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ご報告:JCN「答えは東北にあるツアー」福島編レポート

福島より;JCN「答えは東北にあるツアー」福島編レポート

いつも大変お世話になっています。
JCN事務局、福島担当の鈴木亮です。

去る11月20と21日、「JCN答えは東北にあるツアー福島編」が開催されました。
東日本大震災から7年8か月が経過した東北の現場で取り組まれる様々な活動から、日本だけでなく世界中にとって役立つヒントを見出すツアー、第二弾の福島編です。
定員20名を超す盛況ぶり、お天気にも恵まれ、事故もなく開催でき、感謝です。

以下、レポートです。

☆JCN答えは東北にあるツアー2018・福島編レポート☆


■ 11月20日(火)

① 広野わいわいプロジェクト 理事長・根本賢仁さん

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 双葉郡8町村の中でも「東北に春を告げる町」として風光明媚な広野町。
蛍舞う浅見川、童謡「とんぼのめがね」の石碑、みかんの丘など郷愁たっぷりな人口5500人ほどの町です。
2012年4月にいち早く避難解除がなされ、現在は人口は9割以上に達しました。
しかし広野駅前の商店街は人通りが激減し、子育て世代の帰還も厳しい状況とのことです。
根本さんが理事長を務める「広野わいわいプロジェクト」では、オーガニックコットンの栽培や防潮堤の植林ボランティアを通して交流人口を増やすとともに、前でマルシェを開くなど、にぎやかしイベントを通して町の活性化に取り組んでいます。
「新しい東北」事業にも採択され、NPO法人化するきっかけにもなったそうです。

② 木戸川漁業組合 ほ場長・鈴木謙太郎さん

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 楢葉町では名物農家レストラン「げんき庵」で美味しいランチとコーヒーを頂いた後、木戸川漁業組合を訪れました。
ほ場長・鈴木謙太郎さんが震災当時の写真も交えて丁寧にお話してくださいました。
震災前は多い時に1200~1500万匹もの鮭の稚魚を放流し、年間平均7万匹、多い年は16万匹もの漁獲があった時期もあったそうです。
2015年に楢葉町の解除と同時に稚魚の放流を再開し、徐々に規模を回復してきました。
鮭は生まれ育った川に戻る習性がありますが、通常4年で戻ってくるそうですから2019年から少しづつ漁獲が増えてゆくことが期待されます。
今年の秋の漁獲数は3000~4000匹ほど、来年2019年春の稚魚放流は330万匹ほどを準備中とのことでした。

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(鈴木謙太郎さんの解説の動画はこちらから)

 動画①(17分):漁協にて

 動画②(13分):木戸川にて

(写真)農家レストラン「げんき庵」のランチ
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③ ならはみらい 事業統括・平山将士さん

 楢葉町の復興まちづくり会社として設立されたのが一般社団法人ならはみらいです。
 管理運営を町から委託されている交流館「ならはCANvas」で、事業統括の平山将士さんが町の課題と取り組みをお話してくださいました。
 生活再建支援事業、町民活動サポート事業として藍染や案山子づくりの取り組み、交流促進事業であるスタディツアー受け入れ、
 新たに始まった指定管理事業について説明していただきました。
 コンパクトタウンの交流拠点「ならはCANvas」や、ボランティアの学生が無料で使える「みらいハウス」について、
 これからの活用について一緒に考え、協働する仲間を募集、とのことでした。

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④ とみおかホテル 社長・渡辺吏さん&ホテルひさご 社長・平山勉さん

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 初日最後のプログラムは、富岡町に新オープンした民間アーカイブ施設「ふたばいんふぉ」での交流会でした。
 前半に、とみおかホテル・渡辺吏社長と、ホテルひさご・平山勉社長のトークを通して、
 富岡町の現状とこれからの展望を学ばせていただきました。
 後半は、川内村もりあげっ課・辺見珠美さんがプロデュースする「浜通りの幸」を肴に歓談タイムとなりました。
 広野町、楢葉町、富岡町を順に視察する事で、避難解除までの時間と、避難解除からの時間の長さによる町の復興の違い、
 さらにそれぞれの地域ごとに抱える事情の違いによる課題の多様さなどを垣間見ることができました。

 最後に、夜の富岡町を平山勉さんがマイクロバスで案内してくれました。
 昼間とは全く違う避難地域の様子に言葉を失う人も多かったようです。

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■ 11月21日(水)

④ 双葉郡未来会議・平山勉さん
 昨晩に続いて二日目の午前は、平山勉さんのご案内で富岡町を視察しました。
富岡駅の隣の仮設焼却施設や再開した農地、夜ノ森の帰還困難区域との境界の住宅地、
二つある30メガ規模の太陽光発電所、津波が駆け上がったホテル観葉亭の跡地、被災パトカーなど。
最後に役場隣の総合文化施設「まなびの森」で、2018年春に再開した図書館も見学させていただきました。

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⑤ 双葉町・松枝智之さん

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 富岡町から浪江町まで、国道六号線を通り帰還困難区域を通過する間、
元双葉町役場職員で、ふたば行政書士事務所の松枝智之さんに、双葉町の現状をお話いただきました。
町民向け休憩所「ふれあい広場」では、町の復興計画のジオラマ展示やビデオを使いながら、
めったに知ることができない双葉町の地元の人の解説を聞かせていただくことができました。
双葉町では2020年春の常磐線全線再開通(夜ノ森駅、大野駅、双葉駅の3駅)に合わせ、
特定復興再生拠点の整備が進められ、復興祈念公園の計画も着々と進められています。

⑥ まちづくりなみえ 菅野孝明さん

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 浪江町は富岡町と同じく2017年春に一部避難解除が行われ、復興まちづくり会社まちづくりなみえが活動を開始しています。今回の視察では、まさに翌11月22日に浪江駅前にオープンするカフェ「もんぺるん」を特別に使わせていただき、ちづくりなみえの菅野孝明さんに町の現状と課題をお話いただき、美味しいランチも楽しませていただきました。
定期的に更新している「なみえ復興レポート」では詳細な地域別の状況などを説明。
町内では約700ほどの事業、4つの工業団地誘致が並行して進行中とのことです。
地域の人が憩える場所づくり、生きがいや仕事の創出、年間120回を超える視察の対応、コミュニティ再生支援としての訪問活動と自治会サポート、イノベーションコースト構想も活用した交流人口拡大、子どもの教育環境づくりなど、とにかく課題山積な現状を学ばせていただきました。
一番大事なのは「学び」。少子高齢化が一気に進んだ課題先進地・浪江町の「この町の現状そのものが資源」という菅野さんの言葉が印象的でした。

⑦ 浪江まち物語つたえ隊 石井絹江さん&おか洋子さん
  なみとも 和泉亘さん&小林奈央子さん

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 最後は浪江町のゲストハウス「あおた荘」を運営する団体「なみとも」の和泉さん・小林さんと、
 紙芝居で震災伝承に取り組む「浪江まち物語つたえ隊」の石井さん・岡さんの4人をお迎えし、
 バスで沿岸部の津波被災地を案内していただき、あおた荘で紙芝居「町役場職員物語」を披露していただきました。
 震災当時の役場職員が置かれた過酷な状況を直球で伝える紙芝居に胸をうたれました。
 震災伝承のため、どこへでも出て行って、様々な物語を演じているそうです。

【限定公開】浪江まち物語つたえ隊&なみとも:https://www.facebook.com/suzumeryo/videos/10210268225981110/
 ※試聴を希望するかたはFacebook経由で担当:鈴木までご連絡ください。

最後に・・・

 「答えは、東北にある」と題したツアーの福島編に関心を持っていただいた方は、ぜひJCNまでご連絡お待ちしています。
 個々の団体さんとの橋渡しや、ツアー企画のお手伝い、その他、連携協働のご相談など、なんでも承ります。

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また、前回のツアーの様子はこちらの記事をご覧ください。

JCN福島担当
鈴木亮 拝

●答えは東北にあるツアー報告~福島編~(2018年3月2日) 

そして、同時期に開催された岩手編の記事はこちらをどうぞ。

2018年12月25日 09:03

ご報告:JCNツアーin東北「答えは、東北にある。」岩手編

ご報告が遅くなりましたが、

11/7~11/8の1泊2日で、JCNツアーin東北「答えは、東北にある。」の岩手編が行なわれました。
これは、岩手の今を現場で学び、感じ、岩手との関わり方を考える機会ということで開催しています。

11/7:第1日目@宮古市、山田町、大槌町、釜石市(宿泊、交流会)
11/8:第2日目@大船渡市

という流れで、岩手県沿岸部で活動している団体との対話、そして現場を視察しました。


訪問先は以下の通りです。

■1日目
宮古市:NPO法人みやっこベース(会場:みやっこベース事務所)
山田町:一般社団法人げーぐり(折笠地区にある龍泉寺)
大槌町:一般社団法人おらが大槌夢広場 (会場:大槌町文化交流センター(おしゃっち))

宿泊場所は釜石市。参加者とスタッフとの交流会もしました。

■2日目
大船渡市:NPO法人おはなしころりん(会場:大船渡市防災観光交流センター)
大船渡市:株式会社キャッセン大船渡 (会場:湾岸食堂 キャッセン大船渡内)
大船渡市:NPO法人おおふなと市民活動センター(会場:キャッセン大船渡コミュニティスぺース)

岩手県は内陸部から沿岸部まで2時間程かかります。
一泊二日ですべての地域を見て回ることは難しいことですが、地域の為に活動している団体と直接対話したことで、「今どんな状況なのかがわかった」「色々な見方・考え方があり大変参考になった」などの声が聞かれました。

メディアを通じてではなかなかわからない「生の声」を聞く、復興の状況を「自分の目」で見る事が出来るというのは、きっかけや機会がないとなかなか難しいことだと思います。

私たちも、岩手の復興やその先のまちづくりの活動について、もっと広く発信していきたいと思いましたし、人や地域、様々な資源をつなぎ、岩手の復興とその先に向けて動いていきたいと思っています。


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↑山田町のげーぐりさんと

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↑大船渡市のキャッセン大船渡さんとおおふなと市民活動センターさんと


今年度のJCNレポートでは、その「人」にフォーカスし、お届けすることになっています。
ぜひ、お楽しみに!

文責/いわて連携復興センター 高田真理子


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「JCN REPORT」は、「岩手・宮城・福島のいま」を伝え、
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VOL7 『東北の住まいと暮らしの今』2017年7月  A4版 (2.4MB) 
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2018年12月 7日 10:45