山形では地元NPOが連携して、県と協働で「復興ボランティア支援センターやまがた」を設立。情報誌「うぇるかむ」の発行や「支援者のつどい」の開催を通じて、避難者や支援者ネットワークを支えています。
復興ボランティア支援センターやまがたスタッフ 多田曜子さん
被災三県に隣接する山形県には、ピーク時で約14,000人もの避難者が生活していました。こういった人たちの生活や、支援活動団体を支えるために、平成23年6月に官民協働で立ち上がったのが「つながろう!ささえあおう!復興支援プロジェクトやまがた」です。県とともにこの事業に携わるのは、長年地域で活動してきた、専門分野の異なる三つのNPO:災害支援を専門とする「ディー・コレクティブ」、情報支援を得意とする「yamagata1」、中間支援組織「山形の公益活動を応援する会・アミル」です。
個人情報を所有しつつ、その開示や臨機応変な対応の難しい行政と、現場と直接つながり機動力を有するNPOや市民団体を結びつけることによって、現場のニーズに即した支援体制の構築することが可能となります。そこで、その拠点として山形市内に復興ボランティア支援センターやまがたが設置されました。被災元自治体の発行する情報など、避難者や支援者に必要な情報が集約されている他、相談や交流の窓口としての機能も果たしています。
毎月定期開催されている「支援者のつどい」
支援者がネットワークを構築し、情報共有を図ることは、支援の全体像や課題把握の上でも役立ちます。そこで山形市内では毎月「支援者のつどい」を定期開催しています。また、必要な情報を集約したウェブサイトを開設し、避難者ニーズに応えるフリーペーパー「うぇるかむ」を発行して、毎月、市町村を通じて避難者へ郵送を続けています。
「広域避難者の方の抱える課題はさまざまです。集会に来ることが難しい人たちが孤立を感じないためにも、集まる場があることを示していくことが必要なのです」。「うぇるかむ」の編集を担当する多田曜子さんは、当事者に耳を傾けることが大事だと「みんなの声」というコーナーを設置し、それぞれの人たちの抱える複雑な思い、生の声を伝えることを大切にしています。そして、いろいろな立場や見解から発信される情報を並べて配信することで、受け取る人が自ら選び取ることができるような、中立的な情報発信を心がけているそうです。
支援フェーズが変わり、必要とされる情報も変化しています。センターでは現在、避難者の抱える個別のニーズを臨床心理士や看護師、弁護士といった専門家につなぐ役割も果たしています。「今後、仮にセンターがなくなったとしても、それぞれの活動団体が、日常活動を通じて避難者を支え続けていける体制をつくりたい…」。復興ボランティア支援センターやまがたは、これから先も続く「場づくり」を視野に入れ、県境や専門分野をまたいだつながりの構築に取り組み続けています。