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「関西避難者の動向を支援団体で予想する!」連絡会議が奈良で開催

9月17日奈良NPOセンターが主催し、奈良県の支援団体と自助団体、関西の訪問プロジェクト参加団体(滋賀県内避難者の会、NPO法人 和(Nagomi)、奈良県被災者の会、まるっと西日本)奈良県、福島県避難者支援課など行政担当者、和歌山からは民生委員、大阪で活動するチームおせっかいも参加し今後の住宅支援終了後の関西の避難者の動向を予想する連絡会議が行われました。今年から毎月関西各地域の支援者が、各地域の支援について、連絡、報告の場を設けています。大阪、京都と続いて今月は奈良、来月は滋賀県での開催予定です。

避難者向け公営住宅支援が終了後の関西避難者の動き

2016年3月末で、宮城県の14の市町村、2017年の3月には福島県も公営住宅の無償での入居期限が終了します。9月に京都で行われた復興庁主催の「自主避難者向けの説明会、交流会」で関西学院大学災害復興制度研究所顧問の山中先生はこれまでの災害の研究結果から「被災地の高齢化は通常の5倍。子育て世帯が移動し、高齢者が帰還する傾向がある」と説明しています。関西の避難者も同様で、高齢者が帰還を望む傾向があり、子育て世代の大半は関西に残ることを希望される方が多いようです。

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京都
入居には所得や避難元などの制限がある京都府では現在の公営住宅から退去をしなくてはならない人も出てくる。京都府庁は、公営住宅に入居している避難者を訪問または 意向調査を行い、住宅についての期限や京都府の住宅支援について説明を行っている。
奈良
奈良県の条例の中に被災者が含まれている。災害救助法としての住宅ではなく被災地からの通知とも関係なくなっている。
滋賀

関西では受け入れ市町村自治体が避難者へ退去を求めるケースが後を絶たない。被災県の延長があったとしても住宅支援は関西の自治体の裁量に。

※毎日新聞 2013年12月11日「東日本大震災:被災者向け住宅、無償提供継続 滋賀・高島」

和歌山

世帯数は50世帯以下と少ないが、取り壊し予定の公営住宅への入居者もいて退去をしなければいけない人もいる。和歌山県には定住移住支援として他県からの移住者には200万前後の支援金がある。

移住・定住大作戦|田舎暮らし応援県わかやま

大阪

NPO法人千里すまいを助けたいは大阪の住宅探しの相談に応じている。「『困窮していて故郷へ戻れないことの具体的な理由と有償での入居』について住宅担当者に伝え、慌てて出ていかずに引っ越しを仕事や就学と関連させながらじっくりと考えて。引っ越しには生活の立て直しの費用がかかるため有償での公営住宅の入居も考慮して」と今年3月に行われた住宅相談会で理事の片岡さんがアドバイス。茨城などの住宅支援が途切れた方は有償での府営住宅の入居が継続。

NPO法人 千里すまいを助けたい

京都、和歌山
滋賀、兵庫
各県に定住移住支援策がある。岡山県が実施しているような移住者向けの支援は存在する。関西でも定住・移住策を行う自治体との連携が可能ではないかと具体的な定住・移住をサポートする相談会の催しなどの必要性も検討 。
宮城県からの避難者

来年の3月で宮城県からの住宅支援が特定の人をのぞいてほぼ終了、今年6月から宮城県大阪事務所で、支援員が電話での問い合わせに応じている。

宮城県大阪事務所 電話:06-6341-7905

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被災地へ戻った人からの再避難の相談

「帰還した人達から、また関西へ戻りたい」そんな相談が増えたという報告を行った支援団体もあります。理由は「復興に関する建設などの年間契約の仕事しか見つからない。」「学校、近所などから避難したことに対して中傷めいた嫌がらせを受けている。」「病院などが現実的に被災前より激減しており、生活できない。」関西へもう一度避難したいという相談が増え、支援団体の中でも「帰還」が必ずしもゴールではないことも改めて認識しました。

緊急避難から生活再建へ

前回、新潟で支援を行う FLIPの代表村上さんは「現状欠けている「定住支援」と一緒に民間支援のありかたもイベント・交流・物資提供等の支援から、「(帰還か定住かを問 わず)安定した生活を取り戻すための生活再建支援」にシフトしていく必要性」をこのブログで述べています。関西でも同様の事が言えます。これまでの緊急的な避難から生活再建は個々のレベルへと移り変わり、就労や就学を含めた住宅探し、子供の学校生活に伴う移動、一定期間の定住、関西以外への移住、帰還など様々な方向へと移動する春がやってくるでしょう。

災害復興住宅が建っても自殺が増加し続けた阪神淡路大震災などの事例から、決して復興住宅の完工が避難者の速やかな生活再建には結びつかないことを関西の支援者はよく理解しています。住宅支援が途切れると、有償での入居や復興住宅への入居ができない世帯が出てくるからです。その片鱗が最近の報道から知ることができます。

兵庫で「阪神・淡路大震災」の被災者支援を20年間継続している団体は「一人ひとりの寄り添い支援を行えば最後の一人にたどり着く」と言います。行政、民間、そしてボランティアと 定住、移住、帰還、自立のための生活再建支援、就労、住宅相談など様々なサポートが被災県と、受け入れ自治体と支援団体は同時に実施する必要性があり個々のニーズに応じた丁寧なサポートが今後はより一層求められています。

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