東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

JCNツアー

JCNツアー in 東北 2019 岩手ツアー

概要

【開催日程】2019年11月21日(木)~22日(金)
【参加人数】10名

行程

1日目(11/21)
花巻市 新花巻駅集合
大槌町 「さんずろや」にて昼食
吉里吉里国訪問
おしゃっち震災伝承室および元町役場跡見学
ワーカーズコープ大槌事務所 地域共生ホーム「ねまれや」訪問
2日目(11/22)
釜石市 鵜住居復興スタジアム見学
いのちをつなぐ未来館訪問
陸前高田市 「りくカフェ」のお弁当で昼食
いわてTSUNAMIメモリアル見学
桜ライン311訪問
一関市 一関駅解散

訪問先での内容

NPO法人吉里吉里国

  • 薪割体験
    関係者含め全員参加。斧の振り下ろし方の説明を受けた後、黙々と30分ほど作業。
  • 代表の芳賀さんからのお話「震災当日~活動立ち上げ、現在の活動」
    震災後のまちは言葉では表せない凄惨な状況だったが、避難所を抜けて焚き火の前で過ごす中で気づいたら焚き火にむけて、色々なことを語りかけて自然と気持ちが落ち着いた。そこからがスタート。薪割りで斧を振り下ろす時間だけは、辛い経験を忘れ無心になれたという吉里吉里地区の仮設住宅の皆さんの経験から、芳賀さんのお話の前に薪割りを体験したもらうことにしている。先代からいただいた自然の恵み(恩)を、返すのではなく、次の世代へ送りたい(恩送り)と考えているため、将来のために成長する木は間引きしていない。
  • スタッフ松永さんより木材を活用した商品(薪のしおり、コースター)の紹介
191121_01.png

おっしゃっち震災伝承室

  • 伝承パネルや映像を各自で見学

NPO法人ワーカーズコープ大槌事務所

  • 地域共生ホーム「ねまれや」見学
    訪問時はデイサービスの高齢者は帰った後で子どもたちだけだったが、利用者と交流。
  • 東梅さんからのお話「震災後の地域の状況から立ち上げまでとその想い」
    学童、子ども食堂、買い物ツアー、高齢者デイサービス、お茶っこサロンなど制度事業と制度に繋がれない人たち向けに事業を展開している。制度事業だけをやっていると、被災した人しか利用できないと思われていたので、そうならないよう、誰でも利用できる施設にしたかった。また、障がい者施設、高齢者施設にしてしまうと、その人たちしか集まらなくなるため、多様な人々に利用してもらいたいという思いがあった。 高齢者デイサービスは13名、学童は16~7人の子どもが利用している。
191121_02.png

NPO法人アットマークリアスNPOサポートセンター

  • 事務局長の川原さんからのお話「震災当日の市内の様子、復興カメラの活動」
    復興カメラは、後から資料を集めるのは大変であるという話を聞き2011年7月から開始した。記録すること自体が大切であるいう認識のもと、現在も撮影し続けているが、当初は緊急雇用だったスタッフも今はボランティアで活動している。撮影する中で、自立再建された方は一見大丈夫そうに思えるが、8年たった今、二重ローンなどを抱えて大変な方など、フォローが必要と感じることもある。
191121_03.png

鵜住居復興スタジアム

  • いわて連携復興センターより、鵜住居小学校・東中学校の跡地に建設された釜石鵜住居復興スタジアムの説明、およびスタジアム見学。

いのちをつなぐ未来館訪問

  • 館内を菊池さんガイドによる見学とお話「震災当時の鵜住居地区の様子など」
    釜石東中学校と鵜住居小学校で生徒が助かったことは、釜石の奇跡と呼ばれ、実際に当時釜石東中学校3年生だった菊池さんも普段からの訓練があったからこそ逃げることができたと感じている。防災センターに200名近い方が避難していたが、約160名の方が亡くなられた。防災センターに避難したのは、3/3に実施したことや備蓄品があるなどという理由で多くの方が避難したと言われている。
191121_04.jpg

いわてTSUNAMIメモリアル

  • いわて連携復興センターより、三陸鉄道の現状を説明。2019年3月に全線開通したものの、台風19号の被害により一部不通となっている。
  • 伝承館の展示や映像、また、奇跡の1本松などを各自で見学

認定NPO法人桜ライン311

  • 代表理事岡本さんからのお話「立ち上げから現在までの活動内容」
    次に来る災害に備える必要があると2011年7月に伝承の必要性を考えだした。過去の災害では、災害の教訓などを刻んだ石碑が建てられることが多いが、認識されていることが少ない。多くの人に覚えてもらうために、津波の到達地点に桜を植樹することを決めた。県内の小中高と連携した植樹会や、春と秋の植樹会を開催している。植樹会には日本全国から参加がありリピーターも多い。これまでに、1,600本を植樹、6,000人が参加している。
  • 事務局長佐々木さんからのお話「活動に参加するきっかけや今後への想い」
    入職当初は植樹担当をしていた。今は、岡本さんに資金獲得等をメインに動いてもらうため、自分が事務局長を務めている。伝承の本質はコミュニケーションと考えている。そこから、多くの人が集える場になればいいと思っている。
  • 市内の植樹地見学
191121_05.jpg

参加者の感想/アンケート結果

大変満足 3
満足 3
ふつう 0
まぁまぁ 0
不満 0

解散前のコメント

  • 現地を見ないとわからないし、伝えられないと思った。見ることで変わったこと、変わっていないことが分かった。今度は仲間を連れてきたい。
  • ひとりではこういった視察は難しかった。活動している団体の声が聞けたのが良かった。震災を負の遺産とするのではなく力にかえていくということが印象的で、勇気づけられた。
  • 地元でもわからないことが多くあった。NPOの活動の思いが伝わってきた。
  • 次の災害起きた時に、自分が何をできるかを考えたい。数か月前の8月に岩手沿岸を個人で回ったが、さらにまちの工事が進みまったく違う風景になっていた。
  • 団体の熱い思いを感じた。生きている意味や生かされている意味を考えることが、彼らをつき動かしている源になっていると感じた。

アンケート結果

  • 企画された方の思いの伝わる充実したプログラムな一方で、どういう方の参加を想定されているのかがわかりにくかったのも事実です。個人的には、いまもさまざまな思いで311に関わる人たちが、現地の活動をうかがうとともに、現地と一緒に語り合う場(それぞれの活動から学ぶ)場もあればいいなと思いました。
  • 現地を直接見て、現地で当事者の方から直接聞かなければ分からないことが多くあることを改めて知らされました。特に、震災に関わる者として 被災地を直接支援していなくともありのままの現地を知ることは必要だと思います。今は被災地を離れていようとも、被災された方々の原点はここにあるから。
  • ねまれやの試みは被災地だけのものではありませんし、桜ラインの方たちも過去ではなく明日を見据えた活動を模索されていました。311当日の様子を「伝える」とともに、被災したことによって生まれその後も続く関係を「伝える」ことの意味を感じました。
  • 土日や夏休みなどに行うと、参加希望者は格段に増えると思います。せっかくの充実した内容ですので、参加しやすい日程を追求ください。
  • 今回、震災被害の大きい、岩手県の沿岸南方面だったが、県北方面や、岩手県の内陸部に移住している被災者を支援している団体の取組みも見てみたい。