東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

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【レポート】内陸支援拠点「遠野市」からの挑戦は今

訪問先:NPO法人遠野まごころネット
訪問日:2014年6月25日
取材者:中野圭

こんにちは、岩手の中野です!
今回は岩手県遠野市の遠野まごころネットの栁澤さんにお話をお聞きしました。

―― Q.取り組んでいる地域課題は?

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地域において必要とされることをやる、ということを考えてやってきた。震災当初はやはり物資が不足し、瓦礫を一刻も早く撤去することが求められていた。だが今、それは必要ない。現在必要とされていること、あるいは地域の課題のされていることはコミュニティをいかに作るか、そして生業をいかに作るか。津波の影響でコミュニティは一度崩壊し、現在も状況の変化に応じたコミュニティ形成支援の必要がある。また障がいのある方など社会的弱者への支援も少ないことや、求人求職のミスマッチが非常に大きくなっていることも課題。一方、岩手で生産したものの販路拡大も大きなテーマである。復興を進めていくために、交流人口を拡大していかなければならないという思いも強い。沿岸被災地の今の課題は沿岸被災地に特有のものではなく、内陸もそうであるし、日本全体が抱える課題といってもいい。

―― Q.どのような取り組みをされているのですか?

コミュニティ形成支援という点では農園を活用したコミュニティづくりの場、弁当屋の立ち上げ、お茶っ子サロンなど多様に取り組んできた。生業づくりにつながる部分も多く、ハーブの栽培やワイナリーづくりにも取り組んでいる。大槌には大槌たすけあいセンターを開設し、生業づくりと地域産品の第六次産業化にも力を入れている。関連してこれらの事業において被災地の障がいのある方などが働ける環境を整備している。

また、ここで作られた産品を全国に向けて提供していくために、東京事務所を開設し販路の拡大にも取り組んでいる。東京事務所の役割としては、被災地の情報を発信し、首都圏の企業や団体、個人が被災地に関わるきっかけを提供することもあげられる。生業づくりとして岩手県にあるあまり知られていない良品のデザインを洗練化し、販路を拡大するという取り組みにもチャレンジしている。

コミュニティ形成に関しては自主性がキーワードになる。実際、地域の人口は減り続けているし、今後も減少傾向をとめるのは難しいと感じる。コミュニティだけの問題にせず、経済振興を含めて考えることが必要。ボランティアも交流人口拡大の重要な部分。内容はもちろん状況に応じて変わるので、その時々の地域ニーズを把握することが求められている。

―― Q.どの様なメンバーで取り組まれているのでしょうか?

現在は職員が15名ほど。パート、就労支援センターの利用者が10名ほど。ボランティアに関しては、日によってばらつきがあるのでなんとも言えないが、平日10名ほどで週末は20名から100名までいくこともある。これからまた夏休みになると増えてくることが予想される。

―― Q.困っていることはありますか?

団体が活動を継続していく上で永遠のテーマとも言えるのが「カネとヒト」。資金はどうしても必要であり、助成金の申請や寄付のお願いもしている他、さまざまなファンドレイジングを工夫して行っている。これだけではもちろんだめなので、自主事業の部分を伸ばしていきたい。

ヒトに関しては職員の大半が多くの業務を抱えるマルチタスクでやっている。運営を安定化、健全化させるためにも団体としての体制をもっと強化しなければならない。

―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?

資金面でのサポートは非常に大切であると感じる。外から多くの人材が被災地に入り、関わり、復興に携わっていると言えるが、もっと入ってきてもいいと思う。今の被災地にはとにかく人材が不足している。そしてそのためにも、安定した仕事・事業を生み出すことが大事であり、資金面・人材面の支えが今後ますます求められる。

<了>


【関連情報】
(URL)NPO法人遠野まごころネット http://tonomagokoro.net/
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2014年7月17日 00:49