中間支援組織として秋田県内の市民活動を支えてきた「あきたパートナーシップ」は、市民活動支援拠点「遊学舎」を拠点に、行政や公的機関と連携し、市民ファンドも活用しつつ、ボトムアップ活動を支えています。
秋田県では、県が震災後まもなく「被災者受入支援室」を立ち上げ、「秋田県避難者交流センター」を設置。避難者を避難者支援相談員として採用して、情報誌「スマイル通信」の発行や交流会の開催を行なっています。
行政と民間の活動をつなぎ、ボトムアップ型の市民活動を支援する上で重要な役割を果たしているのが、県営の市民活動拠点「遊学舎」の指定管理者として県内の市民活動を支えてきたあきたパートナーシップです。「当事者ではない自分たち中間支援組織に何ができるのか」。震災直後は、手探りでとにかくできることから取り組んでいったと、あきたパートナーシップ副理事長の畠山順子さんは振り返ります。そして、普段から付き合いのある市民団体やボランティアから、被災地支援の問い合わせや避難者からの相談を受けることで得た情報を集約し、行政と活動現場を結ぶ役割を果たしてきました。
こうした連携の動きがあり、秋田県では平成24年4月には震災後、県や社協、大学、企業、NPOや市民団体、マスコミなどが参画する「災害ボランティア活動あきた会議」が立ち上がりました。そして、県のイニシアティブによって「秋田県避難者支援団体連絡会議」や「秋田県避難者交流センター」も生まれています。
あきたパートナーシップ副理事長 畠山順子さん
秋田県の支援で特徴的なのが、「あきたスギッチファンド」という市民ファンドの活用です。「県民や企業、行政などから集めた寄付や資金を、地域課題に取り組むNPOやボランティア団体等に助成する」というこの仕組みのもと、避難者支援のために4年間で約1,800万円が34団体に助成されました。避難生活者の外出をささえる「お出かけ支援事業」や地元大学生らによる子ども向けの学習塾など、多様な活動が生まれています。
ファンドの元手は、地元の人たちに協力を求め、チャリティゴルフ大会などの開催を通じて集めていったと畠山さんは語ります。「ネットでクリックという方式は、秋田ではうまく浸透しません。人が思いを共有し、一緒にやろうと思える環境をつくることが大事だと、秋田の風土にあった方法で地道に支援を募りました。
小中高生の子どもたちを大学生が学習支援『子ども支援サポーター』
避難者からは、県の「被災者受入支援室」の他に、あきたパートナーシップが存在することで複数の相談窓口が存在することが「安心」につながると、励ましの言葉も寄せられているそうです。
「私たちは行政の関連部門や専門機関ともつながっていますので、受けた相談を適切につないでいくことによってお役に立てます。県との連携を通じて、それぞれの活動団体が強みを活かし、支え合う体制をつくっていきたいです」。
市民の活動拠点、遊学舎。市民団体の他、公的機関も多く入居している。