東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

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第2回ケース検討会議in岩手を開催しました!

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こんにちは、岩手の中野です!
7月17日、第2回ケース検討会議in岩手を開催しました。

ケース検討会議は、被災地の状況および個別のケースを詳細に共有しながら、その課題と解決策のアイディアを出し合い、実際に解決につなげていく場です。特に今回は市町村別・テーマ別に課題を共有し、特に「マルチセクター関連携による復興への取り組み」という重点テーマでの話し合いをおこないました。

大切なのはここで話し合うだけでなく、現場での課題解決に議論を直接的に結び付けていくことだと感じていますし、その点を意識した上で実践的なアイディアや意見が出されたのではないかなと思います。ご参加いただいた皆様、ありがとうございます!一つひとつのアイディアの実現に向けて今後も活動していきたいと感じています。

文責/中野圭

2014年7月27日 22:27

【レポート】防災集団移転と浸水域の活用~地域づくりへ~

訪問先:NPO法人いわて地域づくり支援センター
訪問日:2014年7月26日
取材者:中野圭

こんにちは、岩手の中野です!
今回は岩手県大船渡市崎浜(さきはま)地区で活動するいわて地域づくり支援センターの若菜さんにお話をお聞きしました。

―― Q.取り組んでいる地域課題は?

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崎浜地区は被災した約200世帯くらいの集落で、被災した人たちの住宅再建支援含め集団移転事業の支援をおこなっている。およそ22世帯が移転、公営住宅7世帯ほど。海に突き出た半島部に位置するすり鉢状の集落で地形的にもまとまっており、仮設団地は地区内に設置され、集団移転団地に移る人ももともとの地域の人たちだけであるため、この地域ではコミュニティの課題はないといっていい。そういう意味ではひとつの理想的な事例として提案できるかもしれない。

また、集団移転事業とは別の取り組みとして、浸水した土地利用の構想を描く支援もおこなっているが、将来の土地利用や集落のあり方を描くにあたって、地域の復興会議には若者の参加が少なく、本当の意味で将来的な姿をなかなか描きづらいという問題に直面している。また、これから描いた絵を実現させるに当たっては、地権者との交渉や、関係者の調整などこれからも多くの問題や課題が発生する見込みである。

―― Q.どのような取り組みをされているのですか?

集団移転事業は、国の支援を受けて行政が造成等をおこなうが、移転先団地をどこに設置するか、道路・宅地の配置をどうするかなどは行政と住民が一緒にやらなければならない。崎浜の場合は被災者連絡協議会として被災者の組織化ができていた。私たちの団体としては協議会内部の意見集約のお手伝いができたと思う。丁寧に意見を吸い上げるところから始められたので、住民が最初から計画に入れたという意識ができたと思う。団体としては当初単に住宅再建支援として、復興住宅の視察や情報提供、個別相談をおこなっていた。個々に寄り添う支援と集団移転団地の協働の取り組みをサポートするという主に2つのことをおこなっている。

また何か困りごとがあっても周囲に相談しないという地域性がある。そこで外部が入って丁寧に困りごとを聞くことが必要とされていると感じている。

―― Q.困っていることはありますか?

やはり造成工事が進まない。沿岸部では資材不足、人手不足が深刻。さらに実際に移転地が造成された後も家を建てられるかは個人の問題になる。それぞれの人が実際にたてられるかどうかは一人ひとりにきいてみないとわからない。今後住民向けにアンケートを実施する予定。施工業者がみつかったかなどを丁寧に聞き取り個別の困りごとに対応したいと思う。

一方で若者と年寄りの分断もあると感じる。働き方が昔と今では違う。昔はみんな漁業という時代だったが今は違う。市街地への勤め人が多い。そうした多様な人たちが理解しあいともに地域づくりを考えられる場を考えていかなければならない。

―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?

これから復興をどうしていくかというのは、そもそもこれからこの地域をどうしていくかという全国の農山漁村、一次産業の問題に取り組もうとしているのと同じであると感じる。「震災の問題」として取り組むことには限界があるので、この地域をどうするかという覚悟をもって住民とともに取り組まなければならない。全国の人たちには、日本の農山漁村との関わりあい方、一次産業との関わりあい方を見直すところから意識して、その価値を考えてみてほしい。

<了>


【関連情報】
(URL)http://iwa-c.net/
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2014年7月26日 14:12

各地の避難者支援の状況をお伝えするブログをはじめます。

こんばんわ。JCN広域避難者支援担当の津賀です。

ちょうど出張から東京に戻ってきたところですが、東京都心はゲリラ豪雨襲来。
タイミング悪く雨にふられる男性を「雨男」っていうらしいですね。
僕一人雨にやられるくらいならいいのですが、大きな被害にならないことを願っています。。

さて、ちょうど1年前2013年7月24日に、東日本大震災に伴い全国に避難されている方々のための地域情報サイト「避難されている方々へ」をリリースしました。それから、各地の避難者支援に取組む団体と福島県と一緒に、避難されている方々に役立つ情報、支援情報(9ヶ月で約1,100件)をお届けしてきました。

そして、本日より、掲載している情報だけでは伝えきれない活動や避難されている方々の様子などをまとめた情報を全国12の避難者支援団体とお届けするブログをスタートすることになりました。

避難されている方々へブログ

週に1度くらいのペースで更新していく予定です。
記事の下部には「Facebook」「Twitter」ボタンをつけたほか、Facebookページもつくりましたので、ウェブサイトを見ていただいたみなさんと一緒に、情報発信していきたいと思います。

記事に関するご意見、ご感想などは「お問合せ」のページ「全国事務局」宛までお願いします。

2014年7月24日 19:34

「第10回 現地会議 in 岩手」開催のお知らせ

申込受付は終了しました。
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JCNでは、8月29日(金)、岩手県北上市にて「第10回 現地会議 in 岩手」を開催いたします。

JCNでは、被災地・被災者を支援している民間団体等の連携を促し、支援活動を続けるうえで抱える問題や課題を共に考える場「現地会議」を、被災3県にて定期的に開催しています。

第10回にあたる本会は、多種多様な関係者が課題を解決する「マルチステークホルダー・プロセス」に注目し、その意義や必要性を学び、事例報告から県内外のとりくみを聞きながら深め、実際に会場にいる様々な関係者で課題解決のためのアクションプランをつくることを目的にします。

← ダウンロードしてご利用ください。

開催概要(予定)

【タイトル】
第10回 現地会議 in 岩手
-課題を把握し、資源を見極める。
マルチステークホルダー・プロセスによる復興とは-
【日時】
2014年8月29日(金)13:00~17:00(予定)※開場12:30
【会場】
ブランニューキタカミ コンベンションホール
http://goo.gl/n2a3ZB
(岩手県北上市大通り1-10-1)※JR北上駅西口より徒歩3分
【開催目的】
 様々な地域課題が存在する中、単独のアプローチでは解決が困難になり、官民を始め多様な主体が連携して取り組んでいかなければならない状況になっています。今後は複雑化する地域課題を正確に把握し、自団体や他団体が活動する領域を見極めることが求められています。今回は、多種多様な関係者が課題を解決する「マルチステークホルダー・プロセス」に注目し、その意義や必要性を学び、事例報告から県内外のとりくみを聞きながら深め、実際に会場にいる様々な関係者で課題解決のためのアクションプランを試行的につくることを目的にします。
【プログラム】
情報提供
中野 圭(JCN 地域駐在員岩手)
ほか
テーマ1 理解を深める -マルチステークホルダー・プロセスとは何か?-
[講師]
田尻 佳史 氏(認定NPO法人日本NPOセンター/JCN代表世話人)
テーマ2 事例を知る -地域課題への取り組み事例を知る-
[パネリスト]
東 洋平 氏(認定NPO法人国境なき子どもたち 岩手事務所)
大野 覚 氏(認定NPO法人茨城NPO センター・コモンズ)
テーマ3 ワークショップ -課題を把握して資源を見極めるプロセスの実践-
[テーマ(予定)]
1.災害公営住宅・防災集団移転・仮設住宅集約時のコミュニティ形成
2.交流人口の増加(ボランティア受け入れ、ツーリズムなど)
3.見守り体制の構築
【その他】
当日は、マスコミ等の取材があります。
一部の時間帯に限り、Ustreamによる動画配信を予定しています。 JCN Channel - Ustream
※会場の回線状況により音声のみの配信となる場合があります。ご了承ください。
【主催】
東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)
【共催】
NPO法人 いわて連携復興センター
災害ボランティア活動支援プロジェクト会議
【協力】
NPO法人 メディアージ

参加いただきたい方々

  • 岩手県で活動しているボランティア団体・住民グループのみなさま
  • 復興支援に取り組んでいる団体・企業のご担当者のみなさま
  • 生活支援相談員など見守り活動に従事されているみなさま
  • 行政機関・社会福祉協議会の職員のみなさま
  • その他、支援活動に関心のある全国の支援団体のみなさま

参加方法

受付は終了いたしました。お申し込みありがとうございました。
まだ席に余裕がございます。お申込みされていない方でご参加希望の場合は、
直接会場の受付で当日参加の旨お申し出ください。

2014年7月24日 11:08

【レポート】原子力災害から地域コミュニティ再生を目指す

訪問先:ふくしまファーマーズマーケット「ここふく」実行委員会
訪問日:2014年6月20日
取材者:鈴木亮

お世話になっています。福島担当・鈴木亮です。
東北の復興に取り組んでいる活動団体の動向を紹介する「レポート」コーナー、福島県の第三弾では、福島市に2014年夏に誕生した「ふくしまファーマーズマーケット『ここふく』」を紹介します。福島市のNPO法人ライフエイドが事務局を務め、実行委員会形式で企画を進めていますが、今回は生産者の想いにフォーカスして取材しました。

―― Q.取り組んでいる地域課題は?

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東日本大震災による原子力災害・放射能汚染によって分断された地域コミュニティの再生の現場では、震災から3年3か月を経た現在も厳しい状況が続いている。福島県の農業生産者は、検出限界値(N.D.)5~20Bq/kgレベルで放射能測定を続けている。個々の地域、個々の生産者や加工業者・飲食店の課題に対しては、行政をはじめ支援の輪が少なからず届いているが、先の見えない放射能汚染に対し「作って測り続けるしかない」状況と、「現場の努力が正しく伝わらない事による、県民の意欲をくじく放射能議論」の存在が、生産者と消費者の溝を深くし、再生の意欲を損なっている。

例えば、二本松市東和地区にあるNPO法人「ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会」では、震災後、「里山再生・災害復興プログラム」を策定し、新潟大学、横浜大学、茨城大学、東京農工大学などの協力のもと、森林の再生、田畑の放射能移行低減、農作物ゼロベクレル(N.D.5Bq/kg以下)目標に取り組んできた。これらを可能にしているのは、震災前から「君の自立、ぼくの自立がふくしまの自立」をコンセプトに、地域の課題に向き合い、地域コミュニケーションを密にとってきたことによるところが大きい。震災後も「孫に食べさせてやれる農産物を取り戻したい」という強い願いを根底に、農家・家族・消費者の安全・安心による地域コミュニケーションの復活に取り組んできたおかげと言える。NPO法人「福島県有機農業ネットワーク」は、このような二本松市をはじめとする生産者による放射能測定と地域コミュニケーションの実践を広く県内、県外、海外へ発信し、篤農有機農家の連携を強めてきた。東京都世田谷区にはアンテナショップ「ふくしまオルガン堂 下北沢」を開店し、販売・交流・発信の拠点として機能している。このような生産者の取り組みを伝える「顔と顔の見える対話の場」は、福島県内にこそ、まだまだ必要とされる現状がある。

―― Q.どのような取り組みをされているのですか?

福島県有機農業ネットワークが2013年11月に開催した「ふくしまオーガニックフェスタ2013」は、県内外から来場者3,000人を集客した。2014年9月14日には、実施体制をより若手に移譲しての第二回開催を予定している。さらに福島市において、生産者の努力を直接伝えられる、より定期的な農家市の普及を目的に、「ふくしまファーマーズマーケットここふく」を準備中である。第一回は7月20日を予定。第二回を9月28日頃に予定している。生産者、加工業者、飲食店、NPOが力を合わせて、放射能汚染によって分断された福島市周辺の生産者と消費者の地域コミュニケーションの再生を目指す。(出店要綱より「たとえ今は福島県産品を買えない消費者であっても生産者と消費者が対話をして、お互いを知って、繋がって、信頼関係を築いた上での将来的な消費活動と選択の自由に裏打ちされた、これからの地産地消というものの在り方を、東日本大震災を経験した私たちが、全国へと発信するマーケットを目指します。そしてイベントを通じて出店者同士・出店者と地域・消費者と地域が「ここで繋がる」ことを目的として開催致します。」)

―― Q.どの様なメンバーで取り組まれているのでしょうか?

福島市の飲食店経営者で作る「NPO法人福島ライフエイド」が事務局を担い、10名ほどの実行委員会形式で運営している。出店者は20団体ほど。中合百貨店、福島市商店街が協力。(助成:ふくしまの恵みPR支援事業)

―― Q.困っていることはありますか?

震災から3年3か月がたち、放射能汚染に対する生産者の測定の取り組みについて、依然として根強い偏見が存在する一方、「寝た子を起こしたくない」という風潮も広がっている。消費者だけでなく、生産者の中にも、放射能汚染については触れたくない、という意見は多い。しかし、沈黙していては何も解決しない。コミュニケーションの取り方に、ますます工夫が求められている。

―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?

情報発信支援、およびノベルティ制作/CM制作:農家市を定期開催していくため、シリーズ的な情報発信に力を入れたい。放射能測定という専門性が求められるコンテンツを発信するための知見を持つメディアの協力を得たい。また、来場者とのコミュニケーションを促進するための、面白味のあるノベルティ(買い物袋等)やCM制作に力を入れたい。

社内研修ツアー/社員ボランティア:農家市に企業ボランティアとして若者ボランティアと共に参加し、農家と交流する。特に県内で復興支援に取り組む企業に、少数からでもご参加いただきたい。放射能測定の現場、地域再生の生の声に触れる事で、福島県の「ふるさとを愛する気持ち」を共有する機会に触れていただきたい。

<了>


【関連情報】
(URL)ふくしまファーマーズマーケット ここふく http://f-lifeaid.org/kokofuku/
(URL)ふくしまオーガニックフェスタ http://fukushima-organicfes.net/
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2014年7月17日 09:19

【レポート】内陸支援拠点「遠野市」からの挑戦は今

訪問先:NPO法人遠野まごころネット
訪問日:2014年6月25日
取材者:中野圭

こんにちは、岩手の中野です!
今回は岩手県遠野市の遠野まごころネットの栁澤さんにお話をお聞きしました。

―― Q.取り組んでいる地域課題は?

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地域において必要とされることをやる、ということを考えてやってきた。震災当初はやはり物資が不足し、瓦礫を一刻も早く撤去することが求められていた。だが今、それは必要ない。現在必要とされていること、あるいは地域の課題のされていることはコミュニティをいかに作るか、そして生業をいかに作るか。津波の影響でコミュニティは一度崩壊し、現在も状況の変化に応じたコミュニティ形成支援の必要がある。また障がいのある方など社会的弱者への支援も少ないことや、求人求職のミスマッチが非常に大きくなっていることも課題。一方、岩手で生産したものの販路拡大も大きなテーマである。復興を進めていくために、交流人口を拡大していかなければならないという思いも強い。沿岸被災地の今の課題は沿岸被災地に特有のものではなく、内陸もそうであるし、日本全体が抱える課題といってもいい。

―― Q.どのような取り組みをされているのですか?

コミュニティ形成支援という点では農園を活用したコミュニティづくりの場、弁当屋の立ち上げ、お茶っ子サロンなど多様に取り組んできた。生業づくりにつながる部分も多く、ハーブの栽培やワイナリーづくりにも取り組んでいる。大槌には大槌たすけあいセンターを開設し、生業づくりと地域産品の第六次産業化にも力を入れている。関連してこれらの事業において被災地の障がいのある方などが働ける環境を整備している。

また、ここで作られた産品を全国に向けて提供していくために、東京事務所を開設し販路の拡大にも取り組んでいる。東京事務所の役割としては、被災地の情報を発信し、首都圏の企業や団体、個人が被災地に関わるきっかけを提供することもあげられる。生業づくりとして岩手県にあるあまり知られていない良品のデザインを洗練化し、販路を拡大するという取り組みにもチャレンジしている。

コミュニティ形成に関しては自主性がキーワードになる。実際、地域の人口は減り続けているし、今後も減少傾向をとめるのは難しいと感じる。コミュニティだけの問題にせず、経済振興を含めて考えることが必要。ボランティアも交流人口拡大の重要な部分。内容はもちろん状況に応じて変わるので、その時々の地域ニーズを把握することが求められている。

―― Q.どの様なメンバーで取り組まれているのでしょうか?

現在は職員が15名ほど。パート、就労支援センターの利用者が10名ほど。ボランティアに関しては、日によってばらつきがあるのでなんとも言えないが、平日10名ほどで週末は20名から100名までいくこともある。これからまた夏休みになると増えてくることが予想される。

―― Q.困っていることはありますか?

団体が活動を継続していく上で永遠のテーマとも言えるのが「カネとヒト」。資金はどうしても必要であり、助成金の申請や寄付のお願いもしている他、さまざまなファンドレイジングを工夫して行っている。これだけではもちろんだめなので、自主事業の部分を伸ばしていきたい。

ヒトに関しては職員の大半が多くの業務を抱えるマルチタスクでやっている。運営を安定化、健全化させるためにも団体としての体制をもっと強化しなければならない。

―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?

資金面でのサポートは非常に大切であると感じる。外から多くの人材が被災地に入り、関わり、復興に携わっていると言えるが、もっと入ってきてもいいと思う。今の被災地にはとにかく人材が不足している。そしてそのためにも、安定した仕事・事業を生み出すことが大事であり、資金面・人材面の支えが今後ますます求められる。

<了>


【関連情報】
(URL)NPO法人遠野まごころネット http://tonomagokoro.net/
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2014年7月17日 00:49

【レポート】石巻・仮設住民による復興住宅に向けてのコミュニティづくり

訪問先:石巻仮設住宅自治連合推進会
訪問日:2014年6月12日
取材者:池座剛

今回は応急仮設住宅の仮設自治会・住民の立場で災害公営住宅移行時の地域コミュニティ形成について取り組まれている「石巻仮設住宅自治連合推進会」(石巻市)の内海さん(事務局長)にお話をお聞きしました。内海さんをはじめ皆さまにはいつも大変お世話になっております。

―― Q.取り組んでいる地域課題は?

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2011年12月に石巻の仮設住宅の自治会長が集まり孤独死防止や快適な住民生活やできるだけスムーズに生活再建ができるよう石巻仮設住宅自治連合推進会(以下、自治連)を結成しました。今後重要な課題としては、仮設住民が災害公営住宅や各地域に移転した時に、移転先で円滑に新しい生活を送ることができるかという点が1つ、また仮設住宅から人が徐々に出ていく中で残る人たちの暮らしの問題です。

―― Q.どのような取り組みをされているのですか?

災害公営住宅や復興住宅周辺でのコミュニティ形成については、まず仮設住宅と借り上げ住宅の住民(自治会長を中心に)復興住宅に移った後のコミュニティ形成への関わり等についてアンケート調査を実施しました(対象133団地、復興公営住宅入居者149戸、復興住宅建設予定地区町内会計4地区)。

また、調査以外にも移転先の住民と交流を開始しています。例えば、復興住宅の建設が予定されている石巻市の市役所大通り(駅周辺地区)では、周辺の4つの町内会が集まり土地区画整理事業を進めてゆく上で、市役所大通り沿い全体の「まちづくりのビジョン」を地域自ら考えるために、地域住民や商店会、商店主を中心に「市役所大通り街並み委員会」をつくり1年以上活動を続けています。この度の復興住宅の移転にあたり、自治連も委員会に参加し、復興住宅に移った人が地域コミュニティに円滑に参加していけるよう協議しており仮設住宅住民の思いを伝えたところ一つの地域住民として受け入れたいと仰ってくれました。

具体的には今後、食品関連企業と連携し料理教室を展開し石巻の仮設住民や復興住宅に移る住民、地域住民とが顔を合わせられる機会をつくることを予定しています。また、復興住宅への入居者が決まった時点で行政説明会が開催されるのですが、その際に交流会を実施することも考えています。これまで自治連では、仮設住宅の住民同士の交流をはかる有効な手段としてカラオケ大会を実施してきましたが、これからは仮設住宅住民と復興住宅住民との合同カラオケツアーなども展開していきたいです。

上記の取り組みに加え、復興住宅に設置される集会所を住民および周辺住民が使えるように市役所、住民団体などと工夫していく予定です。尚、残された仮設住宅のコミュニティ維持に関しては、理事会の頻度が月1回から隔月になるのでコミュニケーションをどう密にとっていくかが課題です。

―― Q.困っていることはありますか?

団体の活動を支える事務局スタッフ(1名)を募集しています。石巻に関係のある人を希望しています。

仮設住宅の多くの団地で自治会が解散しはじめており、自治機能をどう補てんしていくかで悩んでいます。これまでの見守り機能をあきらめ、これからは連絡員を置いて対応することも考えています。

―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?

今回県から頂戴した補助も自己負担分の2割は皆さまからの寄付(会費)でまかなうことができました。これからも活動は続きますので応援をお願い致します。自分達の活動を発表していき被災地域住民の状況を伝えていく場や寄付を集める場を紹介して頂けると有難いです。引き続きよろしくお願い致します。

<了>


【関連情報】
(URL)石巻仮設住宅自治連合推進会 http://ishinomaki-jichiren.jimdo.com/
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2014年7月15日 16:13

【レポート】町外コミュニティづくり

訪問先:二本松・浪江連携復興支援センター
訪問日:2014年6月6日
取材者:鈴木亮

お世話になっています。福島担当・鈴木亮です。
東北の復興に取り組んでいる活動団体の動向を紹介する「レポート」コーナー、福島県の第二弾では、二本松市に2013夏にオープンした「二本松・浪江連携復興支援センター」を紹介します。センター代表代行で、まちづくりNPO新町なみえ理事長の神長倉豊隆さんにお話を伺いました。

―― Q.取り組んでいる地域課題は?

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地震・津波・原発事故の被害が大きく、避難区域が全域的に及んだ6町(双葉、大熊、富岡、浪江、楢葉、広野)の中でも浪江町は避難指示解除準備区域が40.5%、居住制限区域が42.3%と町が二分されている。また役場・社協の避難先が二本松市と、比較的事故を起こした原発に近く、避難住民がまとまりづらい状況がある。2014年6月時点での避難状況は、人口21,074人のうち、県内避難14,692人、県外避難6,382人である。県外避難は国外も含めほぼ全国に広がり、県内避難も福島市3,522人、いわき市2,603人、二本松市2,342人、郡山市1,712人、南相馬市1,219人、その他さまざまな地域に分散している。

このような状況の中、まちづくりNPO新町なみえは二本松市を拠点に、早稲田大学都市・地域研究所 佐藤 滋研究室の協力を得て、20~30年の長期にわたる2地域居住のコミュニティづくりとして、浪江町民の絆維持と、避難受入自治体である二本松市民との絆創造に取り組んでいる。2013年夏にはNPO法人・まちづくり二本松の協力の元「二本松・浪江連携復興支援センター」を設立した。

二本松市は平成の旧二本松市、安達町、岩代町、東和町が合併した人口56,485人の歴史ある城下町である。東和地区では農業者によるNPO活動が盛んで、放射能対策の先進地域となっている。市街地である旧二本松市地域は二本松駅前にNPO法人まちづくり二本松が指定管理者である二本松市市民交流センターがあり、復興の集いが頻繁に開催されているが、二本松市民側として浪江町民との交流の動きは活発とは言えない現状がある。

―― Q.どのような取り組みをされているのですか?

まちづくりNPO新町なみえとして、早稲田大学やふくしま連携復興センターと協力し、復興まちづくりワークショップ/シンポジウムを継続的に実施している。民間版まちづくり計画「浪江宣言」を11年7月と13年3月に発表。2014年3月11日は東京の支援団体「浪江きてほしいTシャツプロジェクト」と連携して、Tシャツコンテスト表彰式を開催し、寄付型オンデマンド販売を開始した。2014年度は各地の浪江自治会のサポート、郷土行事の開催、二本松市の町外コミュニティ/商店街活性化など、多岐に渡る活動を予定している。

―― Q.どの様なメンバーで取り組まれているのでしょうか?

まちづくりNPO新町なみえとして、5名ほど(無報酬)。二本松・浪江連携復興支援センターのスタッフが数名。

―― Q.困っていることはありますか?

そもそも「コミュニティ」の概念に関する住民の発言・議論の機会が少ない。単に住宅や商店街があるかないかではなく、学校があり、住民の支え合いがあり、個々のコミュニティだけでなく、村全体の将来を語り合える仕組みが重要だが、住民が話し合い、役場と対話する事がまだまだできていない。

2地域居住に対して行政制度が追い付いていない。住民票を移さないと越えられない壁があるが、移せない/移したら戻せないという問題がある。

―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?

<浪江、二本松両方の実力あるキーパーソンの参加促進>
現在は商工会の人脈が強いのが強み。自治会、農業者、社協、NPOなど地元の多様なキーパーソンの参加を促進するための機会、支援を必要としている。

<浪江きてほしいTシャツプロジェクトへの支援・協働>
浪江町のこどもや全国から募ったデザインで、ふるさと・浪江に帰れる日まで支える活動として2013年始まった支援プロジェクト。毎年夏にデザイン募集をして、3月11日に表彰式をします。Tシャツはオンデマンドで購入可能。復興イベントや日常でのメッセージPRとして活躍していただけます。

<事業協賛・助成>
二本松・浪江連携復興支援センターとして人件費は確保できていますが、事業費が確保できていません。ニュースレターの発行、絆イベント、組織基盤強化研修事業など、長期的な視野で活動を持続的にしていくための支援を必要としています。

<了>


【関連情報】
(URL)二本松・浪江連携復興支援センター http://nnrenkei.world.coocan.jp/profile.html
(URL)NPO法人 新町なみえ http://sinmachinamie.com/
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2014年7月10日 13:05

【レポート】移りゆくコミュニティ、如何につなぐか

訪問先:NPO法人夢ネット大船渡
訪問日:2014年6月18日
取材者:中野圭

こんにちは、岩手の中野です!
今回は大船渡市をはじめ岩手県気仙地域でさまざまな復興支援活動を展開する夢ネット大船渡の岩城理事長にお話をお伺いしました。

―― Q.取り組んでいる地域課題は?

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時間の流れとともに、住まいの移り変わりが始まっている。応急仮設住宅はこれまでの支援活動を通して大体どこに誰が入居しているかが把握され、どのように支援をしていけばいいか考えることができた。今後災害公営住宅に移転した際には誰がどこに入っているかまたわからなくなってしまう。先日当法人の総会の中でも呼びかけたが、ぜひ会員経由で災害公営住宅の入居者の知り合いをつないでもらい、効果的な支援につなげたいと思う。

また災害公営住宅の中での世話役となる自治会長のような存在をいかに作るか。大船渡でも災害公営住宅には集会所が設けられコミュニティの形成に役立つものになるはずだが誰が鍵の管理をしたり、取りまとめたりしていくのか。高齢者も非常に多い中で課題になると感じている。

夢ネット大船渡としても主に地域の会員等をたよりにしてサロンなどを企画していきたい。マンパワーも限られるので災害公営住宅全てには無理だが、何箇所かを支援モデル地区のようなかたちで設定し重点的に支援しながら他の災害公営住宅へも輪を広げていきたい。

―― Q.どのような取り組みをされているのですか?

気仙地域の復興の様子を伝える「復興ニュース」を配布しながら、会員や知り合いを通じて見守りをしていく。個人情報の壁もあり、災害公営住宅に移行した際にはどこに誰が入っているかはわからないということが起きるので、まずは把握するということが必要になる。また、災害公営住宅でのサロン活動も行いたい。その中で入居者の世話役的な存在が欠かせないが、行政が段取りをしてやらなければならないし、場合によっては積極的に連携もしなければならない。市内でも都市部の災害公営住宅は様々な地域からの入居が予想されるので特に重要。そうしたところをモデル的に支援したいと思う。

しかしながら、行政に頼るだけでもいけない。住民自身が見守り、住民自身が課題意識を持ってコミュニティ形成を担っていく環境づくりが一番大事になる。

―― Q.どの様なメンバーで取り組まれているのでしょうか?

会員は地域内に23人、地域外が10人ほど。三陸鉄道のふれあい待合室なども含め9人が雇用、非常勤で3人、いわて復興応援隊が2人。課題の全てに取り組むことはおそらく難しいので、何に取り組むべきかしっかり考えながら臨みたい。

―― Q.困っていることはありますか?

大船渡は外部からの観光などに対する受け入れ体制が一本化されておらず、逆にわかりにくい。経済の復興、雇用の創出、交流人口の拡大がこれからの地域課題になる中で、その整備が必要になる。

仮設住宅の集約も簡単ではない。さまざまな状況の人が住んでいる中で集約を急ぐのは難しい。仮設に残ってくるのは経済的にも精神的にも厳しい人が多いようだ。その人たちに移転を求めていくことは丁寧な説明と調整が必要になる。

―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?

災害公営住宅でのイベントをおこなっていきたいので、手品、歌、おどり、手芸など何か人が集まって行えるものを提供できる方と連携していきたい。

岩手県でも人口流出対策が叫ばれている。人口はどんどん減っていく。現在の規模でまちを作っていっても、人がいなくなる。災害公営住宅でも人がすまなくなる。これからも被災地に足を運び人口の流動を促したい。ただ、外からくる方々を現地でコーディネートするためにも資金が必要となる。しっかり経済を回しながら人を呼び込む体制づくりにもご協力いただきたい。

<了>


【関連情報】
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2014年7月 9日 13:11

【レポート】仮設住宅の見守りとコミュニティ形成、いまとこれから

訪問先:NPO法人陸前たがだ八起プロジェクト
訪問日:2014年6月13日
取材者:中野圭

こんにちは、岩手の中野です!
今回は陸前高田市モビリア仮設住宅の支援に取り組むNPO法人陸前たがだ八起プロジェクトの蒲生さんにお話をお伺いしました。

―― Q.取り組んでいる地域課題は?

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震災当時、陸前高田市のモビリアというキャンプ場の支配人をしていた。震災後多くの避難者がモビリアに押し寄せてきたので、そのまま避難所として開設した。その後、避難所が解散し、そのまま仮設住宅ができた際に外部支援者から「これからだよ」という言葉がかけられた。過去の震災事例では孤独死、やりがいづくり、いきがいづくりという課題がいかに大きかったかをその時に学んだ。現在はモビリア仮設住宅団地に常駐しながらの支援を行っている。コミュニティの形成を目的とした自立支援サポートが大きな活動となっている。

今年の終わり頃から仮設を出ていく人が増えるだろうと感じている。モビリアは市内でも最後まで残る仮設団地のひとつと予想されており、今後入退去が増えるのでその点もしっかり意識しておきたい。

―― Q.どのような取り組みをされているのですか?

全般的に言えばサポートセンターの役割を果たしている。住民の相談窓口、自治会サポート、団地へのイベント受け入れ調整、現在は少ないが物資配布など。特に自立を促すためのイベントのサポートや、コミュニティ形成も兼ねる畑作業、高齢者の自主的なお茶会、手芸サークル、麻雀サークル、男の料理教室など。

今後は仮設間、地域間、在宅と仮設の溝など、いまだに埋まっていないさまざまな「溝」をつなぎ、フォローしていくことがどうしても必要になってくるので、モビリアだけの支援というわけにはいかないと感じている。その溝を埋める作業が広い意味で本質的なまちづくりにつながると感じている。

―― Q.どの様なメンバーで取り組まれているのでしょうか?

常勤で4名のスタッフ、理事が代表含め5名、監事1名。中越防災安全推進機構やNICCOといった外部からの応援者に支えられた部分も大きい。

―― Q.困っていることはありますか?

地域として、復興の全体感としては落ち着いてきたと思うが、NPO/市民活動セクターの活動がまだ求められている中にあって、その活動環境はまだ整っているとは言えず、不安定な部分がある。自分たちの組織もそうだし、地域としても、この陸前高田でしっかりとした立ち位置を作り出していかなければならない。

―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?

復興というのは被災地沿岸多様だが、まだ復興支援は必要だと感じている。その中で今後一番危惧しているのは人口流出。震災以前から進行していたこの課題は、震災を経て一気に進んでいる。もちろん被災地だけの課題ではないし、簡単な解決策があるわけでもないので、全国の皆さんのお知恵やお力をぜひ貸してほしいと感じている。

<了>


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2014年7月 2日 09:02