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住宅支援終了前に準備!〜関西の住まいを考えるアドバイス

福島県は次の支援策を12月7日 福島県ふるさと住宅移転(引越し)補助金についてを発表しました。

関西2府4県では今も2,731人(復興庁発表)が避難生活を送っています。今年の秋に関西に避難されている全避難者のみなさんに関西の自治体を通じてご協力いただいた毎日新聞と関西学院大学災害復興制度研究所とまるっと西日本の共同アンケート調査では「今の公営住宅に住み続けたい」という回答が数多く記載されていました。住宅支援を受けている人にとって今後の住まいをどう考えていけばいいのか、関西の避難者に「住まいの相談」 サポートを実施しているNPO法人千里すまいを助けたい!(※)代表理事の片岡誠さんにお話をお聞きしました。

— 現在、みなし仮設として公営住宅などの住宅支援を受けている方は、今後どんな事に注意すればいいでしょうか。

片岡:今後も今の場所に住み続けたほうがいいのかどうかを、そろそろ 家族で話し合う事が大切です。

— 今後も府営・県営住宅で引き続きそこに住みたい場合は?

片岡:出来るだけ早く、府県、市町村の住宅担当のところへ行き「ここに住み続けるための必要な手続きについて」そろそろ確認したほうがいい時期にきていると思います。それによって、どんな準備が必要なのかを調べておきましょう。基本的には今住んでいる部屋を一般入居(住宅費がかかります)に切り替えてくれるかどうか?を聞いてみてください。新たに引っ越しする必要がなく家賃を安く抑えることが出来ます。関西は大阪の府営住宅など空いている公営住宅もありますから比較的実現しやすいのではないかと思います。関西では滋賀県高島市、大阪府吹田市、兵庫県明石市などの自治体が、一般入居に切り替えています。

— 支援者と住宅の相談をする際に調べておくことはありますか?

片岡:今、自分が借りている住宅がどのような形態で借りているのかどうか、市営・府県営住宅、借上げマンション、UR、雇用促進住宅などが特例入居、特定入居、災害救助法によるみなし仮設なのかなどを住宅の担当者に聞いて下さい。不安で待つよりも相談を。関西では私のところにもご相談いただければと思います。

— 大阪の公営住宅はどうでしょう?

片岡:大阪では泉北ニュータウンなど南部エリアに空きが多く、千里ニュータウンなど大阪北部はなかなか空き家がないのではないでしょうか。人気の市営住宅は何度応募してもむずかしいエリアも。府営・県営住宅は一年で3〜4回ほどの応募期間中に応募しなくてはなりませんから、いつでも入居できるわけではないので気を付けてください。

ポイント

  • 希望するエリアが人気の場所なのかどうか
  • 公営住宅がどれぐらいの確率で入居できるのかも住宅担当者に聞いて事前に調べる
  • 応募期間は前年度に数回行われる。当選率を聞いておく。

— 一般入居に切り替わったときに必要な入居要件がありますか?

片岡:保証人(大阪の府営住宅であれば被災県の家族でも可)、敷金3か月分ぐらい、住民票(自治体によっては住民票が不要)風呂釜がついていない部屋があり、入居者が購入かリースすることになっています。お住まいの公営住宅の担当者に相談してみてください。

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【「県外避難」の特集のためNHKの生放送に出演された片岡さん】

— 民間住宅に住み変えるのなら注意する点は?

更に家賃1/2〜1か月分の仲介手数料、引っ越し代、前払い家賃1か月分、礼金・敷金も含めて家賃によっても違いますが60万ぐらいの住居の費用の準備をしておくのがいいでしょう。住みたいエリアに前もって調査にいき、朝、夜と時間を変えて歩き、人通り、日当たり、 駅からの距離、買い物の便、バスや電車の運行状況、通学、通勤の上でどこの沿線が便利なのかを周囲の人に尋ね家族と相談して考えてください。不動産会社をいくつも見て歩き、値引き交渉をしましょう(※関西では家賃や不動産は掲載されている金額よりも値引きされる)。

— 引っ越しを考えて実際に引っ越すまで、どれぐらいの期間が必要ですか?

片岡:これまでの事例から、 相談から実際に引っ越すまで半年ぐらいかかっています。家族みんなの希望や交通の便を考えて最適の場所を選ぶ時間を選び、また引っ越しせずにすむように配慮を。希望のエリアで希望の家賃の部屋を探すのは時間がかかりますよ。

— 「これから関西に再避難したいが、関西の住宅事情は?」という問い合わせについて

片岡:これまでも一旦被災地から避難したが、避難先の土地に馴染めなかったり子どもの進学や親の仕事探しのために大阪に再避難を希望し、大阪の住宅事情を遠方から問い合わせてこられる避難者がいました。実際に大阪まで住宅探しに来られた避難者もいました。関西と一括りにできないのがそれぞれの地域の住宅事情です。公営住宅が多いのは大阪府です。京都府と兵庫県も多いですが、殆どが都市部。関西圏でも京都とそれ以外で契約条件が異なります。生活環境は、それぞれの府県の地域で随分違いがあります。大阪府内では、北部と南部で言葉遣いや隣近所との関係に違いがあります。これから関西に再避難を考えている避難者は、是非関西を訪問してから関西のどこに避難するのが良いかを確かめてください。

次の引っ越しは、前回のような緊急避難ではなく「子どもの成長、自分の就職、家族の将来の予定」を想定し、あわてずじっくりと時間をとって家族と相談をして探して下さい。

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(※)NPO法人 千里すまいを助けたい!
代表理事 片岡 誠
大阪府箕面市小野原西6-16-16
Tel. 06-6875-7459
Fax. 072-749-0070
E-mail: kattan@be.mbn.or.jp