大牟田で「Ochaccoしていかんね?」
こんにちは。一般社団法人市民ネットの竹下といいます。市民ネットではおもに福岡県内に避難されている方の受入れ対応や暮らしのサポートに関わっています。県内の避難者支援の取組を紹介します。
福岡県大牟田市、熊本県との県境に位置するこの小さな町で「Ochacco in おおむた」と呼ばれる交流会が開かれている。主催は東日本大震災復興支援〜絆〜プロジェクトおおむた。代表の彌永(いやなが)さんは震災直後から東北と密接に関わってきた。
この「おちゃっこ」という言葉、実は東北で「お茶していきませんか?」と誘うときに使われる言葉なのだそうだ。震災後、彌永さんご自身が東北支援に行った際、地元の人たちに「おちゃっこしよう」と声をかけられた。当時震災支援と言えば支援物資供給が当たり前だった。物ばかりが重要視される中、「心の支援とは何か?」という疑問が彌永さんにはあった。その疑問を解消したのがおちゃっこだった。誰かの家に集まり、地元のお茶とお菓子を食べながら何気ない話をする。その肩肘張らないやりとりを見て、彌永さんは地元の方にとっておちゃっこが心の支えになっているのだと確信した。
九州に戻ってくると、今度は県外避難者の問題が彌永さんを悩ませた。大牟田市に圧倒的に多いのは気仙沼からの避難者。なんと百二十名近くの避難者が大牟田に集まっているという。仰々しい支援ではかえって避難者にストレスを与えてしまう。悩んでいる彌永さんの脳裏に、東北で誘われたおちゃっこが浮かんだ。避難者の多くは避難先の生活に慣れようと故郷の方言を隠して生活しているという。せっかくなら避難者の方々が地元の言葉で自由に話せる空間をつくりたい。そう思った彌永さんは「おちゃっこ」という言葉をそのまま交流会の名前に活かした。交流会の開催は月に一回から二回。特に派手なレクレーションが行われるわけではない。しかし東北の新聞が置いてあり、東北の知人から取り寄せたお茶菓子や雑貨が置いてある。要望があれば彌永さんご自身の経験を活かして石けんづくりやお菓子づくりも行う。参加者は自由にお話をして、子ども達が自由に走り回る。その光景はまさに田舎の家で行われるお茶会そのものだ。
今までは市の施設をレンタルしていたが、今年七月から事務所を開設し、常設の交流スペースも確保された。大牟田にはまだ福島や宮城からの避難者がいる。今後は彼らとどのように交流をしていくかが課題だ。「私の代わりに避難者が主体となって交流会を開いてくれるのが夢」と彌永さんは語る。