福島県では、避難者支援課が中心となり、県外避難者へのさまざまな支援施策を行っています。避難者が多い都府県には「駐在員」を配置し、避難者受入自治体との調整を図るほか、避難者への戸別訪問を行っています。
避難者への情報提供としては、「ふくしまの今が分かる新聞」の発行や、全国各地の公共施設等への福島県の地元新聞の設置などを行っています。各種支援制度を紹介する「避難者支援ハンドブック」も発行しました。
また、福島県は直接的な支援だけでなく、避難者支援に取り組む民間支援団体への補助も行っており、全国各地の団体が活用しています。
避難者を受け入れている自治体(都道府県・市区町村)でも、独自の避難者支援の取組を行っている場合があります。
多く行われているのは、避難者への情報提供です。避難先での支援制度やイベント等について定期的にお届けしています。また、相談窓口を設け、避難者からの相談を関係する部署につないでいるところもあります。避難者への戸別訪問を実施しているところもあります。
そのほか、応急仮設住宅の供与期間終了後の独自支援として、公営住宅の入居要件の緩和や、公営住宅の無償提供の延長などを行っているところもあります。
東日本大震災による避難者に対して、災害救助法に基づき、応急仮設住宅が供与されています。建設型仮設住宅だけでなく、公営住宅等も供与されたほか、民間賃貸住宅の借上げも実施されました。各避難先自治体では、災害救助法に基づき、応急仮設住宅の供与に要した経費を避難元の県に対して請求することができますが(最終的には国が負担)、一部の自治体では独自の支援を行っているところもあります。
福島県の避難指示区域以外(平成27年6月15日時点)から避難されている方に対する応急仮設住宅の供与期間は、平成29年3月末をもって終了となります。福島県では、供与期間終了後の支援として、所得など一定の要件を満たした世帯を対象に、「民間賃貸住宅等家賃への支援制度」を設けています。また、避難先の自治体によっては、独自の住宅支援を行っているところもあります。
福島県内の復興支援に取り組むNPOなどの活動をサポートするために設立された「ふくしま連携復興センター」では、避難者支援の取組も行っています。福島県の委託事業として、避難者向けの電話相談窓口である「ふくしまの今とつながる相談室toiro」や、全国25箇所に設けられた「生活再建支援拠点」の事業統括などを担っています。福島県内の状況を把握している強みを活かし、今後も積極的な支援を進めていきます。
震災直後に設立したNPO、ボランティア団体など民間支援団体の全国規模のネットワーク組織。全国の避難者支援に取り組む人たちが情報交換できる機会を創出したり、各地の避難者支援情報を発信するウェブサイトの運営、避難者支援に関わる調査など、民間の取組を側面的にサポートしています。福島県やふくしま連携復興センターなど県外避難者支援に関わる機関と連携しながら、避難されている方々の暮らしをサポートしています。
24時間365日どんな悩みにも対応する総合型の電話相談事業「よりそいホットライン」。
音声ガイダンスに従って8を押すと「避難者・被災者支援専用ダイヤル」につながります。この専用ダイヤルは10〜22時までと時間は限られますが、全国どこからでも、匿名で相談することができます。
電話で相談するだけではなく、相談内容に応じて、折り返して必要な情報提供をしたり、専門家による対応を行うことや行政窓口や医療機関などへの同行支援なども行っています。このような「つなぐ」支援によって、相談される方の悩みが少しでも軽くなるような取組があります。
専門の職能を持っているところや専門職の人たちは、ふだんあまり接点がないかもしれません。お金がかかると思われるかもしれません。でも相談すること自体に費用がかかることはありません。かかる場合には事前にその説明をしてくださるはずです。
相談して、すぐに悩みを解決できるケースもありますが、多くは悩んでいることを聞きながら整理して、そこからどうしたらよいか一緒に考えてくださるはずです。相談した専門家が対応できない場合も、ほかの相談先を紹介してもらえるかもしれません。なにより、あせらず、じっくり相談することが大事です。
普段、弁護士に相談することはあまりないでしょう。避難されている方にとっては、ちょっと「敷居が高い」と感じることと思います。けれど、全国各地で弁護士が避難者の相談に対応しています。避難先で受けられる制度の解説や手続きのサポートをしているほか、自分だけ、家族だけでは躊躇してしまうかもしれない「賠償」のことも相談できます。交流会などで避難者同士で話したり、避難先で知り合った方と話すなかで、出てきた困りごとのなかには実は弁護士に相談したらよいことがあるかもしれません。支援に関わる団体も、自分たちではわからないことがあれば、知り合いの弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
社会福祉協議会とは、全国の市町村にある身近な福祉の専門機関です。一般的に「社協(しゃきょう)と言われています。さまざまな福祉サービスを行っているため、避難者が利用できるものもあります。以前JCNが行った調査では、避難者支援に取り組んでいる社協もあるほか、「避難者の要望があれば対応する」「通常業務の中で対応する」という考えがあるこことがわかりました。
介護、デイサービスなど高齢の方が利用できるもののほか、支援に関わる団体は、相談すれば社協が持っている施設の会議室などを無料もしくは安価に利用することもできます。ボランティア団体とのつながりもあるので、交流会やイベントなど一緒に取り組めるところを紹介してもらえるかもしれません。