四国一周 おせったい訪問
NPO法人えひめ311も3年目。走りながら作り上げ、1年目はとにかく交流会、イベントに力を注ぎ、避難者の方に知っていただくこと、また、愛媛の地元の方に理解していただくことを目標においてやってきました。そういう中、「交流会で会ったことのない方はどうしているだろう?」「もしかして、大変なご苦労をされているのではないか?助けてと声を上げられないのではないか?」と思い感じることが増えてきました。目の前の方に支援を続けながら、見えない方々を大切にすること。それこそが、私たちのこれからのミッションなのでは・・・このような思いから、平成25年12月からおせったい訪問(四国のお遍路文化にちなんで名づけました)をゆっくりとスタートさせました。
まずは、おせったい訪問の足となる車両を探しました。以前からつながりのある車両販売店にお願いして、軽の1BOXを寄贈していただきました。
【寄贈いただいた車】
次に避難者のニーズ調査。四国内の県庁にある避難者支援窓口に事業の趣旨を説明し、調査票を送っていただけるようお願いに行き、無事、4県とも郵送していただきました。その結果の集計作業を就労継続支援B型事業所へ委託し、その後、関西学院大学災害復興制度研究所の松田先生に分析・まとめをしていただき、四国内避難者のニーズ調査を行いました。
松田先生は、以下のように分析されました。
- 避難者の多様性があらためて確認された。
→今後、他の社会資源との連携が必ず必要となる。 - アイデンティティの確立が行えない避難者の方の不安が特に大きいと推測できる。
→公共による住宅支援も、民間の支援もこの視点に立つべき。
→個別訪問を希望している人がより心の危機の状況にある。
自由記述欄には、細かくぎっしりと今の思いを綴ってくれた方もおり、避難者の抱える深刻化していく悩みなども生々しく伝わってきました。避難者という一つのカテゴリーでは、支援は全く十分とは言えない状況だということが、分かりました。
次におせったい訪問の支援物資集めです。お米を集めようと、お声かけをしたら、コープえひめ様から100キロ、愛媛の農家様から180キロ集まりました。温かい気持ちに感謝感謝です。
【いただいたお米】
さて、いよいよ、お米を携えてのおせったい訪問が始まりました。四国4県で合計49世帯(愛媛県17、香川県12、高知県13、徳島県7)を訪問しました。
訪問した際、愛媛の避難者の方とは面識もあり、話も盛り上がり、近況なども報告を受けるのですが、他の3県の避難者の方とは、ほぼ初対面。警戒されていたかもしれませんが、実際、お米をお渡しし、少し話す中で、私たちも当事者だと伝えると、顔がほころび、ほっとされる方が多くいらっしゃいました。初対面の私たちに色々と悩みや不安を打ち明けてくれた方もおり、一度、持ち帰り、調べて、社会資源につなぐことも何度も行いました。
事例を1つ挙げると、住宅のことでずっとお一人で悩まれていたご高齢の独り暮らしの方が、「住宅の期限が切れてもここに住み続けたい。が、今までお世話になっていて、そんな、図々しいことは言えない」と話されたので、私たちで少し、調べさせてください。と話し、時間をいただきました。行政の住宅担当者に確認すると、「家賃が発生しますが、延長できます。保証人が必要となります。」との回答をいただきました。それを伝えると、「保証人を頼める方はいない。だれも知り合いがいない」と話されてので、再度、時間をいただきました。次は、市の社会福祉協議会へ相談しました。「生活相談支援センターで引き受けます。その方は、高齢で独り暮らしということなので、他の支援も必要かもしれません。私が一度、面接にいきます。」という回答をいただき、現在は、社会福祉協議会の生活相談支援センターの方とつながりができ、住宅のことも解決いたしました。これは1つの事例ですが、おせったい訪問を通して、どれだけ「助けてー」とサインを出せない方を見つけ出し、近くの社会資源につなげていくことができるかが、これからの支援で必要なこととなっていくのではないでしょうか。
【お米をお渡しする様子】
次回は、2月〜愛媛のみかんを携えて、訪問しようと準備を整えています。2月の訪問では、1回目の訪問よりもさらに悩みや不安等を感じ取り、共に解決できればと思っています。また、3月に行う四国避難者交流会の案内も配布し、年に1度、同窓会のように集まれる場を作りたいと思います。たくさんのつながりが私たちの活動の支えとなっております。