東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

関係省庁定期協議

第3回 関係省庁定期協議

第3回目の関係省庁定期協議は、2014年4月に開催いたしました。
本協議では、NPO等からJCNへ寄せられた要望・質問への各省庁の回答を得ることができました。

開催概要

日時 2014年4月23日(水)13:30 - 15:30(120分)
会場 復興庁 1階 大会議室
議事 1. この会議の進め方の説明
2. 出席者の自己紹介
3. 要望に対する回答
4. 自由質問と回答
参加者数 25名

要望・質問に対する回答

本協議で扱った要望・質問と、各省庁からのそれらへの回答の一覧です。

  1. 予算要望
  2. 制度の運用、実施
  3. 制度の創設
  4. 今後の震災対応に関する要望事項

1. 予算要望

要望 事項名 生活支援型移動サービスを実施するNPOへの補助拡大
提出者 NPO法人 全国移動サービスネットワーク
内容 生活支援型、あるいは介護サービスと連動した移動サービスについて、これを実施するNPOに対し、利用ニーズが他のサービスのよって消失するまで運営の補助を要望する。移動困難者への支援は、復興住宅への転居が進み、公共交通が整備され、仮設住宅が解消されるまで必要とされる。また、必要とされているのは、生活支援型、あるいは介護サービスと連動した移動サービスである。そういった状況下において、厚生労働省が示しているような仮設入居者への支援を中心とした補助金メニューでは、今後のニーズに対応できないため。
種類 予算要望
担当省庁 厚生労働省
関連法令等 道路運送法
回答 回答者 厚生労働省
内容 【安心生活創造推進事業】
地域住民の孤立を防ぐという観点から、地域における孤立者の把握や買い物支援等の生活支援、サロン等の居場所作り等を行う安心生活創造推進事業を平成25年度から実施している(平成25年度より、従来の地域福祉等推進特別支援事業の内容を見直し、安心生活創造推進事業を創設した。)。当事業は、暮らしの基本となる買い物などの生活支援、通院の付き添いなどの移動支援なども補助対象としている。実施主体は各都道府県、市町村となっているが、地域の実情に応じて適切な事業運営が確保できると認められる社会福祉法人等に事業の一部を委託できることとされているため、ご要望の内容に関する事業実施に当たっては、各自治体と相談されたい。
また、当事業は、住民参加による地域づくりを通じて、誰もが安心して生活できる地域基盤の構築を目的とした事業であり、利用対象者を仮設入居者に限定しているものではない。
【地域支え合い体制づくり事業】
仮設住宅の高齢者等については、地域支え合い体制づくり事業により、被災地のサポート拠点において、日常生活を支えるため、地域の実情に応じ相談支援、生活支援サービス、地域交流等の取り組みを行っており、ご要望にあるようなニーズについても必要な機能であると考える。
なお、当事業は、基金が設置されている被災県が実施主体となっており、介護基盤緊急整備等臨時特例基金管理運営要領に基づき実施しているところ。従って、ご要望の内容に関する事業実施に当たっては、被災自治体と相談されたい。
また、当基金管理運営要領では、「・都道府県又は市町村が独自に個人に金銭給付を行い、又は利用者負担を直接的に軽減する事業」などについては補助対象外としているのでご留意願いたい。
要望 事項名 福島の子どもたちの県外自然体験活動等への支援
提出者 どろんこキャラバン☆たんば
内容 「被災者生活支援基本方針(5)自然体験活動等を通じた心身の健康の保持」の具体的取組に、「福島県外についても支援を検討」と記されているが、その具体的要件等がなかなか提示されない。早期にNPO等が取り組める支援とその予算化をお願いしたい。
種類 予算要望
担当省庁 文部科学省
関連法令等 被災者生活支援基本方針(5)自然体験活動等を通じた心身の健康の保持
回答 回答者 文部科学省
内容 平成26年度から、福島県内の子供を対象として、学校や社会教育団体等が実施する自然体験活動や県外の子供たちとの交流活動を支援する「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業」を実施。具体的な要件については、4月上旬に福島県が要綱を公表する予定。
要望 事項名 広域避難者への支援を行うNPOへの補助
提出者 NPO法人 街づくり支援協会
内容 全国で、広域に避難している被災者の生活再建にあたり、定住、移住企画マッチング事業を行うNPO等への活動資金の支援は検討されているのか。受入れ自治体への支援 はどうか。また、この問題の担当窓口はどこになるのか。移住支援について、具体的な検討はどこまで進んでいるのか。
種類  
担当省庁 復興庁
関連法令等 子ども被災者支援法
被災者生活再建支援法
回答 回答者 復興庁
内容 移住支援についても、ハードに関することや、地域のコミュニティ支援のようなソフトに関することなど、事業の性質によって窓口は異なる。NPOからの相談で、担当窓口が明確でない場合は、復興庁のボランティア班に相談していただければ、適切な府省や部署につなぐことができるので、ご相談されたい。
要望 事項名 福島の子どもたちの他県の子どもたちの交流促進
提出者 NPO法人 福島の子どもたち香川へおいでプロジェクト
内容 伊達市で行われている「移動教室」のような事業を拡大し、福島の子どもたちが県外での保養の機会を持つとともに、学校・地域ぐるみで他県の子どもたちと交流の機会が持てるよう、学校・NPOへの財政的支援を要望する。また、保養のための送迎バスの高速道路通行料金の減免もしていただきたい。
種類 制度の運用と予算要望
担当省庁 文部科学省
国土交通省
関連法令等 子ども被災者支援法
回答 回答者 文部科学省
内容 平成26年度から、福島県内の子供を対象として、学校や社会教育団体等が実施する自然体験活動や県外の子供たちとの交流活動を支援する「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業」を実施。。具体的な要件については、4月上旬に福島県が要綱を公表する予定。
回答者 国土交通省
内容 東北地方の高速道路の無料措置については、一時帰宅等の生活再建に向けた移動を支援するため、原発事故により政府として避難を指示又は勧奨した区域等に元の居住地がある避難者を対象に、原発事故により避難して二重生活を強いられているという極めて緊急性の高い状況等を鑑み、母子避難者等を対象に、平成27年3月31日までの間実施しております。
要望 事項名 育児の心ケアをしているNPOへの財政補助の強化
提出者 世界に繋げる魔法の輪
内容 被災地では、仮設住宅でも、在宅被災者でも、子どもたちおよび親の育児に関する心のケアが大きな課題となっている。仮設住宅や被災地で、一時保育や放課後児童クラブなどを支援しているNPOへの財政支援を強化していただきたい。
種類 予算要望
担当省庁 厚生労働省
関連法令等  
回答 回答者 厚生労働省
内容 【親を亡くした子ども等への相談・援助事業、子ども健やか訪問事業】
平成26年度から、避難生活の長期化等を踏まえ、①被災した子ども等への相談・援助について、心のケアに加えて体のケアに関する相談・援助まで対象を拡大、②避難生活を送る子育て家庭を訪問し、心身の健康に関する相談、生活・育児援助、専門の支援機関の紹介などを行う訪問事業の実施等の、被災した子どもに対する新たな総合的支援を実施することとしており、実施主体である被災県等から適当であると認めた者に委託することができる。
要望 事項名 被災者・避難者への各種健康相談に対する財政支援
提出者 福岡県民主医療機関連合会
内容 各自治体が行っている避難者への各種健康相談を、国の財政支援の下に強化し、避難者等への広報を強めていただきたい。現在の各自治体が行っている健康相談は質量ともに不足しているし、広域避難者等には十分周知されていないと考えるため。
種類 予算要望
担当省庁 復興庁
厚生労働省
関連法令等  
回答 回答者 復興庁
内容 仮設住宅等での生活の長期化にともない、心身の健康の維持に対する取組を適切に講じることは大変重要であると従来から認識している。このため、復興大臣のもとに関係府省局長級からならタスクフォースを立ち上げ(平成25年11月13日)、「被災者に対する健康・生活支援に関する施策パッケージ」として取りまとめた(平成25年12月13日)。これらの事業について、着実に進めるとともに、県や市町村と連携しながら、国としてもHP等での発信に努めたい。
要望 事項名 在宅被災者を支援しているNPO等への財政支援
提出者 一般社団法人 チーム王冠
内容 仮設住宅だけでなく、在宅被災者に対する寄り添い見守りの支援の重要性が増しており、支援団体への財政支援を要望する。在宅被災者に関しても、震災や津波でコミュニティ機能が失われている地域もある。そのような地域で、コミュニティ維持のために活動しているNPO等への支援は不可欠であ る。
種類 予算要望と制度の運用
担当省庁 厚生労働省
関連法令等 災害対策基本法
回答 回答者 厚生労働省
内容 【地域コミュニティ復興支援事業】
東日本大震災等の影響により弱体化した地域のコミュニティを再構築し、地域で孤立するおそれがある者に対する生活相談や居場所づくり等の支援を面的に実施する「地域コミュニティ復興支援事業」を実施している。当事業は、仮設住宅や在宅被災者に限定せず、地域で孤立するおそれのある者に対し、巡回訪問による声かけや見守りによって、生活状況や課題等を把握するものである。
事業実施主体は、都道府県または市区町村のほか、都道府県知事が適当と認めたNPO法人、社会福祉法人、公益法人等としているため、事業実施に当たっては、各自治体と相談されたい。

2. 制度の運用、実施

要望 事項名 移送サービスの規制緩和に関して
提出者 NPO法人 全国移動サービスネットワーク
内容 被災地の移送サービスについて、前回、国土交通省から自家用有償旅客運送(福祉有償運送及び過疎地有償運送)の適用を求める旨の回答があったが、これの適用を求めないことを周知徹底することを要望する。被災地では、福祉有償運送もしくは過疎地有償運送が殆ど行われておらず、制度による問題を避けるため無償で移動サービスを行なわざるを得ないなど、継続的な活動に支障が生じている。自家用有償旅客運送は、運営協議会が制限的であったり、過疎地有償運送の対象地域が限定的であったり、手間や手続きの時間的・経済的負担が過大であったりして、被災地のニーズに合わない。
種類 制度の運用
担当省庁 国土交通省
関連法令等 道路運送法
回答 回答者 道路運送法
内容 他人の需要に応じ有償で自動車を使用して旅客を運送する場合は、旅客自動車運送事業(バス、タクシー)の事業許可が必要ですが、バス、タクシーの公共交通機関によっては十分な輸送サービスが提供されず、地域の交通や移動制約者の輸送の確保が困難であると認められる場合に、これらを補完するための運送として地元自治体が主宰する運営協議会において運送の必要性等について合意を得た上で、国土交通大臣の登録を受けることで、例外的に、自家用自動車による有償運送を認めています。
他人を有償で運送するものである以上、輸送の安全の確保等を確認するための手続きは、必要不可欠なものであると考えます。
なお、地域の助け合い等による移動制約者の移送等の活動については、実際の運送に要したガソリン代、道路通行料、駐車場代のみを精算する形で、移送サービスの提供を受ける方が支払う場合であれば、道路運送法の許可又は登録を要しない範囲として認めているところです。
要望 事項名 「新しい東北」先導モデル事業の規制緩和
提出者 NPO法人 ウェッブストーリー
内容 「新しい東北」先導モデル事業において、ハードの整備も含めて支援していただきたい。既存の地域資源(例えば、空き家や空き校舎)を活用して実証実験を行おうとする場合、耐震工事が発生する。また、その他、基盤整備に係る費用が発生するため。
種類 制度の運用
担当省庁 復興庁
関連法令等 「新しい東北」先導モデル事業
回答 回答者 復興庁
内容 「新しい東北」先導モデル事業は、地域に芽生えた先進的な取組を加速させ、被災地への横展開を進めることを目的としています。この「横展開」という趣旨を踏まえ、本事業では、ソフト面の取組を「国の委託調査」という形式で支援しているところです。
ハード面については、各事業の実施主体において、各種融資制度、助成金等を活用し、整備していただくこととしていますので御理解いただきますようお願いします。なおモデル事業でも、事業の実施に必要な一時的な活動場所の確保(レンタル、リース)等については支援させていただいています。
要望 事項名 県外自主避難者等への情報提供事業の運用見直し
提出者 福岡県民主医療機関連合会
内容 平成26年度県外自主避難者等への情報提供事業は、その対象者を福島県民に限定せず、ホットスポットのある東北、関東からの自主避難者へも対象を拡大していただきたい。福島県以外でも、原発事故で自主避難した人、また健康不安を抱えている人が多数いるため。福岡県でも関東からの避難者が多数いる。
種類 制度の運用
担当省庁 復興庁
関連法令等 子ども被災者支援法
平成26年度においてNPO等が活用可能な政府の財政支援について
回答 回答者 復興庁
内容 本事業は、子ども被災者支援法第5条に基づく「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」(平成25年10月)で定めた事業であり、福島県から県外に自主避難している方々が避難生活から速やかに「自立した生活」に移行できるようにすることを目的としている。
また、支援対象者については、本事業の目的、子ども被災者支援法に基づく「支援対象地域」及び「準支援対象地域」の考え方を踏まえ、福島県に居住していた者に限定しているところであるのでご理解いただきたい。
なお、対象地域以外からの避難者であって、本事業による支援を希望する者については、一部の事業(説明会の傍聴、相談対応)は対応可能であるので、各地域の受託事業者にご相談いただきたい。

3. 制度の創設

要望 事項名 被ばくの可能性のある被災者への健康診断の充実
提出者 福岡県民主医療機関連合会
内容 今後起こり得る健康被害に備えるため、福島県全域及び年間の追加線量が1mSVを超える地域のある基礎自治体に住む住民に対して、「健康手帳」を新設し、無料で健康診断と医療が行えるようにしていただきたい。
種類 制度の新設
担当省庁 環境省
関連法令等 子ども被災者支援法
回答 回答者 環境省
内容 今般の原発事故に係る住民の方々の健康管理は、医学の専門家のご意見を聞きつつ、進めることが重要と認識。
福島県外においては、WHOや国連科学委員会においても、がんなどの健康影響の増加が認められる見込みはないと評価されていると承知。
したがって、当面は、福島県民健康管理調査を着実に実施していくことが重要と考えている。
要望 事項名 仮設住宅の市民農園制度創設
提出者 NPO法人 ボランティア活動推進国際協議会 日本
内容 仮設住宅(その近辺)に、市民農園(コミュニティガーデン)を設置し、NPOやボランティアが運営サポートに入れる制度を創設していただきたい。今まで、農作物を作ることを生きがいにしてきた仮設住宅の被災者(とりわけ高齢者)の心のケアを図るうえで、市民農園で農作業をすることは極めて効果的と思われる。
種類 制度の創設
担当省庁 農林水産省
関連法令等  
回答 回答者 農林水産省
内容 市民農園の開設準備や施設整備等に活用できる予算として「『農』のある暮らしづくり交付金」を措置しているので、活用についてご検討願いたい。
また、福島再生加速化交付金(長期避難者生活拠点形成)の関連基盤整備等事業のメニューとして市民農園の整備が含まれているので、活用について事業対象市町村等とご相談願いたい。

4. 今後の震災対応に関する要望事項

要望 事項名 災害時、医療関係者への支援体制の充実
提出者 NPO法人 日本病院ボランティア協会
内容 災害時に、病院で、医療関係者への食糧や飲料水の備えは十分になされているのか知りたい。また、医療者には育児をしている者もいるが、災害時の院内の育児や保育の支援体制はできているのか、知りたい。それ以外にも、災害時に医療関係者を支援する仕組みが重要と考えられる。これらの重要性について、認識はされているのか。また、これら、育児などの支援に病院ボランティアを活用する制度を創設してはどうか。
種類 制度の要望
担当省庁 厚生労働省
関連法令等  
回答 回答者 厚生労働省
内容 病院の規模等により災害時に必要な食料や飲料水の量が違うため、何をもって十分といえるかわからないが、例えば災害拠点病院においては、検討会等で三日分程度の物資を貯蔵するよう議論されているところ。
また、災害時の院内の育児や保育の支援体制については、重要であると認識しているが、各病院ごとに体制が様々であるため個別に病院と調整していただくか、都道府県と調整されたい。

資料

配布資料

速記録

要望提出者

本協議へご要望・ご質問をお寄せいただいた団体の一覧です。

  • NPO法人 ウェッブストーリー
  • 世界に繋げる魔法の輪
  • NPO法人 全国移動サービスネットワーク
  • 一般社団法人 チーム王冠
  • どろんこキャラバン☆たんば
  • NPO法人 日本病院ボランティア協会
  • 福岡県民主医療機関連合会
  • NPO法人 福島の子どもたち香川へおいでプロジェクト
  • NPO法人 ボランティア活動推進国際協議会 日本
  • NPO法人 街づくり支援協会

出席者一覧

本協議に出席した団体等の一覧です(※発言者のみ)。

復興庁
ボランティア・公益的民間連携班
法制班
被災者支援班
文部科学省
スポーツ・青少年局 青少年課
厚生労働省
官房総務課
雇用均等・児童家庭局
社会・援護局 地域福祉課
老健局 振興課
国土交通省
道路局 高速道路課
自動車局 旅客課
環境省
環境保健部
農林水産省
農村振興局 農村政策部 都市農村交流課 都市農業室
NPO等
NPO法人 シーズ・市民活動を支える制度をつくる会
認定NPO法人 ディーピーアイ日本会議
認定NPO法人 日本NPOセンター