「避難者」とのかかわり 〜支援のカタチ〜

当事者団体

みちのく会 《北海道》

情報発信

札幌では早くも平成23年4月から、北海道や札幌市の各行政、民間支援団体などの協力のもと、「みちのく会」がスタートしました。避難者自身によるそれぞれが願う自立を目的とした自助団体として、道内各地にネットワークを結んだ活動を特徴としています。

財政基盤を確保し、自助による自立を目指す

缶バッジ制作は、仕事復帰や自主財源確保に役立った

フラットな母体から個性的な活動が派生

広大な北海道にはいまも多くの避難者が生活し、みちのく会の会員数もピーク時の1,723人からは減少しているものの、1,050人(平成28年3月時点)と全国最大規模です。札幌中心の活動だけではとても広い道内をカバーできないことから、函館や旭川など各地に五つの「支部」を置き、ゆるやかに連携しながら活動を続けてきました。

「支部」とはいえ、実際にはそれぞれが独立した団体として活動し、支部同士や行政、他団体のつなぎ役をみちのく会(札幌本部)が担っています。支部発足から数年が経過し、地域ごとにつながりができたことから、徐々に支部としての活動を休眠している地域もあります。こうしたつながりからは、さまざまな特徴や主張を持ったグループも生まれてきました。

缶バッチが財政基盤と心の支えに

みちのく会では設立後早い時期から、民間企業からの協力のもと、自主財源となる缶バッチ制作事業に取り組んでいます。当事者による自助団体として自立を模索していたときに、缶バッチを作る機械の寄贈や業者の紹介といった支援が財政基盤の後押しになりました。

一例をあげると、多くの観光客が訪れるイベント開催時に需要のある缶バッチ制作を「仕事」として受注することで、貴重な自主財源を確保してきました。

会内部としては、とくに「まずは短時間から働きたい」「子ども連れなら働ける」という母子避難の女性に、仕事復帰へ踏み出すきっかけ作りとして大切な試みでした。「心配が絶えないなかで、仕事に没頭できること自体が気持ちの支えになっていた」と当時を知る運営スタッフはふり返ります。

缶バッチ事業のノウハウは、団体のオリジナルグッズ制作にも役立っています。その一つが、公式イメージキャラクター「ミッチィ」の缶バッチ。ミッチィのグッズを支援者にお渡しすることで、今まで伝えたかった感謝の気持ちと共に、「ここまでできるようになった」と一定の成果を伝えられる意味合いがあります。みちのく会やミッチィを通して、北海道避難者の現状が道外にも発信されているのです。

イメージキャラクター「ミッチィ」ができたことが、商品開発にもつながった

「そのとき」の思いがつなぐ支援の輪

外部への発信の意味も込めて、みちのく会が蓄積してきた活動に手記の発行があります。道内避難者の体験した生の声を集め、平成24年から26年まで年に一度発行してきました。

みちのく会で活動するスタッフの1人(福島からの母子避難)は、「被災から時間が経つと、当時の感覚はどうしても忘れてしまいがち。その時々で感じたことを残してきたことが今後きっと役に立つ」と感じています。

会の当初からの「記録」や、とくに表に出せない「本音の声」を残しておくことで、これから世界のどこかで自然災害や原発事故のような大きな問題が起きたときにも活かせることを望んでいます。

平成28年、新しい手記発行の編集を進めています。事務所機能の縮小に向かい、次なるステップへ進むため、この手記でみちのく会の歴史と事実をふり返り、未来に向けた意思をつないでいきたいと願っています。

道内避難者の経験した生の声を集めた手記「あの日:そして今」と、会員向けに定期発行しているニュースレター「みちのく会通信」

みちのく会
〒062-0021
北海道札幌市豊平区月寒西1条7-1-11
Tel. 011-826-4092
※平成29年3月末で解散。詳しくはみちのく会ウェブサイトをご覧ください。
 http://michinokukai.info/
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