東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

現地会議

第4回 現地会議 in 岩手

岩手県では第4回目の開催となる本会は、開催場所を大船渡市とし、協働・連携の取り組みの事例をもとに、持続的・継続的に地域課題を解決していくための支援者間の連携の在り方を考える会議となりました。支援活動における今後のビジョンや、支援・連携の道筋を先進事例から学び、あわせて岩手県内の取り組み事例の共有や、阪神・中越で活動されてきた方々と県内で活動する団体とのつながる場を提供しました。なお、運営・実施にあたっては、いわて連携復興センターと協働して開催しました。
要約 資料等 開催概要

要約

【開会あいさつ】

開会に先立ち、内閣総理大臣補佐官・本多氏よりごあいさつをいただきました。現場を回る中で、支援者のサポートが大事だと実感し、支援者間で連携できる仕組みや、ボランティア派遣など、政府としてしっかり取り組んでいくという力強い言葉をいただきました。

【情報提供】

復興庁・藤沢政策調整官より、主に復興ロードマップ、復興支援型地域社会雇用創造事業などの情報提供がありました。

岩手県復興局生活再建課からは、岩手県内の状況についてのアナウンスがありました。特に被災された方々の「情報の格差」が存在し、行政からの情報が伝わっている人と、伝わっていない人の溝を埋めるために、NPOにも情報周知などご協力いただきたいとの要望をいただきました。

【テーマ1】「知る」-県内のセクターを超えた連携取り組み-

テーマ1では、JCN代表世話人・田尻の進行で「岩手県内での連携の取組み」について、ご報告をいただきました。

宮古市社会福祉協議会・有原氏からは、経験のない大災害と経験のない災害ボラセンの運営に直面し、NPO・NGOや企業、大学などの協力を得て積極的に連携を図り活動されてきたこと、様々なセクターがいる中で、皆で顔を合わせ丁寧にニーズを調べ上げ、必要となる支援活動のプログラムを考えていく中で、それぞれの得意分野がわかり、役割分担できたことなどをお話いただきました。

いわて地域づくり支援センター・若菜氏からは、大船渡市崎浜(さきはま)地区での地域コミュニティとの連携取り組みが発表されました。住民・自治会が主体となって立ち上げた地域の復興会議とともに、合意形成のワークショップ運営や、中越被災地視察、高台移転候補地視察などを行い、復興へ向けて住民と歩んでいること、男性を対象とした番屋プロジェクト、女性を対象とした記念誌プロジェクト、若者を対象としたホームページプロジェクトなどの事例を語っていただきました。

大船渡アクションネットワーク会議・大関氏からは、大船渡の支援活動者が集まる場を設置するまでの経緯や、連携の意義などについてお話いただきました。緊急支援のフェーズが落ち着いた段階で、支援のモレやヌケがあってはいけないと支援者に呼び掛け、情報共有する場を設定されたこと、物資配布を各団体で役割分担していく中で信頼関係が構築され連携が生まれたこと、これからは過疎化の問題やまちづくり、雇用といったことがテーマになりこと、さらにこの会議をいかに地元の団体・人材に引き継げるかがポイントで、あくまでも主役は地元の方々であり、外部支援者はわき役に徹することの重要性を課題として挙げていただきました。

【テーマ2】「学ぶ」-今後の岩手の道筋を共有するための先進事例-

テーマ2ではいわて連携復興センター代表・鹿野氏の進行で、阪神・淡路大震災や中越地震における事例紹介をもとに今後の岩手の連携の在り方などが情報提供されました。

中越防災安全推進機構・稲垣氏からは、中越地震における支援活動での復興プロセスが語られました。避難所・仮設・復興公営住宅などのプロセスごとに、形態に合わせたニーズが存在すること、そのニーズもある程度のパターンの中で予測できること、それをしっかり把握していくことが大切であることが語られました。また、かわいそうな人を助けるとか、失ったものを補完するという感覚よりも、頑張って生きている人たちを応援して一緒にやっていくという気概で取り組むことが、結果的に活動のモチベーションの維持につながっているというお話しをいただきました。

新潟県・丸山氏からは、行政として、中越地震において如何に取り組んできたかが語られました。新潟県として、「ひとりもとりこぼさない」ということをスローガンにして取り組んだこと、仮設住宅にいらっしゃる方々の住居の建設のめどが立つまでは、「復興」に舵をきらず、ひたすら復旧という面持ちで取り組んだこと、中越地震の場合は3年かかったが、東日本大震災は規模が大きく、行政間で復旧度合の格差が生じること、その中で復興にいかに舵を切っていくか、スピード感と同時に少なくとも10年スパンの視点も重要であること等、貴重なお話をいただきました。

都市生活コミュニティセンター・池田氏からは、阪神・淡路大震災の際の復興基金についてお話いただきました。当時は、基金でお金を集め、金利で運用し、それを復興のために使うというスキームでやってきたこと、基金化することで行政と分離させ、スピード感のある資金提供が可能になること、ただし現在の低金利ではそれは現実的ではないこと、今回の岩手では基金が分散して解りづらくなっていること、継続的に基金の事業や中身をどうするのか、しっかりと考えていくこも大切であることなど、課題も提供されました。

【テーマ3】「つながる」-ブース形式でのつながりづくり-

テーマ3では、3つのブースに参加者をわけ、議論を深め、交流を図りました。「行政・社協とNPO」「地域コミュニティとNPO」「NPOとNPO」という切り口で、それぞれ活発な議論が展開されました。後半は自由交流とし、様々な人とつながる時間を設けました。

資料等

開催概要

タイトル 今後の支援・連携の在り方を考える。
日時 2012年7月13日(金)13:00 - 17:00(240時間)
会場 大船渡市民文化会館・市立図書館 リアスホール マルチスペース
(岩手県大船渡市盛町字下舘下18-1)
プログラム
【開会あいさつ】
田尻佳史(JCN代表世話人)
本多平直 氏(内閣総理大臣 補佐官)
【情報提供】
藤沢烈 氏(復興庁 政策調査官)
岩手県 復興局 生活再建課
【テーマ1】「知る」-県内のセクターを超えた連携取り組み-
[登壇者]
有原領一 氏(社会福祉法人宮古市社会福祉協議会 地域福祉課)
若菜千穂 氏(NPO法人 いわて地域づくり支援センター 事務局)
大関輝一 氏(大船渡アクションネットワーク会議 事務局)
[コーディネーター]
田尻佳史(JCN)
【テーマ2】「学ぶ」-今後の岩手の道筋を共有するための先進事例-
[登壇者]
稲垣文彦 氏(社団法人 中越防災安全推進機構 復興デザインセンター)
丸山由明 氏(新潟県 総務管理部)
池田啓一 氏(NPO法人 都市生活コミュニティセンター)
[コーディネーター]
鹿野順一 氏(いわて連携復興センター)
【テーマ3】「つながる」-ブース形式でのつながりづくり -
[ファシリテーター]
小山田聖子 氏(NPO法人 日本ファシリテーション協会)
主催 東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)
共催 NPO法人 いわて連携復興センター
協力 NPO法人 日本ファシリテーション協会
NPO法人 アワープラネット・ティービー
参加者数 120名