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首都圏からの自主避難者とママズカフェの重要性

こんにちは、市民ネットの竹下です。福岡県に避難してきている首都圏からの自主避難者について取材してきました。私は市民ネットに入ってまだ一年なので、今回のインタビューはとても意義のあるものでした。

東日本大震災による避難者と聞くと、多くの人は東北からの避難者を連想するでしょう。しかし、ここ福岡県では首都圏からの自主避難者が三千人を超えると言われています。なぜ彼らは被災したわけでもないのに避難をしてくるのか。私の疑問に市民ネットの代表理事をしている飯田真一さんはこう答えた。
「被災という定義そのものから説明しないといけませんね」

飯田さんの考えによると、東日本大震災の被災地は日本全体なのだという。
「津波で被災した地域、放射能で汚染された地域、PTSDになった人、人生が変わった人。東日本大震災は様々な影響を全国に残していきました。日本全体が被災地なのだから、決して首都圏からの避難者がいてもおかしくありません」

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では首都圏からの自主避難者は何に対して不安があるのか。私には、どうしても放射能に対して過剰になりすぎているだけの気がするからだ。
「首都圏というのは情報が集中してしまうところなんです。情報に翻弄されてしまうんですよ。ひとたび翻弄されれば、なかなか冷静になるのは難しいんです。放射能に関する情報が氾濫すれば、一歩家の外に出るだけで植え込みや茂み、畑に溝などあらゆるところが気になってしまいます。首都圏からの自主避難者はそんな不安から逃れるために九州にやって来てるんだと思いますよ」。

市民ネットでは震災直後から避難者交流会であるママズカフェを開催しています。ママズカフェには今でも多くの参加者が集まっている。その大半は首都圏からの自主避難者です。飯田さんによると、ママズカフェは元々無くす予定で始めた物だったそうです。
「ニーズがなくなれば無くす予定でした。今でもこうして開催できているのは複雑な気持ちですが、ありがたくも思います。避難者にとってママズカフェが居場所になっているんです。福岡での生活に不安がある人たちにとって安心して逃げられる場所。避難者が自立するまでママズカフェは続くでしょう」

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飯田さんの言う自立とはなんなのか。
「新しい生活に光を見出せたら、自立できたと思いますよ」

それは震災前の生活に戻ったら、という意味だろうか。
「いいえ、過去に戻ることはできませんから。避難者が未来へ進む後押しを、市民ネットがやっていけたらいいですね」

普段は堅いイメージの市民ネットだったが、今回のインタビューでは小学校の先生のような優しさと親しみやすさを感じた。

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