都内で生活する避難者は約6,800名(平成28年3月現在)。被災3県を除けば最も多くの避難者を受け入れている東京で、「広域避難者支援連絡会in東京(東京連絡会)」は中間支援団体として、当事者団体と支援団体との連携強化に尽力しています。
お正月準備の会での餅つき
活動の柱となっているのは、「広域避難者支援ミーティングin東京(以下、ミーティング)」の開催です。支援団体として東京連絡会に参加する13団体をはじめ、さまざまな支援者が集うオープンミーティングと、都内の当事者グループ14団体が集うクローズドミーティング(非公開会議)を、平成25年3月の第一回を皮切りに計12回開催してきました。
また、連絡会では前述の当事者グループとともに実行委員会を作り、「避難者と支援者によるふれあいフェスティバル」「お正月準備の会」といった、広域で交流できる機会をつくっています。東京連絡会として大事にしているのは、支援者がやりたいことではなく、避難者自身が何をしたいのかです。みんなで話すと決まらないこともありますが、話し合える関係性や場が重要だと考え、取り組みを続けています。
当事者と支援者の連携を築く上で工夫しているのが「バディ(相棒)制度」です。各当事者団体を担当する支援団体を決めてバディを組むことで、気軽に相談しやすい体制を整えました。当初は当事者と直接的なつながりがない支援団体もありましたが、バディ制度を生かし、担当する当事者団体に定期的に足を運ぶきっかけにもなっています。
東京連絡会に参加することによるメリットは支援団体にもあります。例えば「中央ろうきん」では、一団体10万円の「広域避難者地域活動サポート助成制度」を立ち上げました。当事者団体とつながったことで、たとえ小口の助成でも支援につながることが実感できたことがきっかけでした。
ミーティングには東京都の職員にも積極的に参加してもらっています。とくにクローズドミーティングでは、どこまでの支援ができるのか、率直に意見交換をしてきました。
行政のかかわりについて、連絡会では「広域」ゆえの難しさを感じています。三宅島噴火災害の支援活動の経験をふり返り、「三宅島の場合は、都内に避難してきた人も都民。東日本大震災のように県をまたいだ避難では、避難者への便宜と都民への住民サービスのバランスが難しい」そうです。
避難者と支援者によるふれあいフェスティバル
避難者のニーズが年々変化するなか、東京連絡会では、支援者だけでなく地域に暮らす地域住民とのつながりの必要性が増していると感じています。東京連絡会の事務局を担う加納佑一さんは、社協が運営する「東京ボランティア・市民活動センター」に所属する立場から、「地域とのパイプを持つ各地の社協がつなぎ役になれるはず」と期待しています。
また、支援活動に携わったことのない人には、広域避難の実態はほとんど知られていないのが実情。近所に住む人が実は避難者だと知ったら、どうすればいいのでしょうか。「避難者だから、という特別な対応はそれほど必要ないのでは。同じ地域に住む仲間として接してもらえるとよいのではないか」と東京連絡会スタッフの福田信章さん。これまで「支援」にかかわってこなかった人にこそ、新たな出番が待っているのかもしれません。
さまざまな支援者が集うオープンミーティング