福島への「ふるさと交流会」を西日本の支援団体が実施
今年の夏、京都府の「みんなの手」、滋賀県の「滋賀県内避難者の会」、愛媛県の「NPO法人えひめ311」、沖縄県の「沖縄じゃんがら会」、岡山県の「ほっと岡山」、大阪府の「まるっと西日本」らが福島県で県外避難者を対象にしたふるさと交流会を開催しました。交流会は郡山市と福島市といわき市などの都市で複数回行われ、西日本に避難している350人近い福島県の避難者がこの夏ふるさとへ帰省し、同郷の県外避難者たちや現地へ帰還した人たちと交流しました。9月のシルバーウィークには京都府の「NPO法人 和(Nagomi)」主催の「ふるさと交流会」が郡山市で行われました。
各団体の参加者の募集は7月から9月の間に行われました。申請応募理由には「もう何年も福島へ帰っていなかった。ふるさとへの移動の経済的な負担は大きいので嬉しい。」「家族親族ともう長い期間会っていない。」「お父さんは子どもに会うのが数えるほど。福島へ一時帰省したくても移動費がかかる。」「今後について家族と話し合う機会がなかったので助かる。」など、文面からは家族親族が分散しての避難生活での経済的な負担や心の負担を軽減するような支援策を求める様子が伺えます。終了後も、参加されていたほとんどの方から「これからも必ず続けて欲しい。」との感想をたくさんいただいきました。
各地の交流会では、現在の住まいや支援についての情報交換、同じ学校の出身者や昔の同僚との再会、帰還している人との交流もあり、交流会は同郷の人同士が集う場として会話がとぎれず、それぞれの団体の担当者は「この支援へのニーズが多かった。」「一人親家庭や母子避難者の生活困窮を軽減するための支援が必要。」「家族分離世帯の支援策として有効。」「経済的な理由でふるさとへ行きたくても行けない人が多いことがわかった。」「今後の事を家族で話し合えていない分離世帯にとっては、今後の事を決める場の提供が出来たようだ。」とコメントしています。
ひとたび避難すると、子育て中の家庭は、避難先で子育てを再スタート。子どもの入学卒業時にしか引っ越し出来なくなる傾向が強まります。また、就職先が決まると遠方への転居とともに転職活動を行う負担、引っ越し費用の負担や精神的な負担などで緊急避難先に長期的に避難し続け、緊急避難が長期避難へと変わっていきます。県外避難者の生活再建は、収入を得るための仕事と子育ての中で継続されるため、ふるさとを訪れる事や様々な手続きなど、ふるさとの様子を伺い知る交通費を捻出する事が、家庭内の経済負担のなかではどんどん後回しになっていきます。20年前の阪神・淡路大震災後も、今回と似たような支援策が行われています。兵庫県は各地に散らばった県外避難者への支援の仕組みとして、「ひょうごカムバックプラン」を実施。県外へ避難した人がふるさと兵庫の復興の下見や仕事探し、就職活動、手続きなどで、県内へ一時戻る宿泊施設を利用した場合の宿泊費の一部の補助が行われました。20年前の県外避難者の記録等には、県外に避難し、差別や周囲の無理解の中、避難先での暮らしや暮らしの復興のためにがむしゃらに仕事に追われ「戻りたくても戻れない」状況にあった兵庫の人たちの苦しさを文面から伺い知ることが出来ます。
震災がひとたび起きると、被災県は初めての県外避難者に対してどんな支援策が有効なのか?どんな支援が今求められているのか?を模索しながら県外避難者支援を行うことになります。「帰りたくても帰れない県外避難者」にはどんな支援策が必要なのか。避難されている方の希望やリクエストを、被災県に伝えることもまだまだ避難者にも支援者にも求められています。西日本の支援団体は今年の12月もふるさと交流会を行うため、今、連携して準備をすすめています。