現地会議
第9回 現地会議 in 岩手
登壇者の主な発言
【テーマ1】「知る」-助成団体からみた現状とこれからの支援-
坪井七夫 氏(独立行政法人 福祉医療機構 助成事業部 助成計画課)
私どももともと医療金融公庫などの、いわゆる福祉医療の政府系金融機関でありました。もともと戦後、福祉とか医療の復旧を目指した、GHQの政策で作られてきた経緯があります。要するに医療とか病院にかかるのは非常に昔の人は困難であった、そういう状況を何とか打開するために病院を政策的に建てる。あるいは福祉施設を政策的に建築していくみたいな組織でありました。
フェーズの変化への適切な対応とスピードということであります。発災直後からたくさん助成金でもってお手伝いさせていただいている中で、助成団体で集まって情報交換などをしています。その中で2年、3年たって特に感じるのが、助成金を申請してくださる活動のクオリティが落ちてきている可能性があるんじゃないかなみたいな話はよく出ます。活動が本当にその現場のニーズに合ってるのかなと、もう一回振り返っていただいたほうがいいなというような活動が結構多くなっているような気がします。
明城徹也 氏(認定NPO法人 ジャパン・プラットフォーム 国内事業部)
実は昨日、2016年3月まで「共に生きるファンド」を通した助成金を継続するということが決められました。方針としてはまずひとつ目に、移行期に取り残される緊急ニーズへの支援事業というのが優先的なテーマとして挙げられております。今さら緊急かと思われる方もいらっしゃるかもしれないのですが、今、仮設から復興住宅や移転といった話がいろいろと出始めていると思うのですが、人が動いてまた新たなコミュニティの支援が必要になるというような際に、その移行がうまくいくような支援というふうなものです。その中でも「行政の支援が届きにくい社会的弱者支援とそれを支える地域社会作り」「移転が進まない仮設住宅に対する支援」「生業経済復興支援」というこの3つをあげています。この移行期に取り残されるニーズとしてですので、それに沿ったこの3つの分野が重点的な支援する中身になります。
阿部陽一郎 氏 (社会福祉法人 中央共同募金会 企画広報部)
ボラサポも当初は3年で始めさせて頂いたのが、やっぱり2年延長して、来年度いっぱい、2015年の3月までということなんですけれども。助成はもう1年やらせていただいて、再来年ですから2015年の4月以降はボラサポ2として、私ども社会福祉法人の中央募金会としての寄付募集をしてくということになります。しばらくまたお付き合いをさせていただきたいなということをまず申し上げたい。今は結局、生活支援、2番のところの②の生活支援、あるいは復興支援、コミュニティ活動というところが今のフェーズかなというふうに、応募面ではみられてきています。ただし、やっぱり、今はもう応募対象にはしてないですけれども、助成対象にしてないんですけれども、やっぱりツールとして物資というもの、食料も含めて、そのツールを使いながら住民の皆さんとのコミュニティ再興を試行錯誤していきたいとういようなこともあったりして、ちょっとまだらに緊急支援的な、当時の緊急支援的なものもあったりもします。ですから、これは応募内容によってもちょっと違ってきてるのかなと思っています。
【テーマ2】「学ぶ・その1」-孤立防止の見守りとコミュニティ形成の取り組み-
阿部知幸 氏(もりおか復興支援センター)
現場はひっ迫した状態なんだと思って聞いていただければと思います。もりおか復興支援センターは平成23年7月に開設されています。今の登録件数が671世帯、1370人の方が盛岡に避難されているんですけれども、今まで支援された方、登録された方で言うと過去に1000世帯、2000人の方の支援をしております。出身県なんですけれどもほとんど岩手県が多いということではあるんですけれども岩手・宮城の方は少しずつ地元に戻られている方も出ている中で、岩手県のほうはあまり減っていない。岩手県の方が戻られる背景というのは、再建したからと言うよりはご主人の転勤が岩手以外のところになったから家族もついていくというような形が多いと思います。岩手県の避難元、岩手県に限ってみてみるんですけれどもだいたい盛岡に来ている方は横スライド、宮古市から釜石市が比較的多いのかなと。三番目ですね。あと、盛岡市内の居住の種類ということなんですけれども。みなし仮設住宅は当初24年6月に比べるとだいぶ減ってきていると。被災されて避難されている672世帯のうち二割弱くらいの世帯が収支がマイナスになっている。常に預貯金を切り崩しながら生活しているというのが現状です。その中でも特に生活に困っている方というのが被災者と認定されていない方。たとえば自宅は大丈夫だったけれども職場がなくなってしまったと。その後、職場を再開する予定だったので現地に残っていたけれどもやっぱり会社の方が再開しないということが決まったと。ただお子さんがいる状況でなかなか出られないので盛岡に出てきてしまったと。ただ意外と盛岡に出てきても仕事が全然ないんですね。震災前から景気もあまり良くなかったので、仕事が無いと。しかも今まではホタテ漁だったりそういった仕事をされていた方は、いきなりネクタイを締めて仕事ができるかと言うとなかなかそういうことはできない。
井岡仁志 氏(社会福祉法人 高島市社会福祉協議会 地域福祉課)
専門職を地域の見守りをやっている住民の中によびこんで気になる人を法的なサービスにつないで終わりにするのではなくて、自分たちの立場でなにができるのかということまで話しあって、あるいは地域の中から認知症の偏見もなくしていこうと。子ども達むけのそういった認知症のことを知ってもらう勉強会を開いたりとか、いわゆる地域の町づくりとかいうことを含めた場にあの場がなっているというのが、この集落のすばらしいところなのかと思っている。そういう関係づくりをしっかりつくっていくということが大事かと思っています。今、高島市内の204のうち58の地域で今のような取り組みが行われるようになってきた。この取り組みを広げていくのにだいたい三年かかりました。見守り会議、見守りネットワークの取り組みでもうひとつ社協が大事にしているのは住民さんに見守りと言うと高齢者の見守りと思われがちだが、自分たちの住んでいる集落の中の気になる人を見守ってくださいっていう言い方にしています。そうすることによってここにみなさんのお手元の資料にもありますがかなり幅広い、なかなか制度の狭間の問題と言われるようなところまで住民さんが気づいていらっしゃるということがはっきりするわけです。
【テーマ3】「学ぶ・その2」-過疎化・少子高齢化の取り組み-
安藤周治 氏(NPO法人 ひろしまね)
「ここで暮らし続けたい」の思いをつなぐ、これ実は地域にじいちゃん、ばあちゃんを訪ねて行って、思いを集約してみるとどうもここにいきつくなというのが我々の活動のテーマでもあったのです。我々がやり始めた地域づくり、まちづくりというのが1970年ですけれども、実は過疎問題を何とか解決したいというところかは出発しています。地域が抱えている問題を何とかしなきゃねということで、「もう一つの役場」という考え方にたどり着きました。地域を見ますとですね、いろいろもう大変な状況が出てきています。中山間地域の少子高齢化、少子高齢化ではなくてですね無子化ですよね、子どもがいないという無子化にもなってきていると。そして、道路運送法の厳しい規制があるものですから、お店屋さんがないんであるいは病院に行く、年金を取りに行くにも交通の便が悪くて一日がかりで行かなきゃいけない、あるいはタクシーを利用して年金を取りに行くとすると大変な負担になることもあります。移動の問題、買い物の問題というのが出てきています。そして、山は手入れをしていないからとんでもない山に、荒れ放題なっている、放棄地もある。そういった地域の課題を何と解決する仕組みづくりをこれから考えていく必要がるんではなかろうかということが、議論を始めた出発でもありました。
酒井聖文 氏(おっちラボ事務局)
私が住んでた3年住んでた地域というのは高齢化率は約50%という集落で限界集落と呼ばれる集落に住んでいました。若い世代の社会起業家だったりとか、少しでも地域にかかわる人材を育てようと、思いはあるんだけれどもどう実行すればいいかわからない、そういう思いを持った方たちを育てていこうと。外から引っ張ってくるというのもありなんですけれどもそこに住んでいる人を丁寧に育んでいこうというところで始まったのが3年前です。講師は県内で活躍する同世代の方を講師としました。最初に先輩起業家とか地域プロデューサーとかまちづくりに活躍している先輩に事例を話してもらって、そのあとにグループワークですね、最後に交流会という形で食事を食べながらネットワークづくりしました。雲南市もですね地域課題がものすごくあって、既存の実組織ではなかなかカバーできないといったところがあります。そこをおっちラボが入ることによって、先程お伝えした7つのテーマで何かできることがあれば、協力させていただいて地域自主組織の横のつながりを作っていこうと。あとは行政と事業者と協同という形で地域が抱える課題にチャレンジして雲南市に、チャレンジにやさしい雲南市へを掲げていますので、そんな地域を一緒に作っていきたいなと考えています。
資料等
開催概要
タイトル | フェーズの変化を捉え、社会課題解決に挑む |
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日時 | 2014年01月28日(火)13:00 - 17:00 |
会場 | ブランニューキタカミ コンベンションホール (岩手県北上市大通り1-10-1) |
プログラム |
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主催 | 東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN) |
共催 | NPO法人 いわて連携復興センター 災害ボランティア活動支援プロジェクト会議 |
協力 | NPO法人 メディアージ 一般社団法人 子どものエンパワメントいわて |
参加者数 | 64名 |