「避難者」とのかかわり 〜支援のカタチ〜

当事者団体

ひろしま避難者の会 アスチカ 《広島県》

相談対応 コミュニティづくり

交流カフェを軸に、広島市内外に避難している当事者をつなぐ「ひろしま避難者の会アスチカ」。団体名に込めた「明日へすすむ力」という思いを胸に、生活基盤や気持ちを整えながら、次のステップへ踏み出すサポートをしています。

カフェから生まれる「明日へすすむ力」

交流カフェ(クリスマス)

ピアカウンセリングとしての交流カフェ

広島市と広島市社協主催で初めての「避難者交流会」が開かれたのが平成23年5月。同年内で行政主催の交流会が終了することを受けて主催を避難者に移すことになり、そのとき手をあげたのが、いわき市から避難していた三浦綾さん。現在アスチカ代表を務めます。

「ひろしま避難者ネットワーク」と称し、平成24年1月に活動を開始。同年3月に第1回目の交流カフェを開催し、10月には正式に「ひろしま避難者の会 アスチカ」設立に至りました。翌々年の平成26年6月には、事務所を兼ねた避難者のコミュニティスペース「たねまく広場」もオープンしました。

現在は116世帯346名(平成28年10月)が登録するアスチカですが、最初はほんの4〜5世帯からのスタートでした。交流カフェの案内を送るなどして、広島市内外の避難者のネットワークを徐々に広げていきました。

アスチカ副代表を務める佐々木紀子さんは、「交流会では辛い思いを傾聴しあって、みんなで泣くことも多かった」と当初をふり返ります。当事者が主催していることもあり、「ピアカウンセリングの場になっているのがいい」と臨床心理士に褒めてもらったこともあるそうです。

避難者のコミュニティスペース「たねまく広場」の看板

社協のつながりを生かして「出張」開始

当初、月一回開催していた交流カフェは、広島市内に限られていました。すると、遠方で行けないという声が届くようになり、平成26年から市外への「出張交流カフェ」を始めました。

ここでも社協の協力が心強かったと言います。まず広島市社協と出張先の社協同士で連絡を取ってもらい、いわば「社協公認」のイベントとして開催しました。「アスチカ」を知らない方にも信頼いただきやすくなるためです。

アスチカの会員になってはいるものの、参加しづらいと感じているのは遠方の方ばかりとは限りません。男性は働いている方が多いこともあり、交流カフェなどへの参加は女性が圧倒的多数を占めます。

そこで、平成28年1月には初めて男性限定の「メンズ会」を開きました。こうした会に初参加の人もいたといい、担当したスタッフの岩木正裕さんは「職場でも避難生活の話をしないことが多い男性にはいい機会」だと語ります。こうして、なかなかイベントに来られない人も「取りこぼし」のないよう配慮しています。

来られなくても拠り所として

登録会員へのアンケートを見ると、交流会には出なくても毎月の情報紙が届くことで避難者同士のつながりを感じるといった声も少なくありません。「自分のことを把握してくれている場所があることが、心の拠り所になっているようだ」と三浦さんは見ています。

避難者自身が支え合うアスチカの今後を三浦さんと佐々木さんはどう見ているのでしょうか。「ほかの避難者の方と同じように、自分たちの生活にも変化が出ているなか、いつかは活動の終わりの時が来ます。その時を想定し、その時に会員の方たちが一つでも多く安心につながるものを得ていられるようにするにはどうすればよいのかということを意識しながらの活動になっていくと考えています」。

アスチカスタッフ(右から)岩木正裕さん、三浦綾さん、佐々木紀子さん

ひろしま避難者の会 アスチカ
〒733-0003
広島県広島市西区三篠町2-15-5
たねまく広場内
Tel. 082-962-8124
 http://hiroshimahinanshanokai-asuchika.com/
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