「うけいれネットワークほっと岡山」ネットワークで支援を支えていくこと。
東日本大震災から5年め、「集中復興期間」から「復興・創生期間」へと変化するときを迎えます。広域避難者支援の現場では、この5年間をどう振り返り長期化する避難者への支援に取り組むか、避難者ご自身の変化と、それに沿った支援のあり方の見直しも求められているように思います。
大きな区切りとなる次の5年を見据えて、「うけいれネットワーク ほっと岡山」は次年度以降の準備を意識的に取り組んできました。それらについてほっと岡山の視点からご報告します。
県内自治体向け意見交換会の開催
今年度前半の5月、8月の2回、ほっと岡山と特定非営利活動法人岡山NPOセンターとの共催にて、県内自治体の避難者支援担当課、及び、移住定住担当課の皆さんに向けた「岡山県内における東日本大震災避難者支援の現状に関する情報交換会」を開催しました。避難者支援の窓口は各市町村が直接の窓口となっており、また、定住移住の支援が具体的な長期避難生活、及び生活再建に関わることから、引き続きご理解と行政区を超えた支援の現状を等しくお知らせする機会として企画しました。
震災後からこの間、岡山県にて避難者支援に取り組む際の包括的な連携プラットフォームはなく、行政、中間組織、民間支援団体、個人などさまざまな支援の主体が、有機的に点と点とで繋がることで支援ニーズを捕捉してきたと振り返ります。より多層な岡山の社会資源と安定的に連携していくために、行政をも含めたプラットフォームのかたちとして提案の機会としました。
参加された職員の皆さんから、「広域避難の受入れ先での支援状況を例として知りたい」、「復興庁の事業について詳細を知りたい」等、ご意見を聞かせていただきました。
8月の第2回めの意見交換会では、ほっと岡山からいくつかの政策提言を提案させていただきました。行政と連携した「戸別訪問」、移住定住のための「コーディネーター配置」、包括的な情報共有のための「プラットフォーム設置」の3つについて、提案させていただき、具体的にすすめていく際のアドバイス等についてお聞かせいただきました。ほっと岡山のネットワーク組織がいかされ、3つの提言が次年度具体化されることを願っています。
【8月、岡山市で開催した「岡山県内における東日本大震災避難者支援の現状に関する情報交換会」の様子】
議員の皆さんに向けた講演と情報交換会
同じく8月には、岡山県議、また市議、国会議員の皆さんに向けた情報交換会を開催しました。避難者受入れ先でのご理解の継続は必至であり、西日本で多く避難者が存在していること、受入れ先として岡山県へのニーズが高い現象があったことを、さまざまな視点からよりご理解いただきたく、前半には「原発避難白書」にご寄稿されている高橋征仁教授(山口大学人文学部)による講演「広域避難をめぐる多様性と課題」を企画し、後半にはほっと岡山構成団体との意見交換の場を設けました。
県議の方からも積極的に情報の提供をいただき、活発な意見交換の場となり、今までも多くの議員の皆さんにより、声を伝える機会をいただきてきましたが、主体的に支援団体から提案していく機会も必要だと認識できる機会となりました。
今後、5年めを迎えるにあたり、支援の現場は「ゼロを目指して閉じていく」ことが方向性としてあると認識しますが、そのかたちや大きさ、役割を都度確認しながら、そしてネットワーク団体として最大限いかされるような組織づくりを目指していきたいと思います。
【岡山市で開催した講演「広域避難をめぐる多様性と課題」」の様子】