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避難者支援のための市民理解と啓発

とっとり震災支援連絡協議会(鳥取県鳥取市、川西清美代表)では、年間を通して県民向けに避難者の声を届ける啓発事業を30回程度行っている。

啓発先は、小学校・地域公民館・企業・業界団体など多岐にわたる。その際に集まってくる人たちも種々雑多である。小学校への出前授業に目を輝かせて聴いてくれる子どもたち、公民館に集まってくる町内会の高齢者の方々、深く頷きながら聴いてくれる企業戦士たち・・・。本当にいろんな人たちが深く理解を示し聴いてくれる。

啓発は、支援者と避難当事者のコンビである。支援者は広域避難の現状・避難者の生活状況・避難者の声などを・・・。避難当事者は、震災当時のリアルな様子やご自身の感想、避難に至るまでの心の動きや避難そのものの具体的動きなどを・・・。

この啓発事業に至った経緯と思いを「とっとり震災支援連絡協議会」佐藤事務局長に聴いた。

『支援をしていく中で聴いた避難者の声の中に「地域にとけ込みにくい」というものがありました。県民(地域住民)は、東日本大震災の避難者が鳥取県に避難してきていること自体を知らなかったのです。これは一人でも多くの人たち(県民)に避難者がいる事実、避難者の方々の様々な思い、支援に協力してほしいこと等などを伝えていかなくてはと思ったのです』(佐藤事務局長談)

とっとり震災支援連絡協議会は、避難者支援の全てを鳥取県からの委託事業によって行っている。この委託事業の中に「啓発事業」を組み込んでいった。支援者はボランティアで、避難者には委託金の中から謝金を支払う形で平成25年度からスタートした。

自治体からの委託事業を1年でも長く継続させるためにも、この啓発事業は実は大切だったことに後になって気づく・・・。

県費(税金)で支援事業を行っている県執行部からすれば、予算を通すためには議会の承認が必要である。議会承認してもらうためには議員の理解、更に議員を選出する県民の理解が必須である。啓発事業を続けることによって、地域住民(県民)の理解を広げ、それが議員の耳に届き、県費を使って避難者支援を行う必要性を議会で承認してもらう(応援してもらう)ことに繋がっていくのだ。

鳥取県の例を見て明らかに分かることは、避難者支援には地域住民・受け入れ先自治体の理解や協力が大きな力になるということである。

時間がかかるし、効果の程が見えにくいという障壁はあるものの、震災後5年以上が経過した今、「風化」を防ぐ意味でも、支援を継続していく意味でも「地域住民に対する啓発」は全国で広げていくべきものではないかと思う。