『おせっぺとみおか』の活動 ~1年の振り返りにかえて~
こんにちは。地域調整員、関東甲信地域担当の金子です。今回は、とみおか子ども未来ネットワークの活動の一つである『おせっぺとみおか』を通して、この1年を振り返ってみたいと思います。
『おせっぺとみおか』は、福島県富岡町で暮らしてきた一人ひとりの人生を書き起こすことで、富岡町の姿を記録していくプロジェクトです。富岡町で生まれ育った現在高校生から大学生の「聞き手」が「聞き書き」という手法を使って、富岡町でずっと暮らしてきた年長者である「話し手」に話を聞き、相手の言葉だけで文章をまとめ、ひとつの作品に仕上げていきます。
作品を作る過程で「聞き手」は、約2回、合計4時間以上のインタビューを行い、そのすべてを書き起こします。文字数は約3万〜6万文字。それをひとつの文章にまとめていくのは難しく、根気のいる作業です。相手が何を伝えたいのか、何を大切にしてきたのかを繰り返し考えながら進めていくため時間もかかります。しかし、ふとした瞬間、「この話し手は、こんな想いで、こんなことが言いたいのかな」と気づきます。時間をかけて取り組んできたことで、「聞き手」は「話し手」と同化するような感覚になるのだと思います。
この姿を見て、支援活動でよく言われる「寄り添う」とはどういうことかを、改めて考えさせられました。今年度、地域調整員として各地で行われた活動に参加し、この担当ブログでも、避難されている方たちに寄り添おうと活動する団体を中心に紹介してきました。避難が長期化し、個人個人の課題に取り組む必要があるいま、しっかりと時間をかけて避難されている方々に伴走する、寄り添い型の活動からしか見えてこないことが多いのではないかと感じます。
震災から6年、区域外避難者への住宅供与の終了や避難指示区域の一部解除等、避難されている方々を取りまく環境は大きな変化の時期にあります。いま、復興を考えていく中で大切なことは、避難されている方自身がこれからの選択を自分の考えで、自分で決めていくことができる環境があることだと思います。そのためにはただ単純に復興の加速をあおるのではなく、被災された方を想い、考え、寄り添う社会がなければならないと感じた1年でありました。