改めて感じること
秋田県は被災者受入支援室が避難者を支援する「秋田県避難者交流センター」を拠点に情報誌の発行や、交流会等を実施しています。避難されている方が自ら支援相談員として、個別訪問や講座の開催等を行っています。伺った日は「K・Kブレスメソッド」と「ちくちくの会」が開催されており、お邪魔させていただきました。
「K・Kブレスソメッド」は心と身体の綺麗と健康を目指すもので、この日は「身体リセットストレッチ」として寒さで身体が固くなっていることやお正月明けということもあり、椅子を使った足・足首・肩甲骨等のストレッチ、腹式呼吸(肋骨を本来の位置に戻す)、正しい歩き方を教わりました。参加者どうしが和気合いあいとリフレッシュの時間を楽しんでいました。ご家庭でも続けているそうで姿勢がとてもきれいでした。講師の方は避難者のみなさんのお役に立ちたいと思い、関わらせていただいているとお話しくださいました。
「ちくちくの会」は避難者支援相談員と一緒にお茶を飲みながら、楽しくぞうきんを縫い、縫いあがったぞうきんは被災地にお届けするという目的をもって、続けられています。月に3回、午後1時から4時までの都合のよい時間に行くことができ、材料は避難者交流センターで準備されていますので、手ぶらで参加できます。ラジオから流れる情報に耳を傾けながら、私も1枚縫わせていただきました。福島から避難されている男性の方は1回につき2枚は縫えるそうです。相談支援員は訪問した時とは別の会話ができると話してくださいました。避難者交流センターに来られない方は各家庭で縫って、相談支援員が訪問した際に渡してくださるそうです。
ぞうきんの材料となるタオルはいろいろな方から寄付されており感謝していました。また、完成した手作りぞうきんは昨年10月にはNPOを通して宮城県気仙沼市南郷の災害公営住宅や保育園にお届けし、喜んで使っていただいているそうです。保育園からは感謝のお便りがあり、提示されていました。「手作りぞうきん」が人や地域のつなぎ役を果たしていると感じました。
NPO法人あきたパートナーシップでは避難している高齢者等の交通弱者を支援するために、平成25年から「お出かけ支援」を継続しています。今年度は平成27年7月12日から平成28年2月10日までのほぼ半年の事業の予定でしたが、冬場に入りニーズが増えたため1か月間事業を延長することにしました。今年度はNPO法人秋田パドラーズさんとの協働で行っています。病院に通う高齢者や秋田県主催のイベントへの送迎、障がいのあるお子さんをお持ちのお母さんの送迎が主で、毎月10件以上の依頼に対応しています。「お出かけ支援」があることで、イベント等への参加ができ、外に出るのが楽しくなったと言ってくださる方もいます。また、定期的に病院通いをするご夫妻は「戦争も経験したが、まさかこの歳になって人の生死に関わるたいへんな事象を、再度経験するとは思わなかった」と語り「秋田の皆さんに助けられながら生きていきたい」と話してくださり、お役に立っていると実感しました。
社会の情勢が変化する中で、避難者の皆さんは様々な決断をしなければならない場面があり、決断に至るまでの時間が大変と聞きます。先が決まってしまえば楽になり、その時期を目標に頑張れるようです。帰還される方、今後も秋田で暮らそうと考えている方に「私たちがどう関わり、何ができるか」と考えさせられます。行政や地域または企業等をつなぎ、継続的な支援ができるよう努めたいと思いました。