東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

JCNツアー

JCNバーチャルツアー in 福島

ツアー概要

開催時期 2020年12月12日(土) 14:00-16:00
開催方法 オンライン(Zoom)にて開催(福島県富岡町ふたばいんふぉから配信)
主催 東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)
助成 復興庁コーディネート事業
参加費 無料
参加者数 83名(参加者74名、登壇者4名、スタッフ5名)

企画趣旨

  • 今も一部帰還困難区域が残る国道6号線を北上し、その風景と各自治体で活動している団体の10年の歩みを風景とインタビューで伝え、現状を理解してもらうこと
  • 訪れてほしい魅力的な人・場所を紹介し、今後足を運んでもらうこと

プログラム/登壇者/内容

ゲスト

  • 富岡町3.11を語る会 代表 青木淑子氏
  • なみえファーム 代表 和泉 亘氏
  • もーもーガーデンbyふるさとと心を守る友の会 代表 谷 咲月氏
  • ふたばいんふぉ / 双葉郡未来会議 代表 平山 勉氏

内容

JCNツアーin福島の動画を前後半、2回にわけて映像を流し、映像の前後半終了後は登壇者のゲスト相互のトークセッションを行い、視聴している参加者からの質問に答えてもらい、福島の現状を知ってもらう機会とした。

トークセッション内容(前半)

富岡町に戻ってきた人の生活、今も戻ることができない人の様子

青木さん)原子力災害はわかりにくい、見えにくい災害。そこを語り部として伝えている。町の中にはバリケードがあるが、人と人との間にも見えないバリケードがあるのを感じる。最近は元々の町民と新しく住んでいる人、戻ってきた人と戻っていない人とで見えないバリケードがある。それをなんとかしたい。

戻ってきている人と、戻ってきていない人の差は高齢者に多い。戻ってきてる人は、自分で選択して戻ってきて、ほっとしている人や満足感を感じる人。寂しいという人は少なく、幸せと感じる人が多い。戻ってきていない人の中には本当は戻りたいけど、戻れない人もいる。若い世代との意見の違い、通院、家を解体し戻る場所がないなど、しっくり、さっぱりしない人が多い。その辺の気持ちはすごく繊細。

大熊町でも外から来た人と、前からいる人との間に差は感じるか

谷さん)よそ者というだけで信頼できるかわからない。震災の後、いろんな人が来て、悔しい想いをした人が多い中でバリアを張って見極めるまでは心許さないのはあって当然。活動する姿を見せていくしかない。その結果を温かく見守ってくれていた。

モーモーガーデンは帰還困難区域の中にあるが、この10年での変化は

谷さん)2011年から大熊町に来ていたが、道路はマンホールが浮き、大地震のあとの光景があった。セイタカワダチソウも高くなっていたが、今は随分減った。まだ帰還困難区域の地区でいつ解除されるかわからないけど、解除の目途がついたり、除染、除草が進む地域もあり、見た目が大きく変わってきている。

ずっと富岡町にいる人にとって、外からの人はどんな存在か

平山さん)自分からしたらフランクに「お世話になってます」。自分の場合、「地元なのになんでもっと地元が動かないの?」って感じる。外からの人はウェルカム。来る人がたくましく見える。地元にふがいなさを感じる。

語り部はどんな方を対象にしているか

青木さん)7年活動。様々な人を対象にしている。福島に来て聞きたい人。大学生も卒論の関係で来る。解除になってからは富岡町で活動し、これまでに約5000人がきた。9月に県の伝承館ができ、たくさんの中高生がきた。それまでは県外の人が多かったが、今年になってからは県内の中高生が増えている。語り部は高齢者が多いが、自分の話に共感を持って聞いてくれると、相手を信じる気持ちがうまれる。語り部自身にもメリットがある。

地元の方と、農家の方とで一緒に進めていく中で心掛けたこと

谷さん)様々な立場、場所、経験をしている人がいる。地元の方だけでなく、県内の避難先の人も一緒に作業をする。普通なら溝もあるが、作業をする中で目標や農地保全という共通の想いがあるので仲良く進めることができる。話題など気を付ける部分はあるが、みんなで同じことをするように、会話をつなぐことは気を付けている。

今の活動のPR、関わってほしいこと

青木さん)演劇もしている。来年で震災から10年になるが、311メモリアル演劇として、ふたばみらい学園で朗読劇を行う。避難した人のつぶやきを朗読劇にする。

谷さん)花も咲き、いろんなものができてきて楽しい。何かしたいの気持ちで関わってほしい。記録として残していくことも大事。今の活動を次の災害に活かせる形で波及していきたい。農家だけでなく、一般の方にも、コロナ時代のソーシャルディスタンスを保つ1つになるかもしれない。

トークセッション内容(後半)

えごまなどを初めてからの自分や町の変化について

和泉さん)道の駅ができたことが大きい。地元のおじいちゃんが「道の駅できて、他の飲食店おいしくなった」という。子どもも多く見るようになった。浪江の小中学校は生徒が20名いかないくらいだが、道の駅ができたて他の地域からも遊びにきたりしている。 人の行き来も増えている。浪江の道の駅だけでなく、相馬の方では浜の駅、伝承館など、浜通りを中心にいろいろできている。人が集まっていく。

自分の変化は、ラーメン屋や農業など、新たな挑戦をしている。その中で思うのは、自分は復興のためにやっているわけでないこと。浪江に来たときは何か力になれないかと思ったけど、自分自身の成長や仲間の成長につながっている。

青木さんからみて、平山さんが活動する意味はどう思うか

青木さん)やりたい気持ちなんだと思う。富岡が好きだからやるんだと思う。

双葉郡全体をみて感じる変化について

平山さん)富岡浪江が解除されたのは1つの山。その頃、除染、解体作業の渋滞がピークだった。2つの町に人が戻りつつ、今年避難エリアが解除になると、人も地域としても復興が進む。少しずつの進歩でも悲観せず進んでいけたらと思う。7万4000人全員いなくなって今2万人。それくらいでも戻ってきてくれたら上々。

地元にいるからこそ感じていること。インフォに来る人の変化はあるか

平山さん)ふたばインフォは民設民営で作った双葉8町村の情報発信場所。プラットフォームになっている。まずここにきてから双葉郡を回ってほしい。

和泉さんから活動のPR

和泉さん)なみえファームのHPを今年立ち上げた。えごまの商品も作っているので買ってほしい。加工所も作り、これからいろんな商品を作りたい。

風化について

青木さん)福島の人が震災を語らないようになってきた。双葉郡の人にとって風化はない。切り替えて語らなくなった人もいる。双葉郡の人以外は風化と思うけど、地域や世代を超えることが大切。内なる風化は起こってはいけない。

浪江の道の駅は地元の人が多いか

和泉さん)地元の人は結構来る。今まで町の中にパン屋、お菓子屋がなかった。道の駅が始まる前、運営者が町民にヒアリングをし、パン屋やラーメン屋ができた。人が集まって、そこで話すことは大事。

双葉町の魅力は

平山さん)本籍は双葉町。双葉高校、郡山海岸、魅力は様々あるが、やはり双葉高校があったことで双葉郡の中心だった。OBも巨大な組織。今その中心力が薄れている。いわき市の植田に役場があり、役場職員も町内の連絡所に通っている。周りの町村が頑張って支えてあげないといけないと思う。

谷さん)双葉バラ園が浮かんだ。震災前に魅力に感じていた。生き残っているバラを持って帰り、避難先で育てていた。絵本で伝える活動をしている。人生全部を捧げていたので、あのエネルギーでまた再開はできないといっていた。

一人ずつ、最後にメッセージ

青木さん):こうやってオンラインでツアーができることは素晴らしいが、早く状況が解決して、実際にライブでツアーをして自分の目でみてほしい。富岡に来てほしい。

谷さん)先日ZOOMで講演した際に、今年はコロナのおかげで自分たちも自粛と言われる立場になり、ほんのわずかだが福島の区域の方の気持ちがわかる気がすると言われた。もうすぐ10年になるが、10年先もこの地域はどうなるか、これから決まることだし、まずはもっとみなさんに知ってほしいけど、知るときに災害や復興の文脈以外でも知ってほしい。そのくらい魅力がある。

平山さん)生放送中にねぎや大根を隣のおじいさんが持ってきてくれた。日常の営みが感じられて良い。日常がなくなってしまったので、こういうことが増えていったら良い。固有名詞を大事にしてほしい。「被災地」でなく、ちゃんと地名で呼んでほしい。「避難者」「被災者」でなくて、誰に会いたいのか。

和泉さん)よくいわれるのは風評被害。気にする人は気にするが、ちゃんと測っている。伝えたいのは、私はこの地域で楽しく生きているということ。大変なことはあるが、この地域で楽しくやれているのが一番。ただ手を貸してほしいことはあるので、そういうときは手を貸しあっていきたい。この地域が大好きです。

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