現地会議
3.11の今がわかる会議 2021 テーマ2:1回目
開催概要
タイトル | 3.11の今がわかる会議 2021 |
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テーマ2 | 「孤立防止とコミュニティ形成のあり方」1回目 |
日時 | 2021年12月4日(土)13:00-16:30 |
会場 | オンライン(Zoom)(仙台駅前貸会議室ヒューモス5より配信) |
主催 | 東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN) |
助成 | 復興庁コーディネート事業 |
後援 | 特定非営利活動法人いわて連携復興センター 一般社団法人みやぎ連携復興センター 一般社団法人ふくしま連携復興センター 一般社団法みちのく復興・地域デザインセンター |
参加者数 | 57名(一般43、登壇5、来賓2、スタッフ7) |
プログラム
開会
開会挨拶:山崎美貴子(東日本大震災支援全国ネットワーク 代表世話人)
今回のテーマは孤立防止とコミュニティ形成のあり方。今日の出席は岩手、宮城、福島のみなさま。基調講演いただく右京さんは、東日本大震災の時にすべての時間をそこに注いでくださった。あれから11年を迎えようとしている。東北のみなさんは想像を絶する災害を経験した。倒れた人、つながりを作るのが難しくなった人もいる。その中でも私たちはお互いに手を取り合って、いろんな経験を通しながら新しい道を歩もうとしている。そのことを忘れるわけにはいきません。今日はいろんな人たちのケアの経験を共有し、一緒に考えていけたらいいなと思う。みんなで分かち合って、つながりあって、そんな時間を作っていきたい。
来賓挨拶:中山 理 氏(復興庁 参事官)
東日本大震災から10年、インフラの整備など復興は着実に進展しているが、引き続き取り組みが必要な課題や問題が明らかになっている。この会議は災害公営住宅や地域のコミュニティでの課題をお聞きし、今後の孤立防止やコミュニティ形成を考えていく内容と伺っている。日頃、地域コミュニティ形成支援をしている方の視点や思いを共有することは非常に重要なことだと考えている。今後復興庁としてもきめ細かい活動を支援をするとともに、みなさまの知見を活かすための取り組みを進めていきたい。
基調講演「孤立を防止する地域コミュニティのあり方とは」
講演:右京昌久 氏(岩手県福祉サービス運営適正化委員会 事務局長)
東日本大震災時の岩手県での支援、避難者の動きを紹介。生活支援相談員の取組を中心に、孤立を防ぐための取り組みや関わり方、支え合いマップの取り組みなどをご紹介いただいた。
支援者も苦しい思いをしてきた。岩手県社会福祉協議会ではその支援者の支援活動をしてきた。発災時の避難者数は33万人。災害、応急仮設住宅が各地に作られた。現在4万人強が避難生活をおくっている。
ボラセンが各地に作られ、岩手県で52万人のボランティアが活動を行う。遠野まごころネットでは内陸と沿岸部の中間で会議を行った。NPO、行政、社協の場づくりでNPOが力を発揮した。
釜石市での支え合いマップの取り組み。ご近所の住民支え合いマップ。住民の関わりあいを線で結び、地域の関係性を可視化する。避難し、避難所にたどり着く、仮設住宅に入る、災害公営住宅や自宅を再建して移り住む、それが10年の間に進んだ。
岩手県内での避難者の動き。被災元を離れて暮らす世帯は県外、県内では都市インフラが整う内陸への避難が多い。沿岸部は土地なかったことも一因と考えらる。
生活支援相談員の支援機能は、見守り、権利擁護の個別支援。地域での支援として、参加支援、支え合い支援がある。地域においては相互に役割を変えながら、関係性を築いていく。新しい団地ではすぐに築けない。水面下で助け合いが始まる。それ自体が孤立防止につながる。
地域の人へのヒアリングで孤立の予兆を発見。今いる人が資源そのもの。支援の関係性、地域の人の情報から様々な発想が出て課題も見えてくる。関わりあい、アセスメントを通じて、孤立がなくなる。住民も関わっていく。
相談員の合言葉、誰一人一人にしない。NPOや社会福祉法人、すべてに共通する理念。H28被災者調査では3割が支え合いの輪から外れていた。他者との関係性を保ちつつ、まずは、互助の関係を取り戻す。支援者の力も大事。孤立しがちな大きな公営住宅、訓練された支援者の関わりが必要。
質疑・感想
- 新井:支え合いマップの活動素晴らしい。町内会の力が弱くなっている中で、実際に実施している割合は?
- 右京:統計的な数字は取っていないが、実際進めるのは難しい。自治会などに説明して進める必要がある。どんどん進めるわけではない。県内では釜石市、大槌町、被災地中心にやっている。
- 新井:マップをつくれる時点で孤立が少ないのかな、できないところが孤立気味な地域になっているのかなと思った。
- 右京:支援員がまんべんなく回る中でお願いし、住民自身が取り組んでいけるような地道な取り組みと思う。
- 佐藤:地域でコミュニティ、支え合いのスペースを作っている。フードバンクや子ども食堂をやっている。こちらが支援を必要と思った時に、受け入れが難しいケースがある。進め方の工夫があれば聞きたい。
- 右京:脆弱性がある方が暮らすにはまわりの理解が必要。支援者はまわりに対し、その人が持つ脆弱性を上手に翻訳し、地域に定着するあいだを持つ必要がある。地域を面として捉え、ゆるやかでいいから知ってみる、きっかけをつくる、なにかできることはないかと話し合ってみることが一つの糸口になるのではないかと思う。
- 山崎:災害の時、悲しいこと辛いこといっぱいある。お話しや相談もあるが、苦しい時に歌おう、踊ろうということに力をもらった。そういうお互い支え合ったり、つながる、一緒に分かち合う時の喜び、その辺りのことで示唆をくださることはないか。
- 右京:社協は仕事ベース、立場もはっきりしていてそこがメインでない。そこはNPOや文化団体の人たちが、サロンで音楽をしたり、他の支援者とのマッチングでいい空間が作れる。福祉的視点だけでなく、文化的、芸術的の交流は大事で、被災地でやっていただくのはとても大切。
事例報告「孤立防止や地域コミュニティの形成に取り組んでいる東北の団体からの事例報告」
- 岩手:金野万里 氏(一般社団法人 SAVE IWATE 事務局長)
- 宮城:新井信幸氏(認定NPO法人 つながりデザインセンター副代表理事)
- 福島:宍倉秀和氏(社会福祉法人富岡町社会福祉協議会 事業係長兼いわき支所長)
- コーディネーター:富田 愛(東日本大震災支援全国ネットワーク 岩手担当)
事例報告:金野 氏・SAVE IWATE
SAVE IWATEは盛岡市が設置した盛岡復興支援センターの運営を受託。2011年7月から盛岡市内に避難した被災者の生活支援を行っている。現在500世帯1000人が定住、移住している。県内で最後、今年2月に入居を開始した県営南青山アパートの状況。
住宅地に4棟の大きなアパートができるということで、地域住民から反対の声もあった。計画の見直しなどで建設が1年延びた。地域は高齢化の問題を抱えており、入居者の被災した地域もバラバラで交流はない。土地勘もない状況だった。
地域の課題。開拓地であり自治の精神が強かったが高齢化。地縁組織があるが、実質民生委員が動いていて負担感強い。入居者は複合的な課題を持っている方が多く、孤立の傾向が強い。不安感などから住民間のトラブルも。
地域を丸ごと支援できるものを考え、常駐型支援拠点「青山コミュニティ番屋」をつくった。個別支援、地域支援を行う。なにかあったらすぐに手を差し伸べられる拠点。町内会も受け入れを表明し、民生委員を増員しアパート担当に。地域との連携も始まる。入居者も南青山町内会の班として自治会を立ち上げ、2つのコミュニティができる。
個人の強みを活かし、コーヒーを入れるのが趣味の方にカフェでコーヒーを入れてもらうなど、役割を持って、生きがいを持ってもらう。助けてのシグナルを受け止める。アウトリーチで課題を見つける。
センターと番屋は、アウトリーチ、参加支援、コミュニティ支援を行ってきた。課題の複合化。他機関の連携が必要で、もりおか被災者見守りネットワークネットワーク会議を開く。ケースマネージメントが必要性。時限事業であるが、新しい盛岡モデルを作り、提案していくことで次が見えてくる。
ディスカッション
- 富田:一番最後の災害公営住宅、バラバラだった地域での拠点づくり。個人の強みに光を当てるとあったが、どう強みを見つけていくか。
- 金野:アウトリーチが大事。カルテをつくり、見守りの支援度を決めていく。そばにいるので毎日のように声をかける。話をする中で興味のあること、困りごと、そこから引き出す。その人のしたいことが、強みかもしれない。
- 富田:困った。難しいことは?
- 金野:個人個人課題がある。一生懸命やりたい、被災者だからって言われないようにしっかりやりたいと強く思っていると、上手くいかない所で浮き上がってしまうケースがいくつかある。管理人や班長さんは輪番制なので、伝えていく中で穏やかになってくればいいと思う。
- 富田:重層的支援体制整備事業の部分。そこの展望、何からはじめていくか?
- 金野:説明会や研修が毎週のようにあり勉強している。その中に、アウトリーチと参加支援、コミュニティ形成支援はあるが、地域拠点はなくてもいいと書いてある。地域の人達に活躍してもらいたいが、支援者を支援する仕組みがないと長く続かないと思った。外から来た支援の人がいた方がいい。そこが含まれたらいいと思い、上手くいっているのを見せられたらと思う。
事例報告:新井 氏・つながりデザインセンター
活動から見えた被災地コミュニティの課題、災害公営住宅等、孤独死が増加、担い手不足、自治組織が崩壊しているところもある。自治組織の立て直し事例、孤立を防ぐヒントとして、集会所を利用した居場所づくりを紹介。
あすと長町の仮設住宅で学生たちとコミュニティ支援を行う。災害公営住宅に移り、人に会わなくなったとの声。仮設で集会所を使った団体に声掛けし、つなセンができた。NPOとして、コミュニティづくり、調査研究から仕組みを見直すなどをする。
食堂イベント、近所のグループなどに声掛けし、月に2~3回やっている。ワイワイやっている輪には入れない人も、カウンターテーブルをつくると入ってくる。毎日のように活動がある。外から来る団体に集会所の利用に500円払ってもらうシステム。
集会所の利用実態をみると、どこも固定客化して新しい人が来ない。各活動で顔ぶれを見ると少しずつ違う、相性がある。多様な団体に使ってもらうことで、多様なつながりを作っている。
市営住宅、リーダーが独善的なタイプ、体調不良で解散。新たな組織をつくる。役所では近隣町内会に編入しましょうとの話で編入したが、向こうからはすべて負担の話。各世帯の判断で4割しか入らなかった。自治組織の負担が高い、役割を少なくしてあげる。管理組合的な役割で、義務のことだけやる。役割は輪番制にするなど。
課題と展望。役割のスリム化。ゆるやかなコミュニティ、集会所も人に貸し出せば、やりたい人はいる。居場所にもなるかもしれない。
地域リーダー論はハードルをあげることになり、次の担い手が見つからず終わってしまうことも。サポート体制は制度改正含め検討が必要。いい事例だけでなく、こういったところでも持続可能なシステムを考えなければいけない時期にきている。
ディスカッション
- 富田:集会所を貸し出す取り組み、他の地域でもあるのか?
- 新井:仮設の時代から応援に来てくれていた。それを積極的に借りて下さいといっていることころはあまりない。チラシをまくと借りたいとくる。孤立気味な人にとっては、人気のない活動の方が行きやすい。何がいいのかわからないので、多様な活動、小さな活動ができる場をつくるのが、孤立を防ぐ大事な環境かと思う。
- 富田:相性もある。担い手不足、次の世代、困っている方も地域にもいらっしゃると思う。スリム化することは、経験を重ねて感じたのか、想定されていたか?
- 新井:公営住宅に移る段階でみんなやりたくないという。それでは持続しない。役割をどう持たせるか、義務の部分だけとなれば、全員参加しなければいけない。お祭りなどは、任意の組織で実行委員会をつくり、自治組織ではやらない。管理組合の形が今後地域の自治組織になるのかなと思っている。あとはサークル活動とかは任意でできる場所を用意する。あいつは貸さないとならないよう、居場所の空間が運営できるよう外部が見守ることも必要。
事例報告:宍倉 氏・富岡町社会福祉協議会
富岡町出身、震災後H26に社協に入った。家族は県外で避難生活。震災前は家族6人で暮らしていたが、現在は3世帯に分離して生活。世帯分離して暮らしている方は非常に多い。
富岡町は震災前の人口16000人。H29に一部除き避難指示解除。帰還困難区域には4800人が住んでいた。帰還困難区域は、特定再生復興拠点として立ち入り規制が緩和される予定。
人口、世帯数は減少。震災により分散しており、数字には出ないが世帯数は増加している。区域境界のバリケード、帰還困難区域と住める地域が混在。家屋の解体で空き地が増加し、ぽつんとしたところに帰っても近所のコミュニティはない。
一人暮らしが増加、避難生活により各地に分散、高齢者のみの帰還など、世帯分離が進む。家族内の見守り、介護機能が低下。日常生活、移動、介護医療への不安。居住者が少なく、近所づき合いもない、支え合いも機能低下。自治会活動もできない。同じ人が何役もやっている状況。新しい住民との交流も課題。
庁内は病院、福祉施設、小中学校の再開、子ども園の開園など徐々に進み、にぎわいも少しづつ戻ってきている。社協は、富岡いわき郡山の3拠点。震災がなければ町を出て拠点を構えるのはありえない。
サロン事業、ゆうゆう倶楽部。解除後の居住者約400人、姿は見えないところでスタート。まずは集まる場所、学べる、講座や生きがいづくり、住民主体のサークルやボランティア活動を支援。、参加しやすいように送迎を行い、スーパーにより買い物支援も。
お手伝いボラサークル。ものづくりの準備、講師。畑サロン、会員みんなで栽培収穫、検査での安全性確認。社協合同サロン、住民同士サロンや老人クラブでのつながりづくり。
いわき見守連携、いわき市内に1万人、18団地が避難。社協同士で連携し、訪問活動、見守りを行っている。この活動を住民同士の支え合いに発展していければと思う。
ディスカッション
- 富田:避難指示解除あと、姿が見えない中、集まる場をつくった。その時の思いを教えていただきたい。
- 宍倉:町民と出会わなかった。生活支援相談員が仮設住宅を歩いて情報を稼いだ様に、町内を走って、人がいれば声をかける。最初はなかなか集まらなかったが、徐々に集まりだして、希望がでてきた。
- 富田:いまどのくらいまできているか?
- 宍倉:どういう人がいるかわからないところで、いろんな講座をやって、いろんな人に来てほしいと活動した。いま、自主的な活動、小さなコミュニティが動き始めたところ。
- 富田:みんなで作って、食べること、効果があると思うが。
- 宍倉:料理教室は人が集まりやすい。放射能の問題もある。自分たちでとって、安全性を確認する。食はみなさん関心がある。
- 富田:最後に、つながりづくりのためのキモ、大切なエッセンスについて一言いただき、右京さんにコメントいただきたい。
- 金野:まずは多様性、多様な機会、素材、メニュー、人によってフィットするものは違う。押し付けない、広い心を持って接していくことかなと思う。
- 新井:多様性と言おうと思ったが。北風と太陽の寓話、見守られている側は嫌がっている人もいて、居留守使う人もいる。太陽の様に、能動的に家から出てもらうことを考える。そのためには多様な活動があって選択できることが必要と思う。
- 宍倉:やはり多様なところ。いろんな催し、幅広く参加できる、気軽に集まれる場を継続して確保し、活動していくことかと思う。
- 右京:とても勉強になった。多様性、広い心、家から出てもらう様な選択肢、参加できる環境、集まれる場所。これは人と人が出会うことの重要性を指している。合う合わないあるが、その中間に立つ訓練された支援者が必要。訓練された支援者は、それぞれの良さ、強み、特徴、いろんな情報の中から人と人の接点を感じつつ、その人の弱みなりを強みにかえる、可能性あることに結びつけ、役に立っていただく、そういう小さな結びつきがキモになるのではないかと感じた。
バズセッション
中谷さん@長野県生活協同組合連合会
長野で2年前に災害があり、今月から復興住宅の入居がスタート。どんなことを注意するか伺った。支援団体が地域とつながること、鉄の扉が閉まった途端に孤立がはじまると聞いた。県外から見ている支援団体も地域につながることを報告する人もいた。気にかけて知っていくことが大事だと話し合った。
加納さん@東京ボランティア・市民活動センター
いろんな意見交換をした。支え合いマップはできるところとできないところがある、地域での関係性の情報を出す事への抵抗もあるのではとの話。専門職の必要はあるが、専門職以外の方々、生協やNPOいろんな団体が関われることはあるのか、それを広げていけるかとの話もあった。今日午前中に災害時の要援護者の名簿マップづくりの意見交換を行った。町会の加入率は半分くらいだが、声掛けはできる、それだけでも災害時には孤立を減らせる。地域の取組の中で、取り扱いが難しい方々の話をどう入れられるか、まだまだ難しく、場づくりやコミュニティのあり方を考えるのも大事だと思った。
二宮さん@釜石リージョナルコーディネーター協議会
釜石も復興公営住宅の入居は終わったが、立ち上げたコミュニティの代替わりができない課題も出てきている。岩手県でも一般入居を始めているが、被災された方たちが過去のものにされるのではないかとの不安が出てきている。お気持ちの支援に帰らなければならない事例も出てきていて、ハートが傷ついた方たちのサポート、予算面、外部が少なくなる中で、平時の制度に復興支援をどうつなげていくかが課題と感じ、地域の方と話し合っていきたい。
東梅さん@ワーカーズコープ大槌地域福祉事務所
コロナもあり人に会うことも少なく、こういう場に久しぶりに参加した。時が進むとともに、支援しようとするが、新しい課題がでてきたり、生活が変わっていく中で、マップの更新も必要だよね、一回で終わりじゃないよなとか思ったり、おせっかいの出来る人、専門職の人と考えた時、専門職はマンパワーが限られている。そこのコーディネート、旗振る人がいないと進まない、ハブ的な人が大事で、そういうところがあってほしいと思う。
登壇者よりひと言
金野 氏・SAVE IWATE
いろんな仕組みができているが、仕組みに任せず、地道に地域の総力戦でやっていきたい。自治会、社協、包括、民生委員、行政、そこを支援できる私たちの様な支援員の役割を活用してもらう。生活支援相談員が各地で活躍し成果をあげてきた。そういう方たちに活躍してもらうのが総力戦のキモになる。自然災害の不安がある。防災をキーワードに何かをやった時、地域の取組に対する熱を感じられた。災害公営住宅ができたことをきっかけに、地域住民が災害まつりを立ち上げた。防災をキーワードにした何かが効果的かなと考えている。
新井 氏・つながりデザインセンター
バズセッションで話題になった支え合いマップ。都市部では受け入れないよねとの話と、地方ではがんばっているという話があった。都市と地方の違いかなとは思うが、それも違う気もしていて、地方の若い世代が、情報開示や全体を見て、つながりを管理していくこと、若い人が支えていく担い手になるか考えると、そうではないと感じる。個人主義は悪く受け取る人もいるが、個人から地域に貢献する何かをやっていこうとすること、サークルやNPOが、そういう多様性を生み出すことになっていくのかなと思うと、地方がそれを受け入れてるのは時間の問題かと思う。若い人が都会に出てしまうのは、そういう価値観が残っているからではないかと感じた。
宍倉 氏・社会福祉法人富岡町社会福祉協議会
富岡町は人材が不足している。新たな定住移住した方とのつながりが課題。あまり負担をかけない、ゆるやかなコミュニティが作れるように、各関係機関と連携しながらつながりを作れたらと思う。避難先に関しては、地域の社協や関係団体のみなさまと連携しながら避難先の支援を一緒にやっていければと思う。
右京 氏・岩手県福祉サービス運営適正化委員会
いろんな仕組みや制度があってそれが続いている。NPOや様々な団体が多様な活動をしている。復興創生期間も4年、財政の観点からは仕切りがあるのを覚悟のうえで、それぞれの仕組みや団体の目的が機能するように、課題点含め話をして、仕組みや機能を作り直すことが必要と思う。岩手の調査では、震災に起因するストレスとかは減ってきている。それ以外の生活課題や社会の関係性で見守りが必要な人が残っているのを考えると、被災者という区分はつきにくくなっている。ただし、そういう傷は早々癒えるものではなく、すべての市民にのしかかっている。それが人とのつながりを阻害したり、外へ出ることへの気後れになる。どんな手段でもいいので、いろんなチャンネルを作り、誘って、入ってもらい、地域の中で信用できる何人かがいさえすれば、孤独感を感じながらも、肝心なときには誰かとつながっていける。そういうきっかけづくりをするのが支援者の役割かと思う。地域で課題を出し合えること、話合いできる場があり、実行に移す機運が出てきたりということが大事。正に総力戦で、支援者も地域住民との対話の中で声をかけて参加してもらう。そういう積み重ねが大事だと感じた。
閉会
栗田暢之(東日本大震災支援全国ネットワーク 代表世話人)
非常に勉強になった。東日本現状がどうなっているか、現実がわからない状況も事実。今後10年を考えた時にどうなってしまうのか危惧がある。地域の伴走支援の大切さ、多様な支援主体、そういうことを仕掛けていく、コーディネーションしているのが今日ご登壇いただいた方々だと思う。ご参加いただいた方の中には、東北をこれからも応援したいといいう方もいるだろうし、そういう方とつながっていただき支援の輪を広げていただく、私たちも引き続きこうした場をつくり、東北の現状をお伝えしながら、一人ひとりが何ができるのだろうと考えていく。同時に、南海トラフ、首都直下を考えると、今日は生きた教科書を学んでる感じがした。次の災害につなげるために災害直後だけでなく、10年経ってこうなるんだと心に刻み、学びにつなげていくのが重要だと認識した。引き続きこういう場を設けていきたい。