東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

JCNツアー

JCNツアー in 東北 2019 福島ツアー

概要

【開催日程】2019年12月10日(火)~11日(水)
【参加人数】24名

行程

1日目(12/10)
10:40 いわき駅改札前集合
10:45〜13:30 バス移動
・ 車窓より、帰還困難区域、避難指示解除区域を見学
・ 富岡町夜ノ森駅前で下車し、名物の桜並木を見学
13:30~ 東京電力福島第一原子力発電所の見学
・東京電力廃炉資料館の見学
・ 福島第一原子力発電所にて、事故現場や廃炉作業を見学
18:15 宿泊先のハタゴイン福島広野・第二会議室で1日目の振り返りを実施
・ テーマ1:福島第一原子力発電所の見学を終えての感想
・ テーマ2:「福島の課題を私ごとにするには?」
2日目(12/11)
9:00 ホテル出発
9:30〜 道の駅ならはの見学
・ 渡辺駅長より、震災以降の道の駅ならはの歩みの説明
10:30〜 ならはCANvasの見学
・ スタッフの、西崎さん(一般社団法人ならはみらい)より、設置の経緯と町民にとっての役割の説明
11:30〜 昼食
・ ならはCANvasに隣接する「ここなら笑店街」にて
13:00〜 Jビレッジ見学
・ 職員の高名さんより震災以降の経緯の説明
・ 施設を見学
15:00 柳生菜園
・ オーナーの福島さんより、設置の経緯や現在の状況の説明
・ オーガニックコットンの収穫体験
17:30 いわき駅解散

訪問先での内容

バス移動(車窓より帰還困難区域、下車して夜ノ森駅周辺を見学)

いわき駅を出発し、常磐道を大熊ICで降り、国道6号線を経由して、東京電力廃炉資料館に向かった。道中では、帰還困難区域を通過し震災の発生後手つかずの街の様子を車窓から見学した。

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車窓より帰還困難区域を見学

また、震災前に地域の名所として知られていた富岡町のJR常磐線夜ノ森駅前の桜並木を見学した。夜ノ森駅周辺は帰還困難区域に指定され、並木道の途中にはバリケードが設置されるなど、の措置がされている様子を見学した。

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夜ノ森駅前の桜並木

東京電力福島第一原子力発電所を見学

1日目の午後、東京電力福島第一原子力発電所を見学した。出発は、東京電力が富岡町に設置した廃炉資料館。元々は「エネルギー館」だった建物をリニューアルし2018年末にオープン。様々な展示物やVRシアターを、東京電力写真の説明を受けながら見学した。

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廃炉資料館の見学

そしてその後、専用のバスに乗り込み、福島第一原子力発電所の見学を行った。見学に際しては、事前に参加者の当億をし、身分証明書を提出するなど厳重な管理のもとで実施された。

バスは廃炉資料館のある富岡町を出発し、国道6号線沿いの帰還困難区域の状況を車窓から見学しながら隣接する大熊町に立地する福島第一原子力発電所に到着した。

館内で身分確認や諸注意事項についての説明を受けた後、発電所内を廻る専用のバスに乗り換え車内から見学を行った。事故の起き原子炉棟や増え続ける汚染水を貯めるタンク、ちょうど解体処理を行っていた排気塔などを目の当たりにした参加者は、様々な思いを抱きながら見学を進めた。

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増え続ける汚染水

1日目振り返り

見学ツアー1日目は、東京電力第一原子力発電所の廃炉作業の様子や帰還困難区域の様子など、主に原発事故の影響を色濃く残す状況を見学した。そして、見学を通じて参加者がどのような想いや感想を抱いたかなどの振り返りを、宿泊先のホテルの会議室で行った。

まず参加者が車座になり、1日目の感想を述べあった。参加者は口々に、廃炉作業の厳しさや、復興に向けての厳しい道のりなどを語り合った。また、後半では小グループに分かれ、「自分ごととして何を考えるか」「自分がどう関われるか」などのテーマでディスカッションを行った。

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車座になっての語り合い

道の駅ならはを見学

2日目の見学ツアーは、1日目とは対照的に原発事故による影響から立ち直るための取り組みを行っている施設や団体を見学した。

最初の見学先は、楢葉町に設置されている「道の駅ならは」であった。「道の駅ならは」は、震災以降しばらくの間は臨時休業となり、双葉警察署の臨時庁舎が置かれていた。2019年4月に、「道の駅」として再オープンし、地域住民や来訪者の利用が進んでいる。

また、同年10月の台風19号の被害の際は、断水が続いた近隣のいわき市の市民を対象に温泉施設を提供するなど、地域のインフラとしての役割を果たした。

こうした経緯や職員の取り組みについて、渡辺駅長の説明を受けた。

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渡辺駅長によるレクチャー

ならはCANvasを見学~昼食

続いて、楢葉町の交流拠点「ならはCANvas」を見学した。この「ならはCANvas」は、楢葉町の避難指示解除後のコミュニティ再生に取り組んできた一般社団法人ならはみらいが運営しており、そのスタッフの西崎さんの説明を受けた。

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西崎さんによるレクチャー

ならはCANvas建設の際は、地域住民がワークショップを繰り返して、居心地の良い「家」をイメージした設計を行ったというエピソードなども聞きながら、館内の見学を行った。その後、ならはCANvasに隣接する「ここなら笑店街」で昼食とした。

ここなら笑店街は、震災前から構想のあったコンパクトタウンを実現すべく建設され、地元住民が経営する店舗ばかりで構成されている。見学者にとっても、地域とのふれあいのひとときとなった。

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ここなら笑店街

Jビレッジを見学

続いて、楢葉町と広野町にまたがる、日本初のトレーニングセンター「Jビレッジ」見学した。Jビレッジは福島第一原発の事故により、施設は事故への対応のための拠点となったが、その後廃炉拠点は富岡町などに移転し、一方で復興関連のイベントなどが行われるなど、復興とは縁の深い施設になった。そして、施設は 2018年夏より段階的に再開され、2019年の4月に全面オープンとなった。

このような経緯について、施設職員の高名さんの説明を受けるとともに、ピッチや全天候型のグラウンドの見学を行った。

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窓から施設を見ながら説明を受ける

柳生菜園を見学

最後の見学先は、いわき市四ツ倉でオーガニックコットン畑を展開する「柳生菜園」であった。30年前に東京からいわき市に移住した福島さんが、原発事故後に環境保全の大切さを強く感じ、高齢化が進む地域住民からの依頼もあり、この地で無農薬によるコットン畑を展開しているのが「柳生菜園」である。

福島さんのこれまでの取り組みや、毎年2,000人ものボランティアや来訪者により交流が盛んになっているというエピソードなどをお聞きし、また1枚だけ残していただいた畑で収穫体験をし、ツアー最後の訪問地を後にした。

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参加者による収穫体験

参加者の感想/アンケート結果

大変満足 11
満足 4
ふつう 0
まぁまぁ 0
不満 0

1日目振り返り(グループワーク抜粋)

  • 体験のひとつひとつについて、五人五様の話となった。事態の複雑さを物語っていると思う。
  • 被災者にはそれぞれの思い、それぞれの立場がある。福島で幸せに老後を過ごしたかった方々があの事故で理不尽な思いをした方が多くいる。当然バックアップする行政、団体も大変な状況が続くと思う。全国レベルのネットワークを作って欲しい。
  • 避難指示区域の方に「戻った方がいい」とか、「戻らなくていい」とは簡単に言えないと思った。食べて応援できること。自分が見てきたことを伝えることはできる。今後も、自分の目で見て伝えたい。
  • トリチウム水の海洋流出について漁協が大反対するのは、風評被害を恐れるから。皆さんが正しい認識を持っていただければ風評はなくなる。偏見持たずに食べてくれればいいと思う。
  • いろいろな意見が出た。避難生活でその時小学生だった人たちの声を大人がどう受け止めていくかということが大事。

全体振り返り:ワンワードやコメント

  • 安心と心配(が混在しているのが福島)。
  • それぞれの歩みがある。自分たちの住んでいるところが故郷。
  • 多様(多様な皆さんとご縁が繋がり様々な会話が出来たことがよかった)。
  • 魅力。鬼の未来とその力。鬼は原発事故。その中でも様々な動きが始まっているのを感じた。
  • 生物多様性
  • 忘れないこと。常に問いかけること。忘れていないと伝えること。
  • 福島からはじめよう。福島県のHPに乗っているが、再び福島から始めよう
  • 復興は続く。
  • 貴重な体験。
  • 明暗。
  • 合意形成。余所者の私たちに出来ることとすると接着剤のような関り。
  • 希望。
  • 学び。思い。発信。
  • 子育て環境が気になりました。
  • 原発事故の罪深さ。次は絶対に起こさせない覚悟。
  • 出会いと繋がり。思いを伝えていくことの大切さ。
  • 熱量。
  • 廃炉ってなんだろうと思った。
  • 持続可能な社会。長い道のり。