「避難者」とのかかわり 〜支援のカタチ〜

当事者団体

福島避難者のつどい 沖縄じゃんがら会 《沖縄県》

コミュニティづくり 支援ネットワーク

福島からの避難者を中心に沖縄で設立された「福島避難者のつどい 沖縄じゃんがら会」は、交流拠点の運営や自立支援を手がける傍ら、全国に先駆けて「地域福祉ネットワーク」の構築に向けた活動を展開しています。

地域で見守る「地域福祉ネットワーク」を構築

沖縄と福島をつなぐ、避難者の会

沖縄県には、最大で800人もの避難者がいたと言われています。避難者同士がつながる場をつくろうと、福島県人会にアプローチし、その協力を得て開催した「交流会」から生まれたのが、沖縄じゃんがら会です。沖縄の伝統芸能エイサーの元になったとも言われる、福島県いわき地方の「じゃんがら念仏踊り」から会の名前を決め、平成24年3月に設立しました。

じゃんがら会の一番の目的は「つながりをつくること」。じゃんがら会会長の桜井野亜さんは、「想いを語らう場があることが、次に進むきっかけになる」と、当初は交流会の開催に力を注いできました。

しかし、当事者や支援者の抱える感情はさまざまです。交流会の企画内容を巡って意見が対立することもあり、調整には苦労もありました。桜井さんはそれぞれの思いに耳を傾け、双方に丁寧に説明することを通じて、相互理解の確立に努めることが大切だと語ります。

じゃんがら会会長 桜井野亜さん

暮らしを見守る体制を地域に

物理的・精神的制約から交流会に訪れることが困難な人たちも、安心して訪れることのできる場所をつくりたいと、平成26年7月には那覇市に隣接する浦添市に事務所を開設しました。

平成29年3月末に自主避難者に対する応急仮設住宅の供与が終了すると、経済困窮者がさらに増えることが予想されます。沖縄では震災関連死も発生しており、孤立対策が緊急の課題と認識されていますが、地域の協力がなければ十分な対応は望めません。そこでじゃんがら会は、社協や行政に避難者の現状を伝えるとともに、民生委員やソーシャルワーカー、地域福祉士などとつながりをつくることで、地域で機能する孤立防止のしくみを考えました。

その成果のひとつが、社協の「避難者支援情報カード」に、個人情報をじゃんがら会と共有することの合意確認を盛り込んだことです。さらに、避難者支援に積極的な南城市や八重瀬町をモデルケースとして、行政や社協、民生委員らとの連携を通じて地域に見守り体制をつくる「地域福祉ネットワーク」を構築しました。現在、この動きは那覇市にも広がりつつあります。

自立支援事業として、避難者を講師に開催された『ヨガ教室』

思いをつなぎ、生きがいを取り戻す

じゃんがら会では、さらに、子どもたちの保養支援や支援物品販売を手がける「ふちゅくるん」を立ち上げたほか、広報や場の提供を通じた「自立支援」も展開しています。

「避難者のなかには、未だに自己肯定感を抱けずにいる人も少なくありません。私たちの活動が、一人ひとりが尊厳を持ち、地に足をついて人生を歩むことにつながる伴走支援となればと思っています」。

じゃんがら会は、会員と共に、お世話になった沖縄への恩返しにと、ボランティア活動や地元活動にも携わっているそうです。「想いはきっと、まあるくつながっていくと思う」と語る桜井さん。全国に先駆けてつくられた「地域福祉ネットワーク」をはじめ、沖縄と福島のつながりから生まれた活動は、全国各地にも、新たなつながりの環を育んでいきそうです。

福島の子どもたちの沖縄での保養も開催している

「沖縄へ恩返し」の思いを込めて、福島県人会の方とふくしまの塔清掃ボランティアに参加

福島避難者のつどい 沖縄じゃんがら会
〒901-2121
沖縄県浦添市内間2-10-8
Tel. 080-6498-6720
 http://jangara.net/
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