東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

広域避難者支援ミーティング

広域避難者支援ミーティング in 近畿2

近畿では2度目となる本ミーティングは、近畿地方の避難者と避難者を支援する団体の現状、課題、取り組みなどの共有と、課題解決に向けた活動の方向性やネットワークの必要性等について、参加者が主体となり話し合う場をつくることを主目的にセミクローズド形式で開催しました。
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開催概要

日時 2014年9月30日(火)13:30-16:45
会場 TKPガーデンシティ大阪梅田F
(大阪府大阪市福島区福島5-4-21 TKPゲートタワービル)
内容 1. 話題提供
避難者支援の現状~これからの支援を考えるために、各地の動向や課題の紹介~
栗田暢之 氏(愛知県被災者支援センター)
2. 情報共有・意見交換
(1) 自己紹介
(2) 近畿エリアにおける避難者の状況の共有・整理
(3) 近畿エリアにおける支援活動の課題の共有・整理
(4) 今後の方向性やネットワークのあり方
主催 東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)
参加数 22団体(26名)

資料

意見交換会の内容

(1) 近畿エリアにおける避難者の状況について

【母子避難者が抱えている問題】
  • 母子避難者も多く、子どもの支援プログラムはあるが、お母さんのケアも必要な状況にある。
  • 子どもは比較的地域に馴染みやすいが、言葉の壁などから地域に溶け込むことが難しいお母さんも多くいる。
  • 東北にいるお父さんとの心理的な距離も遠ざかり家庭内の関係が悪化しており、何かしらの支援が必要な状況にある。
  • 離婚する母子避難者も増えてきている。
【交流会/イベントに関する変化】
  • 無料保養などに対して、気を遣い参加しない避難者も出てきており、支援に対する意識の変化が現れてきている。
  • 交流イベント自体も減少しており、風化を懸念している。一方で、避難者としては交流会を継続して欲しいという意向を持ちつつも、仕事などが理由で交流会に参加できない避難者も増えている。さらには、参加率が減る中、初めて参加する人もいる。
  • 避難者同士の交流会から地元の方との交流の必要性を感じている避難者も増えてきている。
  • 会って話す交流会より、野外活動のイベントへの参加率が高い。
  • お父さん向けのイベントも必要とされている。
【避難者の声が相談窓口などに届きにくい状況】
  • 近くに身寄りがいないことにより、現実が直視できず精神的に不安定になる避難者もいる。
  • 交流会への参加者も固定化されてきており、交流会に参加しない避難者の声が聞こえにくくなってきている。
  • 弁護士、医師、公的機関などの専門家に相談すること自体が避難者にとってはハードルが高いと感じている(どこに相談したらいいのかわからない、自分の弱い部分をみせたくないなど)。
【行政支援に関する不安】
  • 行政により住宅支援の支援格差があり、不安視する避難者が増えてきている。
(2) 近畿エリアにおける支援活動の課題について

【支援活動に関すること】
  • 交流会やイベントへの避難者のニーズが変化してきており、支援団体側とズレが生じてきている。
  • 避難者が求めているのは、地域のつながりや子どもの成長変化に応じたテーマ型のイベントや交流会である。また、地域を知るイベントをするも、参加しにくく避難者のニーズに応じた内容が求められている。
【団体運営に関すること】
  • 避難者当事者団体は活動が3年を経過し、疲れが見え始めてきている。支援活動が継続できるかどうかの岐路に立たされている。
  • 支援団体の財源が乏しく支援団体も3年が経過したことやスタッフの入れ替わり等もあり、支援団体としてのビジョンや方向性を再確認する時期にある。
  • 支援者の支援が必要な状況にある。
【行政支援に関すること】
  • 行政に寄ってばらつきがあり、行政の支援のあり方で支援団体の活動にも影響がある。
  • 行政との支援団体の連携が今後は必要になってくる認識している。
【ネットワークや連携に関すること】
  • 3年経ってようやく近畿の支援団体がつながり始めてきた。
  • 避難者が有効活用できる支援団体同士のネットワークが必要である。
  • 可能であれば本日集まったメンバーでMLを作り、情報等の共有から進めていきたい。
  • 広域避難者支援への風化の影響から、募金活動などの目に見えにくい間接的な支援活動が難しくなってきている。
  • 当事者団体への脅迫、乗っ取り、スピリチュアル活動の勧誘、政治活動の勧誘行為が起きており、怖い思いをしている。その恐怖体験を告白・共有できるだけでも安心できるため、ネットワークが必要と感じている。
(3) 今後の方向性やネットワークの必要性について

【支援団によるネットワークに関すること】
  • 避難者のニーズが、住宅の問題、離婚の問題、子どもの進学の問題など、複雑多様かつ専門的な分野に変化してきており、1団体では支援活動の限を感じているため、ネットワークを作って支援することが必要である。
  • 支援団体同士のネットワークを形成し、意見交換の場を設けるなど有効に活用したい。
  • ネットワークは報告だけで終わらせるのではなく、専門家につなげるなど、次の一手につなげることが大切である。
  • 当事者団体同士が集まる場が必要である。
【他のセクターとの連携に関すること】
  • 行政における避難者支援はこれまで防災部門が担当してきたが、これからは避難者がおかれている生活環境面から福祉部門や教育委員会にアプローチしていくことが必要である。
  • 自分たちで就労機会を生み出したいと考えているが、単独では難しいため、行政・民間企業の協力なども得ていくことが必要である。
  • 子どもの託児ボランティアが減少しているため、学生などの協力を得られるようにしたい。
【情報発信に関すること】
  • 避難者自身が発信することと、また発信する場を作っていくことが必要である。
【その他】
  • 助成金を獲得するための、申請書作成や報告書作成に負荷がかかっているため、ノウハウを共有するなどにして、負荷なく助成金を獲得したい。申請書、報告書を作成する支援があれば助かる。
  • 東北に残っているお父さんの精神面が心配である。交通費の支援や悩みを話す場を設ける必要があるのではないか。

記録写真

配布資料