避難されている方々へ

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古川ふれあい農園の取り組み紹介

NPO法人えひめ311です。

当法人では、平成26年度、平成27年度から農林水産省の「農」のある暮らしづくり交付金事業を活用し、「都市農地の多面的機能を活用した農業・福祉・防災等関係者の連携による多機能農園のモデル形成の検討及び試験圃場の開設事業」を実施しました。事業名は、硬いですが、要するに農園を活用したコミュニティづくりです。そのコミュニティには多様な人たちが参加し、農業をきっかけに福祉と防災がつながり合うような事業です。今年度は、補助金事業が終了し、自主運営の体制を整えつつ、地域の方々と一緒にいろいろな取り組みを行っております。この農園は、貸農園もやっていて、えひめ311の正会員ならばだれでも農地を借りることができ、それぞれ好きな野菜や花を育てることができます。農地を借りたいと正会員になってくださった方々もいます。また、良い条件として、隣に乗馬クラブがあるので、馬糞を土に混ぜ込み、肥料としています。取材に行ったこの日も、地域のおじさん2名が農作業をしており、ゆっくりとほのぼのとした時間が流れていました。

さつまいも、玉ねぎ、大根、白菜、ブロッコリーなどなどいろんな野菜が育てられています。この野菜たちは、少しでも自主財源獲得のため、生協病院内で販売させていただいたり、バザーに出店したりしています。多くの利益は上がらないですが、種苗代とお茶代くらいにはなっています。

12月17日(土)には、愛媛大学の学生グループと地域の方々、避難者でさつまいもを収穫し、もみがらの中で備蓄食料として保存します。この寝かしたさつまいもを3月の種まき祭の時に、焼き芋にして、参加者で食べます。最高においしいです。

農園内には、休憩スペースとして手作り感あふれる小屋があったり、えひめ311の掲示板があったりと人が集う場があり、毎日だれかが農作業しているという状態になっているので、ここにくればお茶を飲んだり、おしゃべりをすることもできます。避難者と地域の方が、何気なく、コーヒーを飲みながらおしゃべりしているという野外サロンのような感じにもなっています。よく農園に足を運んでくれる人は男性が多く、男性が外に出かけるきっかけになっているかもしれません。残念ながら写真はないのですが、以前、農園の様子を見に行った時には、宮城県からの避難者の方と地域のおじさんが畑を見ながら笑い合っていました。

避難者だけのつながりも大事だと思いますが、地域の方々とつながることで視野は広がり、元々避難者の方々が持っていた力が湧き出したりするのではないかなと最近強く思います。震災当初、避難者同士のコミュニティや自助グループに助けられたり、支えられたりした避難者はとても多いと思います。私たちも当事者として、同じ境遇の方と会うだけでホッとしたり、福島弁でしゃべったり、気兼ねのいらない場の存在がかけがえのないものとなっていました。

月日が経ち、避難者同士の集まりも小規模になり、今までとは別の形でえひめ311を展開していく必要があるのではないかと考えています。避難者というカテゴリーだけで集っていると、いつまでも地域に馴染めず、避難者と地域住民は別ものみたいな感覚がなくならないのではとも思っています。地域住民の中に避難者もいれば、子どももいて、高齢者もいて、障がいのある方もいて、地域に多様な人がいるのは当然のこと、それぞれの人権を侵さないような社会を目指していくことが、今後のえひめ311の事業の柱になっていくと考えています。