避難されている方々へ

東日本大震災に伴い全国に避難されている方々のための地域情報サイト

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変化する避難当事者と支援のかたちの中で

中国5県支援ネットワーク会議、はっとりです。
震災から4年めを目前として、あらためてその時間を丁寧になぞりたい気持ちと、被害にあわれた方へ、そして今もなお大変な日々の中にいらっしゃる方々へ心よりお祈りいたします。

この1年を大きく振り返りながら、被災地から遠く離れた中国地方、岡山と広島での避難者支援の現状をお伝えします。

岡山・「西日本から見つめた東日本大震災」シンポジウム開催

12月20日、岡山市にて、東日本大震災広域避難者支援シンポジウム「西日本から見つめた東日本大震災」〜避難者支援の現場から3年9カ月を振り返る〜を、岡山NPOセンター、うけいれネットワーク ほっと岡山の協力で開催しました。避難元からの距離と震災からの時間の隔たりは、時に震災の傷あとを見失しなわせてしまいます。今なお、避難当事者お一人おひとり、その人らしく生活を築いていくには、多くのご理解と支えが必要であることを支援の現場で実感しており、そのためにもこのような「知る」場が引き続き重要であることから企画に至りました。

前半は「広域避難者の現状 -さまざまな視点からみえてくること-」をテーマに、福島県から家族4人で避難された方、岡山で一時滞在や保養のためのシェアハウス「やすらぎの泉」を運営している延藤好英さん、新潟県で避難者支援に取り組む一般社団法人FLIP代表 村上岳志さんの3名に、震災から3年9カ月経った状況をお話していただきました。

当事者の方からのお話では、「避難者」にずっと留まりたくない心の変化や、払い続けている住宅ローン、今でも心の整理がついていないことなどが語られました。支援側の延藤さんからは、母子避難者を受入れてきたシェアハウスの運営や、同じ地域に住み始めた避難者と受入れる地域との葛藤、歩み寄りの様子、そして『人に優しい町づくり』を共に目指していることなどが報告されました。新潟での避難者状況や支援についてお話いただいた村上さんからは、「避難者から生活者」へ変わりつつある様子や、それに伴い避難先での既存の社会資源にどう繋げていくかなどについてお聞かせいただきました。

後半には、岡山県避難支援担当、NPO法人「岡山・ホームレス支援きずな」の豊田佳菜枝さん、コーディネーターに中国5県会議共同代表の福井正樹が加わり、6名でのパネルトーク。避難した先での支援が行政でもまちまちであること、住宅支援の打切り問題から見えてきたこと、当事者が持つ「助けの求めにくさ」など、他地域と比較することで「ここだけの問題」ではないこともあらためてわかりました。困窮者支援に取り組む豊田さんからは、「“いつもここにいるよ”」といった『寄り添う支援』についても触れていただきました。

避難当事者、支援者、当事者である支援者、行政、そして生活全般にわたる支援に携わる団体といった、多層な方々からみた広域避難の現状に触れる大切な機会になりました。

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広島・「原発事故子ども被災者支援法」学習会&交流会

1月25日、広島市にて中国5県会議構成団体である「アスチカ」の協力のもと、「『原発事故子ども被災者支援法』勉強会&交流会を開催、同時に『広島土砂災害コミュニティサポート』支援活動報告会も行われました。避難当事者団体である「アスチカ」は、昨夏の広島土砂災害を自分たちの経験に引き寄せて、東日本大震災、原発事故での被災者の問題とも重なる部分に着目、「当事者にとっては災害が終わっていないという事実の周知」という課題を通して、双方の支援を影響しあい、お互いの活動を高めて行きたいという思いがあったと語ります。

「原発事故子ども・被災者支援法」のお話は、福島市から岡山へ避難された司法書士の丹治泰弘さんに説明頂きました。避難を決めるまでの迷い、原発事故により起こっている問題の指摘、更に支援法の概念の説明や問題点となっている部分にも言及されました。当事者としての体験も踏まえ、支援法がなぜ必要なのかということも含めて、これまであまり関心のなかった方にもわかりやすい内容で、今被災者である人への支援という視点だけでなく、子どもたちのこれからに何を約束するのかという視点も持って考える必要性を改めて確認できる機会となりました。

交流会ではアットホームな雰囲気で、さまざまな立場の方とお話し、お互いの情報交換の場になりました。「新たな視点や学びが得られた、もっと知りたい」、「自主防災会の構築、総合的な支援ネットワークづくり間について考えていきたい」など、参加者のみなさんからは、今後に繋げていきたいご意見や感想が寄せられました。

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今年3月21日には広島にて、中国5県会議主催による復興を考えるフォーラムを予定しています。避難者支援の各地の拠点に訪れる方が少なくなってきても、当事者一人ひとりの歩みのスピードを見守り、被災地から遠いところだからこそ、支えあえる連携を継続していきたいと思いました。「いつもここにいるよ」のメッセージとともに。