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宮崎から良い風ふかせ! 『うみがめのたまご』〜3.11ネットワーク〜!!

「時々ウミガメの保護団体と間違えられるんですよ」
と冗談まじりに説明するのは、宮崎で『うみがめのたまご』〜3.11ネットワーク(以下、『うみがめのたまご』)の代表を務めている古田ひろみさん。同会は東北や関東からの避難者と地元の人達とが交流しながら活動を続けている、九州でも注目の団体である。

「私も震災直後、子どものことを考えて避難しました。初めはずっと孤軍奮闘していました。そんなとき他の避難ママと出会うことで不安な気持ちが落ち着きました。だから宮崎の避難ママ達を独りにさせないよう繋がっていこうと思ったんです。そうしている内に団体をつくった方が良いっていう話が沸き起こって、設立しました」

しかしなぜ団体名が『うみがめのたまご』なのだろう。

「宮崎はウミガメの産卵地として有名なんです。だから、避難してきたママ達がここで安心して子育てをできるように、という気持ちを込めてこの名前に決まりました」

古田さんは地元の人に教わったある言葉を大切にしている。それは「風の人」「土の人」という言葉。実は『うみがめのたまご』の交流会名にも時々使用されている。

「『風の人』は風に乗って移動して来た人。『土の人』は風の人を迎え入れてくれる地元の人を表しているんです。せっかく宮崎に来たのだから宮崎に良い風をふかせてね、と言われました」

地元に打ち解けられた理由を宮崎の県民性のおかげと説明する古田さんだが、古田さんご自身の人柄も相まっているのだと感じた。

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【うみがめのたまごの交流会】

現在『うみがめのたまご』は子育て層をはじめ、あらゆる避難、移住者に対象を広げて交流会などのイベント開催を継続。それ以外に戸別訪問支援員の育成と帰還者支援にも力を注いでいる。戸別訪問支援員の育成は、様々な理由から交流会などに参加できない孤立しがちな避難者のもとへ、支援者が出向いて行き寄り添うため。帰還者支援は、ある意味で避難者よりも孤独になりうる帰還した人達の声を汲み取り、帰還先の支援者や地域に繋いでいくためだ。

「帰還したら終わりじゃないんです。帰っても避難前と同じコミュニティはないのだから。避難中に信頼関係を結んだ私達だからこそ見える帰還後の孤立があり、大きな課題だと感じています」

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【訪問型支援員の研修の様子】

最後に古田さんは「支援者同士でもっとお話する機会をつくっていきたいです。お互い知らないことがまだまだあるから」と語った。

インタビューを終えると古田さんは息子さんの話を始め、お母さんモードに戻った。そんな愛が溢れる『うみがめのたまご』は今後宮崎から日本全国にどんな風をふかせるのか、とても楽しみになった。

以下、写真はうみがめのたまごが定期的に開催している芋煮会と波のり交流会の様子。

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