、若者による一般社団法人葛力創造舎の代表でもあり、葛尾村・田村市の復興に取り組んでいる。
―― Q.どのような取り組みをされているのですか?
毎週火曜日には、かつらおむら村創造協議会としての意見交換の場を持っている。もっとも大きな取り組みは、年に2回開催するクリスマス会で、26年度12月には約50名のこどもが参加した。浪江青年会議所と連携し、二本松城や三春町のクリーンアップ活動も行っている。2014年5月にはかつらおむら村創造協議会の事務局を担う葛力創造舎として、田村郡・葛尾村・郡山を訪問する初のツアー企画を実施した。役場の仮設自治会支援担当課と協働して、交流サロン企画や生活再建のための勉強会企画も行っている。参加者は、NPO、住民、村議会、村役場、社協などから総勢21名。関連団体としてかつらおスポーツクラブ、葛尾村教育委員会、葛尾村社会福祉協議会、葛尾村老人クラブ連合会、葛尾村商工会、葛尾村食生活改善委員会、夢工房葛桜、葛尾村PTA等。
―― Q.困っていることはありますか?
地域に若手が集まれる場所がない、子供の声を拾えきれていない。除染の進捗が思わしくない。帰村希望者が少ない。特に若年層の帰村が極端に少ない。商店の帰村・再開が不透明。産業・雇用が少ない。医療・福祉が弱い。村内での学校再開の判断がつかない。
協議会は30~40代の村民が中心となっており、20代の参加者が少ない。村民が気軽に集まり話し合える場がなく、村民への求心力が発揮できていない。その結果、役場への影響力がまだまだ少ない。
―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?
<三春町旧桜中学校交流拠点づくりへの協働>
村の若者や村づくりに興味がある村民や関係者が気軽に集まれる場所をつくる必要がある。現在、三春町旧桜中学校が交流拠点活用として募集が出ているので協議会としてこれにエントリーする予定である。
<村カフェの実施>
村民同士の話合いの促進のためのコンテンツを考えている。協議会の中でほかのまちづくりの事例を知りたいとの要望があったので、浪江町の浪江焼きそばをきっかけにしたまちづくりの食事つきの勉強会を行い、メニュー開発などに取り組んでいる。
<移動支援>
葛尾村の各三春応急仮設は地域には固まっているがそれぞれが離れており、バスなどの公共機関の足は悪い。そこでバスと運転手を必要としている。
<村内外の情報集約と発信>
それぞれの村民の困っていること、必要としていることが集まる情報プラットホームとしての役割を担いたいと考えている。さらに外部発信により葛尾村民への情報発信もしたいと考えている。また、協力団体ともつながりたいとも考えている。
<了>
【問い合わせ先】
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訪問先:公益財団法人共生地域創造財団
訪問日:2014年6月5日
取材者:中野圭
―― Q.取り組んでいる地域課題は?
大船渡市では、仮設住宅支援、みなし仮設住宅支援などがある中で、震災以降「在宅被災者世帯」(仮設住宅等に入居するのではなく自宅を修理修繕するなどして生活をする世帯)に対する支援というのは少なかった。また、現在では震災が直接的な原因ではなく、震災前から存在していた生活困窮という課題が、震災を契機に顕在化しているケースが多い。経済的な貧困と関係性の貧困ともに、今後震災からある程度の時間が経ったからこそ、被災地で増えてくるかもしれない。
―― Q.どのような取り組みをされているのですか?
生活困窮者に対しては「参加包摂型」、「相互多重型」の支援を心がけている。これは、一人ひとりに寄り添い伴走するかたちの支援で、なにが課題となっているのかを見つめ直し、本当に必要となる支援を考えていく。食糧支援、生活福祉基金のつなぎ、就労支援、農園を活用したコミュニティの再生など、さまざまな手法をとるが、いずれにしろ明確な答えがあるわけではない。一つひとつの命に寄り添う「いのちの支援」である。
―― Q.どの様なメンバーで取り組まれているのでしょうか?
復興支援員制度を活用し大船渡では7名のスタッフで運営している。一人ひとりが伴走型支援員として、地元に寄り添う支援を行っている。
―― Q.困っていることはありますか?
事業運営をもっと体系的にし、効率化を図りたい。少ないスタッフでやっているので効率化できる部分は積極的に改善していきたい。支援対象世帯の課題も多岐にわたり、多様性の承認という難しい課題もあるが、支援技術のスキルアップと同時に意識を高めていくことが求められている。今後この地域から大船渡モデルというものを発信していきたい。また、寄り添い型の支援の中で成果という意味では見えづらい。しっかり成果を見える化していくことも求められている。
―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?
月並みな表現ではない。震災を機に「いのちの課題」が見えてきた。大船渡では、社会資源が都市部に比べ少ない。これから少しずつ社会資源を回復し充実化させていく必要がある。その点でこれからも応援がほしい。
徐々に「震災」というところから抜けつつあり、従来からの課題にシフトしている。被災者支援というよりはお互いに助け合う仕組みが必要。一方的ではなく交流することで勇気付け勇気づけられる状況が必要。離れていても、被災地とつながりを持ち続け、被災地の住民がつながっていると感じられるような応援が一層必要である。
<了>
【関連情報】
(URL)公益財団法人共生地域創造財団 http://from-east.org/
【問い合わせ先】
この記事への問い合わせは、JCNまで。お問合せ
この助成制度は、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故に伴い、今なお避難生活を送られている方々がお互いを支えあうための活動や、避難先の住民の方々
との交流活動などを支援させていただくものです。
助成の対象となる方々は、中央ろうきんの営業エリアである1都7県に避難されている方々のグループやサークル、あるいは避難されている方々が中心となって活動されている支援団体、またはその活動などです。詳しくは、中央ろうきんのウェブサイトにてご確認ください。
JCNでは、本制度において、「選考のための応募団体等へのヒアリング」や「助成対象団体からの問い合わせ、活動報告書受領後の活動状況の確認」などの役割を担っています。
助成対象に該当されるみなさまには、ふるってご応募いただきますようお願い申し上げます。
助成対象 | 当事者団体、当事者を中心とした支援団体が行う活動
(地域住民との交流、イベント開催費用等) |
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助成対象期間 | 2014年6月~2015年3月に行われる活動 |
助成金額 | 1団体 上限10万円(助成は1回のみ) |
対象費目 | 活動に必要な直接経費 |
選 考 | 選考期間は概ね1か月、事務局による訪問・ヒアリングを行います。 |
JCNでは、2014年6月19日(火)東京都港区にて「広域避難者支援ミーティングin関東」を開催いたします。
JCNでは、広域避難者を支援している方々のネットワークづくりを促すためのミーティングを全国各地で展開しています。関東として初回の本会は、関東1都7県における広域避難者、避難者支援の現状、それぞれの取組のあり方について共有し、避難当事者団体のサポートや当事者団体聞の交流の可能性について話し合います。(過去のミーティングの詳細は、広域避難者支援ミーティングのページでご覧いただけます)。ふるってお集まりいただきますよう、お知らせいたします。
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お申し込みの受付けは終了いたしました。
たくさんのお申し込みをいただき、ありがとうございました。